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コンチネンタルタイヤ「オールシーズンコンタクト」は第二世代でどこまで進化したのか。日本の「四季」にジャストフィットする秘密を学んできた

コンチネンタルタイヤ・ジャパンは2024年3月、オールシーズンタイヤの第二弾「AllSeasonContact2(オールシーズンコンタクト・ツー)」を発表しました。サマー、ウインターに続く第3のカテゴリーがもたらした市場動向の変化など、近年のタイヤにまつわるトレンドの変化も含めた「勉強会」は、なかなかに興味深いものでした。

コンチネンタルタイヤ「オールシーズンコンタクト」は第二世代でどこまで進化したのか。日本の「四季」にジャストフィットする秘密を学んできた

積極的に選ばれる「第三の柱」へと急成長

「新製品オールシーズンタイヤ『AllSeasonContact 2』記者勉強会」と銘打たれた今回の新製品発表会では、コンチネンタルタイヤが検証したオールシーズンタイヤの重要性について、まず説明が行われました。

コンチネンタルタイヤ「オールシーズンコンタクト」は第二世代でどこまで進化したのか。日本の「四季」にジャストフィットする秘密を学んできた

コンチネンタルタイヤ・ジャパン プロダクト・マネージャーの徐 馮落龍氏が、日本におけるオールシーズンタイヤの戦略を解説。人気車種への適合例を示し、その展開の広がりを強調した。

コンチネンタルタイヤが、オールシーズンタイヤ「AllSeasonContact(以下、オールシーズン コンタクト)」の日本導入を開始したのは、2021年9月から(先行販売)。2023年2月から本格的に、全国の販路においてセールスを開始しました。

日本市場におけるオールシーズンタイヤ自体の販売量は、2019年との比較で2023年には約1.4倍に増えています。タイヤ販売全体は2022年から2023年にかけて7%ほど減っていますが、オールシーズンタイヤは実に前年比25%増と好調をキープしました。

コンチネンタルタイヤ・ジャパンとしては、この成長が今後も続くと考えているそうです。今や、夏タイヤ、冬タイヤに次ぐ第三の柱へと成長していることは、間違いありません。

オールシーズンタイヤが市場に投入された当初は、夏タイヤとしても冬タイヤとしても、安全性や耐摩耗性、静粛性などすべてに「中途半端」というイメージが確かにありました。選ぶ理由も、「タイヤ交換が面倒くさいから」とか「保管場所がいらないから」といった、「諸事情」があったように思えます。

しかし、求められる要素をバランスよく構成していくコンチネンタルタイヤの製品設計、開発方針は次第にユーザーの理解を得ていきます。今では、夏タイヤ/冬タイヤに関わらず積極的に切り替えるユーザーが増えているようです。

コンチネンタルタイヤ「オールシーズンコンタクト」は第二世代でどこまで進化したのか。日本の「四季」にジャストフィットする秘密を学んできた

伸びやかに左右に広がるV字シェイプと、オフセット配置されたC字型ブロックが、なかなか精悍な印象。サイドウォールはContinentalロゴが2カ所に配されるほか、3PMSF(スリーピークマウンテン・スノーフレーク)やEVチェックといったマーク類が連なり、かなり情報量が多い。四季折々を表現するアイコンは、3Dセレーションデザインによって、高級感を演出している。

需要そのものの拡大とともに、対応する車種の多様化についても取り組みが進んでいます。グローバル市場においては、18インチ以上のUHP(ウルトラハイパフォーマンス)タイヤに対応するとともに、ランフラット仕様なども用意。

さらに軽自動車やBEVといった、個性の強い車種に対しても対応できる設計、サイズ展開を目指して新しい「オールシーズン コンタクト」の研究・開発が進められました。

とくに触れておきたいのが、コンチネンタル独自のEVチェックマークをしるしているところ。「専用」というわけではありませんが、EVの重量にも負けないブレーキ性能を確保するとともに、高トルク特性などによる駆動ストレスにも対応していることを証明するアイコン、と考えていいでしょう。航続距離が延びる可能性あり、という点も注目したいところです。

スノー、シャーベット、ドライと変化する路面にも強い

新製品オールシーズン コンタクト2(以下、コンタクト2)は、日本の道路環境で求められるニーズにフィットすることを目指した、進化を果たしています。燃費向上につながる「転がり抵抗低減」、「ウェットグリップの性能向上」、「静粛性低減」による上質な乗り心地と、タイヤとして全域でグレードアップを実現しました。

