テクノロジー

自動車

車載カーナビはもういらない!? 「Apple CarPlay」の使い方、そのメリットと注意点とは

クルマとiPhoneを接続することで、ナビをはじめさまざまなアプリを車載ディスプレイで利用できるのが「Apple CarPlay」だが、今回はその便利な機能を100%使いこなす方法をわかりやすく解説したい。

android, 車載カーナビはもういらない!? 「apple carplay」の使い方、そのメリットと注意点とは

CarPlayとは

iPhoneユーザーなら「CarPlay」という機能を一度は聞いたことがあると思う。これはiPhoneにインストールされたアプリを、車載機器を使ってコントロールできるようにする機能のことで、正確には「Apple CarPlay」と呼ぶ(以下「CarPlay」)。ちなみに、Android(アンドロイド)にも同様の機能があり、そちらは「Android Auto」と呼ばれる。

CarPlayを使うことで生まれるメリットは、ディスプレイサイズが大きいことによる使い勝手の向上や、音声でのコントロールが可能なため運転中でも操作できることにある。ご存知のように運転中の操作は様々な制約があり、それらを音声によってコマンドを発することで、制約を受けずに利用可能となるわけだ。このあたりはAndroid端末で使う「Android Auto」と基本的に同じと考えていい。

android, 車載カーナビはもういらない!? 「apple carplay」の使い方、そのメリットと注意点とは

CarPlayのメインメニュー。スマホよりも画面サイズが大きく操作しやすくなるだけでなく、Siriによる音声操作が走行中でも行えるのがポイント。

さて、CarPlayを利用するには、車載機器側がそれに対応していることが前提となる。最近は自動車メーカー純正でも標準でCarPlayやAndroidAutoに対応していることが多くなったが、市販カーナビなどではCarPlayかAndroidAutoのいずれにしか対応していなかったり、そもそもが非対応となっている場合もあるので注意したい。市販製品でCarPlayやAndroidAutoを使おうと考えるならまずは “ディスプレイオーディオ” を選ぶことを考えよう。

CarPlayでできること

ではCarPlayを使うことでどんなことが可能となるのか。まず知っておくべきは、“スマホにインストールされたアプリを車載機器で使える”とはいえ、すべてのアプリが使えるわけではないということだ。

すべてを把握できてはいないが、あくまでクルマで使うことで便利になりそうなもの、たとえばカーナビゲーションやストリーミングサービス、メッセージなどを中心としたアプリに絞り込まれ、ゲーム系は基本的に対応していないようだ。ただし、YouTubeなど動画系は走行中に視聴できなくなる制限は入る。これはTV放送などと同様である。

アプリを使うに当たってはスマホを介してインターネットに接続するため、車載機器で利用するからといって専用回線を別途契約する必要はない。さらにアプリを使う費用が無料か有料かはアプリ側に依存するため、仮にグーグルマップやYahoo!カーナビなどはカーナビゲーションとして使うにあたってユーザーの利用料など金銭的な負担が一切ないのも大きな特徴である。ただし、NAVITIMEのような有料アプリは契約に応じた支払いが必要となるほか、ストリーミングサービスについても同じことが言える。

android, 車載カーナビはもういらない!? 「apple carplay」の使い方、そのメリットと注意点とは

目的地までAppleマップを使ってルート探索。複数ルートを示すだけでなく、到着時刻に目的地が営業していないことも案内している。

それと注意点すべきことが、純正の車載器側で通信機能を備えている場合だ。これがあることでストリーミングサービスなどの通信料まで含まれていると思われがちだが、それはあくまで車載側で緊急通報やアップデートを実施するためのものとして準備されている。

CarPlay上で使うアプリに関する通信料は、あくまでスマホ側の負担となるのだ。そのため、仮にスマホ側の通信容量が少ない契約だとアッという間に通信速度が遅くなってしまうこともあるので気をつけておきたい。

クルマとの接続方法

CarPlayと車載機器とは、ワイヤレス接続とUSB接続の2種類が機種によって可能となっている。ワイヤレス接続の場合はBluetoothであらかじめペアリングしておくと、エンジン起動時にCarPlayを接続するかどうかを聞いてくるので、そこでOKとすればいい。USB接続の場合はワイヤード接続した際に同じように聞いてくる。機種にもよるが、一度設定すると自動接続するモードを選べることがほとんどだが、そのあたりは個別に設定方法を調べてほしい。

