車載用後付けHUD。車内でスマホを利用したい場合は魅力的
スマートフォンの地図アプリのナビ機能を、車で利用したい人にとって、簡単に後付けできる「ヘッドアップディスプレイ」(HUD)は、魅力的なアイテムだ。今回は、ネオトーキョーが2022年7月に発売した車載用HUD「HUD-2023」を使って、CarPlay経由で、iPhoneのマップアプリのナビゲーションを試してみた。価格は4万4800円(税込み)
HUD-2023は、2019年に発売された「HUD-2020」の後継モデル。車のダッシュボードに固定して利用し、ナビゲーションや楽曲再生のコントロールに利用できる。TFT液晶に表示した画面が、アクリル製のスクリーン上に投影される仕組みで、運転席からフロントガラスの手前に画面が表示される状態になる。
操作は、ハンドルに固定するリモートコントローラーで行える他、音声アシスタント経由でカーナビの操作や楽曲のコントロールもできる。対応するOSは、iOS 5以降、Android 11以降。
FMトランスミッターとしての機能も備えており、スマートフォンの音楽をFMラジオ電波で、カーオーディオ側に飛ばすこともできる。また、3.5mmのオーディオ出力ポートも備えるので、有線接続でカーオーディオ側へ出力することも可能だ。
●リモコンの下準備
セッティング手順については、オンラインで提供されているマニュアルをみながら行うことになる。マニュアルに記載されている順序とは少々異なるが、セッティング直前に、リモコンを通電させておこう。固定用のバンドからリモコン本体を取り外し、絶縁シートを引き抜いておくとよい。
●本体の設置と初期設定
HUD本体の裏には、粘着シートを覆うように透明なカバーが付いている。これを剥がして、ダッシュボードに固定しよう。固定位置は、運転席の目の前でなくても構わない。
充電器をシガーソケットに挿入し、ケーブルをHUD本体のUSB Type-Cポートに接続する。これではまだ電源が付かない。スクリーンを持ち上げて、本体上面にあるスイッチをオンに切り替えよう。
この状態で、問題がなければ、スクリーンに映像が表示される。運転席から視認しやすいように、角度を調整しておこう。
筆者は既にCarPlayを利用したことがあったので、「設定」→「一般」→「CarPlay」を選択。表示された「HUD-2023」を選択した。
この状態でHUD側に戻り、リモコン操作で「CarPlay」を選択。何度か試していると、無事に接続できた。どうしてもワイヤレス接続が不安定な場合には、スマートフォンとHUDのUSB Type-Aポートを有線接続しても使える。楽曲再生に利用したい場合には、カーオーディオのFMラジオの周波数を77.0MHzに合わせておこう。
●昼夜を問わずに視認性に優れている
実際にHUD-2023を試用してみたうえで、良かったのはスクリーンが見やすく、昼夜を問わずに視認性に優れていたというところだ。ナビゲーション機能など、ソフトウェアについては、CarPlayやマップアプリに依存するところなので、HUD-2023の評価というわけではないが、普段の生活圏内の移動ならば、特に問題なくナビを利用できた印象。特に、リモコンからSiriを起動して、音声コントロールによって、画面を注視せずに扱えたところは良かったと思う。
気になったのは、運転手以外からスクリーンが見えないこと。助手席からマップを確認したい場面などには、改めて角度調整をしなくてはならない。CarPlayの画面をのぞき込まれないという点で、プライバシー的にはいいのかもしれないが、家族で連携しながら運転したいような場面は不便かもしれない。運転手だけが地図を把握できればいいという場合に向いているアイテムだろう。
ちなみに、FMラジオを使わずに、カーオーディオとワイヤレス接続しながら、HUDでナビゲーションをしてもらうといった使い方も試してみた。ただし、接続がやや不安定だった印象なので、こうした使い方は推奨しない。もし不慣れな高速道路の分岐のようなタイミングで、ナビゲーションが落ちたらと思うと怖いので、マニュアルに従った運用をしてほしい。また、通常使用でも、接続の安定性に心配があるという場合には、有線接続も活用できるようにしておくといいだろう。
まとめると、筆者としては、車に既にカーナビが備わっている人にとって、わざわざHUDを後付けする必要はさほどないと思った。一方、カーナビが備わっていない車両で、スマートフォンのナビゲーションを利用したいと考える人にとっては、なかなか面白いアイテムだと感じる。導入・設置もそこまで難しくないので、検討してみる価値はあるだろう。
なお、HUDのマニュアルを熟読しながら、セッティングするにはある程度時間がかかる。設置は余裕のあるタイミングで行うことを勧めたい。