コンチネンタルタイヤ「オールシーズンコンタクト」は第二世代でどこまで進化したのか。日本の「四季」にジャストフィットする秘密を学んできた

社内テストによる評価では、ほとんどの要件で従来型を凌ぐ性能を発揮した。ハイドロに関しては、ブロックが大型化したことによる「誤差」的な低下にとどまっているという。

とくに注目したいのは、雪道性能です。最近は、非降雪地域でもいったん雪が降るとかなりの積雪となるケースが起きています。路面の気温次第でドライ路面とシャーベット状、ところどころに凍結が混じる・・・といった、複雑な路面状況になってしまう場合もあります。

新しいコンタクト2は、そういう路面にも最適。本格的なミラーバーン、ブラックアイス状態でない限りは、ミックス路面でも十二分なグリップ力を発揮します。その証と言えるのが、3PMSF(スリーピークマウンテン・スノーフレーク)マーク。高速道路などでの冬用タイヤ規制に適合していることをアピールしています。

コンタクト2のトレッドパターンは、オールシーズンタイヤとしては定番と言えるV字シェイプを採用。そのため一見すると従来型と大きな違いはないように思えますが、パターンはより複雑化、多方向にエッジを効かせた新デザインに進化しています。

サイドウォールデザインは、グローバルで第7世代に進化したコンチネンタル製品のCIに合わせて、変更されました。Continentalのロゴが従来の1カ所から2カ所に増えるとともに、四季の移り変わりをイメージさせる4つのアイコンが散りばめられています。

コーナリング時のウェット性能など「苦手」を克服

コンタクト2において、性能向上のために投入された主要なテクノロジーは、以下のとおりです。

コンチネンタルタイヤ「オールシーズンコンタクト」は第二世代でどこまで進化したのか。日本の「四季」にジャストフィットする秘密を学んできた

アダプティブ・パターンが力の伝達を最適化、接地面後端にあった力の配分を最適化することで、摩耗を低減、ライフを伸ばしている。ドライでのブレーキ性能改善にもつながる。

スマート・エナジー・カーカス

骨組みであるカーカスのテキスタイル素材を変更、堅牢さに加え、たわみが発生した時の内部内部でのエネルギーロス(ヒステリシス摩擦ロス)を低減しています。インナーライナーも従来のブチル系ゴムから新素材に変更し、適正な空気圧を保持しやすくしました。

アダプティブ・パターン

Vシェイプパターンをオフセット配置。センター部を右と左でずらして並べることで、広い接地面を確保しています。同時にブロック間をブリッジ構造でつなぐとともに、ブロックの動きそのものの無駄を減らすことができるC字型ブロックを採用、剛性を確保しています。進行方向に向けた力の伝達が最適化されるため無駄な接地が減少、トレッド面後端の接地面からのゴム剥離を抑制して耐摩耗性を高めました。

チリ・ブレンド・コンパウンド

それぞれに性能向上の目的が異なる5種類のコンパウンドをスパイス(チリ)に見立てて、コンパウンドを最適ブレンド。グリップ力向上はもとより、ブレーキ性能、ロングライフ、冷感時からの性能確保など、さまざまな特性を引き上げています。充填剤としてのシリカや、カーボンブラックなどの素材についても見直しました。

C字型ブロック/オープン・ショルダー・グルーブ

アダプティブ・パターンの要素のひとつであるC字型ブロックによる剛性向上は、機敏なハンドリングを実現。さらに外に向かって広がるオープン・ショルダー・グルーブが、排水性を高め、とくにコーナリング時のハイドロ現象を抑制してくれます。

スタッドレスタイヤは得てしてウエット性能が弱点と言われますが、コンタクト2は雨にも強いことも特徴。近年、とみに増えている印象がある「ゲリラ雷雨」などの時にも、安心して履き続けることができそうです。

AllSeasonContact 2の当初の発売サイズは、15~21インチの49サイズ。今後、順次拡大される予定です。価格はすべてオープンプライスとなっています。

コンチネンタルタイヤ「オールシーズンコンタクト」は第二世代でどこまで進化したのか。日本の「四季」にジャストフィットする秘密を学んできた

欧州タイヤラベリングをもとに、同等のJATMAラベルで評価すると、ウェットブレーキは「b」、転がり抵抗は「AA」、静粛性は「低車外音タイヤ」に相当するという。

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