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「中国のイーロン・マスク」と呼ばれるEV企業創業者、ウィリアム・リーについて知っておくべきこと

「中国のイーロン・マスク」と呼ばれるev企業創業者、ウィリアム・リーについて知っておくべきこと

インターネット業界や自動車産業で40社を共同設立したウィリアム・リー。

  • ウィリアム・リーは、電気のない中国の農村で育った。
  • 彼は、高級電気自動車のスタートアップ、ニオをはじめ、40の企業を共同設立し、投資している。
  • ファンにとって、リーは赤の他人ではない。ニオのEVのオーナーは、車のアプリでリーに直接フィードバックを送ることができる。

中国は世界をリードする電気自動車(EV)市場であり、ニオ(Nio、蔚来汽車)はその重要なプレーヤーだ。

上海を拠点に高級EVを開発・販売するこのスタートアップは、ウィリアム・リー(李斌)CEOによって2014年に共同設立された。

ビン・リーとしても知られる彼は、自動運転EVの開発を推し進め、忠実なファンも存在することから「中国のイーロン・マスク」と呼ばれている。彼の会社が毎年開催する「Nio Day」には、最新車両「ET9」のお披露目に1万人のニオオーナーが集まった。

以下にウィリアム・リーについて知っておくべき8つのことを紹介しよう。

1.酪農場で育った

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リーは複数の会社を共同設立している。

1974年生まれのリーは、農業が盛んな安徽省の酪農場で育った。高校生になるまで村には電気が通っていなかった。

彼は中国有数の名門、北京大学に入学し、社会学と法律を学んでいた。初めての会社は21歳のときに立ち上げた。以来、インターネット業界や自動車産業で40社を共同設立し、投資を行っている。そのうち3社が株式公開を果たしており、それには2010年に上場したビットオート(Bitauto)や2017年に上場したニオが含まれていると、フィナンシャルタイムズが報じている。

リーの純資産がいくらなのかは不明であり、ブルームバーグの「ビリオネア指数」にも含まれていないが、別のランキングではビリオネアだとされている。

2.20代半ばで共同設立した会社が最初の大企業に

自動車比較サイトのビットオートは、リーが2000年に共同設立し、彼にとって初めて大きな成功を収めた会社となり、2010年にニューヨーク証券取引所での上場を果たした。

だが2020年、同社は11億ドルで買収されて非公開となった。そしてリーはCEOを辞任し、ニオに専念するようになった。

3.バッテリースワップ式充電技術のパイオニア

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ニオのバッテリースワップステーション。

リーは、バッテリースワップ技術でテスラ(Tesla)やBYDといった他のEVメーカーとの差別化を図っている。

この技術は、車にプラグを差し込んで充電されるのを待つのではなく、指定のステーションで完全に充電されたバッテリーと交換するというものだ。所要時間は5分もかからない。

コストを抑えるために、顧客はバッテリーなしの車を購入し、交換ステーションにアクセスするための毎月額使用料を支払う。ステーションは中国国内に2000以上、ヨーロッパに30ほど整備されている。

とはいえ、このサービスのインフラ整備にはまだ時間がかかり、通常の充電よりも高価であることに変わりはない。

4.最新モデルのニオは子犬のように雪を振り払う

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雪を振り払うニオの「ET9」。

ニオ最新の超高級モデル「ET9」は、フロントガラスやルーフに積もった雪を振り払うことができる。

また、シャンパンの入ったグラスを車のフロントにのせて段差のある道路を走っても、グラスがバランスをとっているという動画も紹介され、この車の安定性を実証した。

5. ニオのEVは高い

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上場した際に、ニューヨーク証券取引所の前に展示されたニオのEV。

ニオの最高級モデルのスマートEVは、テスラよりも高価になるだろうとCNBCが報じている。

2025年に中国で出荷を開始するET9の価格は11万2000ドル(約1700万円)で、ニオで最も高価な車となる。

SUVモデルの「ES7」といった同社の中型車は約6万8000ドル(約1000万円)で、中国での価格が4万ドル(約600万円)台のテスラ「モデルY」よりもかなり高価だ。

6.ファンはいつでもリーにダイレクトメッセージを送ることができる

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2023年に発売された「ニオフォン」は、ニオのスマートEVとつなげることができる。

リーは、ニオの顧客にクラブのメンバーであるような感覚でいてほしいと考えている。

ニオの車を購入した人は、誰でも「ニオハウス」を利用できる。これは会議室、ラウンジ、バリスタのいるカフェ、監視員が見守る子供の遊び場などを備えたショールーム兼メンバー向け施設だ。

2023年、ニオは同社のEVに接続できる独自のスマートフォン「ニオ」を発売した。顧客はこのスマートフォンを使って車のロックを解除したり、座席の好みを調整したり、車のセルフパーキング機能を作動させたりすることができる。

また、ニオのEVのオーナーは、車のアプリでリーに直接フィードバックを送ることもできる。そのようなオーナーからの提案を実現するために、リーは真夜中でも幹部に電話をかけることがあるとフィナンシャルタイムズが伝えている。

7.ニオは1000km以上走行可能なバッテリーを開発

「中国のイーロン・マスク」と呼ばれるev企業創業者、ウィリアム・リーについて知っておくべきこと

ET7はニオの150kWhバッテリーを搭載している。

リーは2023年12月、1回の充電で上海から厦門まで14時間をかけて車で移動する様子をライブ配信し、画期的なバッテリー持続時間を披露した。

1044kmの距離を走り終えても、ET7の充電は3%残っていた。

8.リーにとって悩ましいのは、ニオのEVがまだアメリカで販売されていないこと

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リーは、中国製EVに課されるアメリカの関税に不満を表明している。

フィナンシャルタイムズのインタビューに応じたリーは、アメリカで販売される中国製EVに25%の関税が課されることに不満を訴え、米中間の地政学的緊張がビジネスに影響を及ぼすべきではないと述べた。

ニオはすでにアメリカとつながっており、ニューヨーク証券取引所に上場している。投資の大半は中国国外からのものだ。

しかし、アメリカの一部の製造業擁護団体は、メキシコの製造拠点から中国製EVを輸入すると、国内産業への脅威になるとして禁止することを求めているとロイターが報じている。イーロン・マスクは、中国のEVがアメリカで販売されるようになれば「アメリカの自動車メーカーは相当なダメージを受けるだろう」と述べている。

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