“日本車シェア約9割”のタイで「中国EV旋風」…市民は「安くて買いやすい」政府もEV優遇の補助金
東南アジアのタイは街を走る自動車のほとんどが日本の車。しかし、その「日本車王国」をある国からの脅威が揺るがしています。
きょう、タイで開幕した東南アジア最大級の自動車の祭典「バンコク国際モーターショー」。最新モデルが並ぶなか、とりわけ目を引いたのは…
記者
中国製の、EV=電気自動車。
中国EV最大手「BYD」プレゼン
「私たちがタイと協力することで、タイの未来はより環境に優しく、技術はより発展するでしょう」
実はいま、タイで“中国のEV旋風”が吹き荒れているのです。
首都バンコクのあちこちで目に入る中国メーカーの車。爆発的に広まったきっかけは「EVの優遇策」です。
市民
「(中国のEVは)安くて買いやすいです」
「家族がORA CATに乗っています。中国の車ですよね?」
優遇策をフル活用し、手ごろな価格のEVを大量投入。タイの去年1年間のバッテリーEVの登録台数は、前年比8倍のおよそ7万6000台に急増しましたが、うちおよそ8割のシェアを中国メーカーが占めています。
「バンコクにある、あちらのショールームでは、もともとは日本の車が扱われていました。それが1年半ほど前、中国最大手の電気自動車メーカーへとくら替えしたということです」
一方の、日本勢。いすゞ自動車やトヨタは、今回のモーターショーでタイで人気の「ピックアップトラック」のEVモデルを披露しました。
泰国いすゞ自動車 斎藤千史副社長
「バッテリーEV、FCV(燃料電池車)といった多くの選択肢を用意し、カーボンニュートラル(温室効果ガス実質ゼロ)の達成に向け、マルチパスウェイで進めていくというのが我々の方針」
さらに、ハイブリッド車や燃料電池車も揃えた“フルラインナップ”で中国勢に向き合う構えです。
一部の中国メーカーは、今年からタイ国内でEVの生産に乗り出しますが、充電拠点の整備など課題も多く残っています。
未来の自動車産業の主導権をめぐる日本と中国のつばぜり合いが、タイで今後も繰り広げられます。