目的地の検索はアプリ側に依存するため、たとえばGoogleマップとYahoo!カーナビでは、双方ともサーバー側の検索エンジンを使うが、実際は検索する過程も異なるし、その結果も大きく違う。また、ルート案内中のガイド方法もアプリに依存するため、それぞれに違いが現れる。アプリごとにメリット、デメリットがあり、好みも分かれると思うので、そのあたりは自らの経験で判断するしかないだろう。

android, 車載カーナビはもういらない!? 「apple carplay」の使い方、そのメリットと注意点とは

Googleマップでは住所や施設だけでなく、各地域の朝市など、様々なイベント情報も目的地として設定できる。

CarPlayのカーナビゲーション機能で便利だと思うのは、乗車前にスマホで一度探しておくとそれがそのまま反映されること。これによって出発時に自動的に目的地が設定、あるいはリストアップされるので手間がかからない。もっともCarPlay上で動作するカーナビ用アプリは音声で目的地を検索できるので、それほど手間がかかるものではないのも確かではあるが…。

CarPlay上でカーナビ用アプリを使うに当たっては心しておくこともある。それは大半の車載機器で車両側からの車速パルスを反映していないことだ。車速パルスは速度計にも使われているもので、このパルス信号を受信することで車両が動いていることが検知できる。つまり、これによってGPS信号が受信できなくなるトンネル内や、GPS信号が届きにくいビルの谷間でも安定した即位が継続できるのだ。しかし、CarPlayが起動中にこれを検知できる機種はほとんどないのが現状だ。

そこで純正では車速パルスにも対応するカーナビ機能が追加できたり、あらかじめカーナビ機能を備えた上でCarPlayやAndroidAutoに対応していることが多い。ただ、車種によっては完全にディスプレイオーディオとしての機能しか持っていないこともある。その場合はスマホ依存のカーナビ機能となることは知っておきたい。

android, 車載カーナビはもういらない!? 「apple carplay」の使い方、そのメリットと注意点とは

CarPlayではGPS信号をロストすると測位が中止されることが多いが、VW「ID.4」でGoogleマップを使ったところ、トンネル内での測位は位置が少しずれたものの継続されていた

それとCarPlayだけに限った話ではないが、メッセージ系ではLINEなどが対応しているわけだが、それは送受信のすべてができるわけではなく、CarPlay上では音声による読み上げとメッセージの送信のみとなったりする。さらに通知機能をONにしておくと、メッセージが届くと同時に画面にヘッダー部がポップアップされてしまう。同乗者がいると何かと不都合なときもあるだろうし、車載機器で展開時の通知設定はOFFにしておいた方が無難かもしれない。

Apple Mapsアプリについて

最後にCarPlayだけが使える「AppleMaps」について述べておこう。面白いのは、iPhoneユーザーであっても、若い年齢層で若干高い傾向はあるものの、全体としてApple Mapsの利用率はあまり高くないというデータだ。それはなぜなのだろうか。

その要因として考えられるのが、2012年の提供当初はスケールを変えると誤った表示が繰り返されたりと、何かとトラブルも多かったことや、Googleのストリートビューに相当する「Look Around」が東名阪とその周辺部、および一部地域に限られているなど、全体として機能面でも遅れが目立つことがある。

android, 車載カーナビはもういらない!? 「apple carplay」の使い方、そのメリットと注意点とは

立体表示させたAppleマップ。ルートは渋滞考慮も行われ、通過にどのぐらいかかるかも案内している。

一方で、最近のApple Mapsでは以前のような地図としての不具合は聞かなくなった。むしろ、個人的には狭い道を案内する傾向があるGoogleマップよりもルート案内に安心感を感じるし、一部エリアを対象としていた交通情報も今は全国レベルでの対応が可能となったこともプラスと感じる。また、Googleマップ同様、営業時間などへの対応など地図の情報も充実しており、Siriを使った音声検索の認識レベルも高い。

ただ、長いトンネルでは自車位置にズレが発生してしまうのは他のアプリと同じだ。一応、iPhone内の加速度センサーやジャイロセンサーは反映できているようだが、体験としては正確には作動してくれないことが多い。この辺りは他のアプリと同様に課題と言えそうだ。

●著者プロフィール

会田 肇(あいだ はじめ)1956年、茨城県生まれ。大学卒業後、自動車雑誌編集者を経てフリーとなる。自動車系メディアからモノ系メディアを中心にカーナビやドライブレコーダーなどを取材・執筆する一方で、先進運転支援システム(ADAS)などITS関連にも積極的に取材活動を展開。モーターショーやITS世界会議などイベント取材では海外にまで足を伸ばす。日本自動車ジャーナリスト協会会員。デジタルカメラグランプリ審査員。

ディスプレイオーディオで使う「アンドロイド オート」、その機能を100%活かすポイントは – スマートモビリティJP

【Q&A】Yahoo!カーナビとGoogleマップ、使いやすいのはいったいどっち? – スマートモビリティJP

Yahoo!マップが目を見張る進化、ゴールデンウイークのお出かけに強い味方! – スマートモビリティJP

TOP STORIES

発見・体験、日本旅行に関する記事
Top List in the World