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中国製EVの輸出台数は毎年のように倍増、だが欧米では不安の声も

中国製evの輸出台数は毎年のように倍増、だが欧米では不安の声も中国製の電気自動車(EV)が、世界市場への参入を続けている。その勢いは、中国の自動車輸出台数が新型コロナウイルス感染症のパンデミック後に急増していることに表れている。2020年は約100万台だった輸出台数は、2021年は200万台と倍増し、メディアの注目を大いに浴びた。

それ以降も、輸出台数はさらに飛躍的な伸びを見せている。中国汽車工業協会(CAAM)によれば、2023年の輸出台数は500万台近くに達したという。

つまり中国の自動車輸出台数は、2021年から2022年にかけて100万台増えた後、中国の自動車メーカーが世界で注目を集めるようになった2022年から2023年にかけて、さらに200万台増えたのだ。

中国からの自動車輸出台数(乗用車、商用車を含む)

2021年:NEV 30万 従来型 170万 NEVの割合:15%

2022年:NEV 70万 従来型 240万 NEVの割合:22%

2023年:NEV 120万 従来型 370万 NEVの割合:25%

※NEV(新エネルギー車:電気自動車、プラグインハイブリッド車、燃料電池車)

※2018年~2020年には年間約100万台を輸出

出典:中国汽車工業協会(CAAM)

中国の自動車輸出台数は、わずか3年でおよそ5倍になった。公式の数字によると、2022年に中国は、自動車輸出台数でドイツを上回って世界第2位の輸出大国になり、2023年には日本をも抜いたと報道された。

ただし、日本と中国の2023年関税データを見ると、中国の輸出台数は約520万台と、日本の約600万台よりも若干少ない。それでも中国が、取引額の大きい主要輸出品第4位である自動車について、世界最大の輸出国になるのは時間の問題のように見える。

欧州と北米で報道される中国製自動車関連の記事は、ほとんどがEVに注目している。ただし中国は現在、アジア、中東、アフリカに、従来型自動車を大量に出荷し続けており、EVが同国最大の輸出品になるのはまだまだ先の話だ。

一方で、対欧州のEV輸出は最も増えている。中国の自動車輸出台数に占めるEVの割合は、2年前には15%だったが、2023年は25%に拡大した。

中国国内のEV販売が鈍化してきているため、自動車メーカーは輸出にいっそう力を注いでおり、それが海外で動きが目立つ理由になっている。最も有名な中国のEVメーカーBYD(比亜迪)は、2023年第4四半期に販売台数が初めてライバルのテスラを上回ったと発表した。

欧米諸国における中国産EV

欧米諸国における中国EVは、賛否両論の的だ。いまだに高価なEVが多いなか、中国製EVの低価格は歓迎される一方で、セキュリティと品質を懸念する声も上がっている。

欧米で実施された調査によれば、中国車に対する否定的な意見はいまも根強い。中国車の浸透度が最も低い米国では、2024年2月末に、中国から輸入されるコネクテッドカー(インターネットに接続された自動車)を巡るデータセキュリティ上のリスクについて調査が始まった。

米バイデン大統領は声明を発表し、調査の実施は「これまでにない措置であり、中国などの懸念のある国から輸入され、米国の道路を走行する自動車によって、国家の安全が損なわれることのないようにするためだ」と述べている。

欧州委員会は2023年10月、中国から輸入されるEVに関して、相殺関税措置を発動する可能性も視野に入れた調査に着手した。また、中国政府が自国の自動車メーカーに出している多額の補助金が、国際商取引法に違反しているのではないかとして、調査も行われている。

フォーリン・ポリシー誌は2024年3月7日の記事で、中国自動車メーカーによる欧米EV市場への本格参入について、「受け入れる側の欧米諸国は準備ができていない」と述べた。一方で、中国製EVは極めて安価であるため、欧米メーカー製のEVの価格はすでに下落し始めていると指摘した。

英エコノミスト誌も2024年1月、「中国製自動車の流入が欧米諸国を震え上がらせている」と題した記事を掲載。その一方で、気候変動に直面している現実を考えると、消費者がより安くより多くのEVを購入できる動きは歓迎されるべきだと指摘した。

(forbes.com 原文)

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