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いすゞ、ディーゼルなど既存事業に1.6兆円投資-電動化には時間と社長

(ブルームバーグ): いすゞ自動車は3日、2030年度までに計2兆6000億円を設備投資や研究開発などに投資する方針を明らかにした。電気自動車(EV)に減速感が見られる中、ディーゼルエンジン車向けなどの既存事業向けにより手厚く資金を振り向ける。

  発表によると、既存事業に投じる1兆6000億円のうち、ディーゼルエンジンを搭載した車両など既存商品・技術の改善や商品ラインアップの拡充に対して最も大きい配分となる7000億円を充てる。そのほか、グループの生産拠点の強化や既存商品の販売やサービスインフラなども既存事業分野での対象となる。

  いすゞの南真介社長は同日の記者会見で、日本の小型トラック市場は30年時点でもEV比率は20%、30%程度にとどまると見込まれ、「欧米以外のアジア・アフリカなども含めてまだまだディーゼルエンジン・内燃機関というのは続く」と述べた。商用車メーカーとしてそういった状況に対応していく責任があり、「これを支え、維持するための投資を積極的にやっていきたい」という。

  気候変動に対する懸念の高まりを背景に乗用車を中心に急成長が続いていたEVだが、足元で減速感も出てきていることなどから移行に積極的だった欧米勢は相次ぎ計画の見直しを余儀なくされている。世界最大の自動車メーカーであるトヨタ自動車も昨年、脱炭素化に向けた現実的な手段としてエンジンにはまだ役割があるとして新たにエンジン開発のプロジェクトを立ち上げたことを明らかにしており、今後も業界内で同様の動きが広がっていく可能性がある。

  南社長は商用車をEVに転換していくには航続距離や充電時間、積載量といった課題があるとして、「これらを解決しないと、ものを運ぶ商用車は単純にバッテリーEVにはならない」と話した。そのため各社とも燃料電池車なども含めて開発を進めているが、「きちっとした形で内燃機関が電動車に置き換わってくるのは30年代中頃まではかかるだろう。さらにそれが世界中ということになると、やはり時間が必要だ」と続けた。

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