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存在感の強い“クーペSUV”BMW新型「X2」の気になる実力とは? 大きくなったボディで居住性や使い勝手が向上! 走り味もよさも好印象

大きくなったボディの恩恵で後席も広い

「X2」はBMWのSUVラインナップにおいては最後発組として2017年に投入されたモデルです。ほぼ同時期に大型3列シートの「X7」も登場していますから、彼らとしてはすき間を埋め尽くして鉄壁の布陣を完成させる、そんな思い入れもあったのでしょう。

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BMWの新型「X2」は、初代よりも大きくなったボディで優れた居住性と使い勝手を実現しつつ、強い存在感も身につけたコンパクト・クーペSUV

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 初代「X2」の日本ローンチは2018年。イメージキャラクターとして香取慎吾さんが登場、彼の手がけたアートカーが各所で展示されていたのを思い出します。

 あれから6年。2代目となる「X2」はほどなく日本でもデリバリーが始まります。

 BMWにおいて偶数銘柄はクーペやスペシャリティ系というイメージが強いですが、初代「X2」は実用的車格を意識したのかハッチバックをリフトアップしたような形状で、“ほかとは違う”感がちょっと薄かったように見えました。

 そこで新型「X2」は「X4」や「X6」とのつながりが連想できる5ドアファストバックのプロポーションを採用。独自の存在感を得るに至りました。

 ただし、全長は初代から200mmほど伸び、全高も1550mmを突破しています。日本での取り回し的には後退したものの、長さを活かしてcd値(空気抵抗係数)はEV(電気自動車)の「iX2」で0.25と、車型の割には好数値をマーク。高効率化を図っています。

 ちなみホイールベースは2690mmと初代比で20mm伸長。これは2023年にフルモデルチェンジした「X1」と同じです。

 その長くなったホイールベースをうまく使って、「X2」は後席の居住性も窮屈さを感じさせません。頭上回りも「X1」ほどではないものの、181cmの筆者がどこにも触れることなくきちんと座ることができます。

 EVの「iX2」はバッテリーを床下に置く関係でフロア面が高くなり、ヒザが浮き気味になるのが玉に瑕ですが、足を伸ばし気味に座れるくらい前後席間はしっかりとられています。

 注目すべきは荷室容量で、後席使用時の容量はわずか10リットルながら「X1」よりも広い560リットルを確保。EVの「iX2」でも525リットルですから、ファミリーカーとしてみても実用性に不満はありません。

 日本仕様のパワートレインは、「iX2」を含むと3種類が用意されています。うち、ガソリンの2種類は2リッターの“B48型”直4直噴ターボを搭載した「X2 xDrive20i Mスポーツ」と「X2 M35i xDrive」、そしてEVは「iX2 xDrive30」というのがグレードの内訳です。

 トップグレードの「M35i xDrive」は317ps/400Nmのアウトプットをもって、0-100km/h加速は5.4秒という俊足ぶりを誇りますが、「xDrive20i」のアウトプットも204ps/300Nmと普通に乗る分には十分スポーティに振る舞えるといえるでしょう。

 駆動方式はともに“xDrive”、つまり4WDで、多板クラッチを電子制御しながら後輪側に最大50%の駆動力をリニアに配分します。

 EVの「xDrive30」は前後軸に140kW/247Nmのモーターを搭載する“xDrive”となります。そのシステム総合出力は200kW/494Nm。自然吸気ガソリンエンジンに換算すれば4リッター前後級のパフォーマンスを有していることになります。

 そんなわけで、0-100km/h加速は5.6秒と、「M35i xDrive」にわずかに劣る程度という俊足ぶり。その加速の質は回すほどに伸びる「M35i xDrive」とは真逆で、立ち上がりから最大トルクでグイグイ押し込んでいくEVならではのものです。

●Android Autoベースの9世代目“車載OS”を搭載

 新型「X2」の中身における最大のトピックは、9世代目となる“BMW OS”の搭載にあるといえるでしょう。

 これは巷間いわれるソフトウェア・ディファインドの概念を積極的に取り入れたもので、Android Autoをベースとすることによりサードパーティによるアプリケーションへも柔軟に対応できるのが特徴です。

 もちろん、走行機能に関わるところは慎重な対応となるでしょうが、インフォテインメントの幅が広がることは間違いありません。

 ちなみに2025年以降、BMWが順次発売を予定する専用アーキテクチャーEV「ノイエクラッセ」シリーズも、このOS9をベースとしたソフトウェアが実装されることになるはずです。

低速域でも路面の凹凸をまろやかにいなす「X2」

 今回、筆者(渡辺敏史)が試乗したのは、新型「X2」の「M35i xDrive」と、「iX2」の「xDrive30」。ともに印象的だったのは乗り心地の洗練度で、初代とは完全に一線を画するレベルに達しています。

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 試乗車はともに20インチの大径タイヤを履いていましたが、中高速域でのアシの動きはしなやかで、摺動部位の精度の高さもそのきれいな転がり感から伝わってきます。

 低速域では剛性に勝り、重さを活かせる「iX2」の方が意外や気持ち粗い動きが現れるところもあるのですが、「X2」の側は低速域でも凹凸のいなしはまろやかに、そして舗装面の変化による音や振動の変位も最小限に抑えられています。

 ちなみに「M35i xDrive」には、オプションで21インチのタイヤ&ホイールも設定されています。「それはさすがにやりすぎだろう」と訝しがっていたのですが、このこなれたフットワークならばあっさり履きこなしてしまうかもしれません。

 ハンドリングはスポーティに躾けられていますが、微小な舵角からバキバキとゲインが立ち上がるほどの過敏さはなく、適度なクイックさに収めています。アクセルの応答性も同様で、軽く踏んだだけでビュッと立ち上がるような性急さはありません。

●アクセル操作に対してリニアに車速が乗る「iX2」

 そういう点で感心するのは「iX2」のアクセル操作に対する速度の乗り方のリニアさです。

 10km/h以下の速度で駐車場の構内を取り回すとか、濡れたすべりやすい路面で坂道発進するとか、リアルにありがちな場面でもストレスなくコントロールすることが可能です。

 自動車メーカーが良識をもってEVを仕上げると、ここまできれいにシームレスに走るようになる……そういう点では「iX1」の出来も相当なものでしたが、「iX2」もその良さをしっかり受け継いでいるといえるでしょう。

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 見た目がスポーティな割に、走れば大人の嗜好にも耐えうる上質さを備えたクルマ……新しい「X2」はこれまでノーマークだったという方にも「ちょっと試乗してみたら?」とオススメできる1台に仕上がっています。

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