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「ヴォヴォヴォボボーン」アバルト500e、電気自動車なのに「迫力のエンジン音」を楽しめるワケ【試乗記】

「ヴォヴォヴォボボーン」アバルト500e、電気自動車なのに「迫力のエンジン音」を楽しめるワケ【試乗記】

アバルト500eツーリスモ・ハッチバック/価格:615万円。ラインアップは固定ルーフのハッチバックと電動キャンバストップのカブリオレ(645万円)の2タイプ。駆動方式は前輪を駆動する2WD Photo by Hiroya Yamagami

「ほしい!と思ったモデルがBEVだった」現在、黎明期にあるフル電動モデルの購入動機として、この点が大切だと思っている。

 アバルト500eは、ほしいクルマの筆頭格だ。いや、正確にはベースとなったフィアット500eが登場したときに、“写真”を見てそう実感した。デザイン、個性、センス……見てわかるエモーショナルな問いかけが自身に響くかどうか。大いに響いたならば、それは“ほしい”の対象となる。ほしいものなら多少の不便を乗り越えていける。

 とはいえクルマである。“走りのクオリティ”は重要な要素だ。素晴らしいデザインだけど乗ってみるとがっかり、というのは昔からよくある話。仕事柄ずいぶんと楽しいクルマを経験してきた手前、乗ってツマラナイじゃ悲しい。で、話は本題のアバルトである。

「ヴォヴォヴォボボーン」アバルト500e、電気自動車なのに「迫力のエンジン音」を楽しめるワケ【試乗記】

メカニズムはフィアット500eのホット版。往年の500を彷彿させるボディは従来のガソリンモデルよりひと回り大型。そ れでも全長×全幅×全高3675×1685×1520mmの5ナンバー規格に収まる

「ヴォヴォヴォボボーン」アバルト500e、電気自動車なのに「迫力のエンジン音」を楽しめるワケ【試乗記】

各部にアルカンターラをあしらった室内は上質。中央に10.25インチのタッチディスプレイをレイアウト。ハンドリングは街中では素直/ワインディングでは機敏。すべての道で操るのが楽しい

「ヴォヴォヴォボボーン」アバルト500e、電気自動車なのに「迫力のエンジン音」を楽しめるワケ【試乗記】

室内は4シーター設定。前席はサポート性を高 めたハイバック形状。後席も実用的。乗り心地はしっかりとした感触

「ヴォヴォヴォボボーン」アバルト500e、電気自動車なのに「迫力のエンジン音」を楽しめるワケ【試乗記】

アバルト500eツーリスモ・ハッチバックリアシート

「ヴォヴォヴォヴォヴォボボーン」。ややくぐもった、けれども迫力十分なサウンドが室内に響き渡った。これがサウンドジェネレーターの奏でる快音というものか。

 試乗の舞台はクラシックカー好きの集まり。アバルト500eの存在感にみんな興味津々集まってきた。アクセルを踏む役を友人に代わってもらい、外から音を聴いてみる。室内よりも随分と軽やかで心地いい。当然ながらエンジン車のように熱気を含んだ脈動感を感じることはない。けれどもワクワクする。集まったエンジンサウンド大好き仲間も、当初はこれが正真正銘のBEVであると信じてくれなかった。

 走り出す。アクセルと連動して高まる“模造サウンド”を味わってみる。これまでも走りに合わせて電子音を聴かせるBEVはあった。けれどもここまでこだわったエンジン音はなかった。そこが確かに面白い。とはいえアバルト500eは新しい時代の新しいスポーツタイプの新しいコンパクトカーだ。いくらも経たないうちに音など要らないと思ってしまった。サウンドを切って走り直す。

BEVである前に真正アバルト!

運転好きを魅了するキャラクターに脱帽

 フィアット500eはBEVらしからぬ調教された出足のスムーズさが魅力だった。ボクはBEVによくある強烈すぎる加速パフォーマンスを好まない。0→100㎞/h加速でランボルギーニより速いといわれても、“だからどうした”である。もちろん速いクルマは大好物。けれど、強力すぎる加速性能は飽きてしまう。何より危険だ。加速自慢のBEVを試すときには広い場所でローンチスタートを1回だけ試して、その凄さを体感。大笑いした後は二度とフル加速を試みない。だから結局のところ、過剰なほどの加速性能は必要ない。

 アバルト版500eの加速はフィアット版に比べてもちろん強力だった。でも少しだけだ。想像していたほどバカっ速くない。だからガッカリだったかというとそうではない。オトナの電気自動車だなと感心した。それでもエンジン車の595より速いのだから、十分なパフォーマンスである。

 スリリングだったのは中速域の浮き上がるような加速フィール。そして従来のガソリン版とはまるで異なるハンドリング性能だった。とくに後者は、街中ではかなり素直に、山道ではとても機敏に、いずれのシーンでもそれぞれの状況下で使いやすいと感じさせる仕上がりになっていた。BEVゆえの日常性重視と、アバルトならではのハイパフォーマンスが見事に両立している。

 もっとも、そのように感じるには条件もあった。街中はツーリズモモード、山道ではスコーピオ系のモードを選ばなければならない。ドライブモード選択を積極的に使いこなしたほうが性能にも電費にもいいに決まっている。

アバルト500eは黎明期のBEVとして

お手本のような存在

 不満があるとすればバッテリー容量だ。満充電の航続距離がカタログ値でたったの303 ㎞(WLTCモード)。これだけ走れば、日常生活に何ら支障のないことくらい、頭では理解している。家のガレージに充電環境があれば航続距離200㎞程度でも十分だ。それでも不安になるということは、アタマがまだまだガソリンで動いているからに違いない。

 多くの人が同じように感じている。そんな不安を乗り越えるだけの魅力があるのかどうか。そこが現在のBEVに問われている。環境やエネルギーといった地球規模の問題を振りかざしつつだ。もっとも、フィアット&アバルト500eは将来の拡張性も盛り込まれて設計されているようだ。バッテリー周辺テクノロジーが現在よりも進化したとき、アバルトはさらに隙のない1台に近づくに違いない。

 アバルト500eはクルマとしてとてもよくできている。完成度は抜群に高い。プラスしてスポーツカー好きの心を満たすハンドリング性能も備わっている。デザインセンスと相まってクルマ運転好きの所有欲をかき立てる。アバルト500eは黎明期のBEVとしてお手本のような存在だろう。

 とはいえ、いざ自分で乗るとなるとエンジン仕様のアバルト500系も捨て難い。そろそろBEVがわが家にあってもいい頃合いだけど、マニュアルシフトで楽しむ従来のアバルトもラストチャンスかと思うと心が揺れる。クルマ選びは、実に悩みどころが多く、しかも楽しい。だからやめられない。

(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/山上博也)

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