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タイヤ・ホイールはもはや「ネットショップ」で買う時代? 取り付けも心配しなくていいワケ

ネット購入利用者が増加

 近年、ネット購入が急成長を遂げている。PCやスマートフォンの普及や、コロナ禍の巣ごもり需要も手伝って、急速に身近なものになった。今では、家にいながらにしてありとあらゆるものが手に入る。

【画像】画面ちっさ! これが40年前の「カーナビ」です(計9枚)

 カー用品も例外ではない。カー用品とはクルマに追加する部品や、運転、乗車、メンテナンスに使用する物品を指し、具体的には

・タイヤ

・アルミホイール

・タイヤチェーン

・ドライブレコーダー

・ETC

・カーナビ

・ワイパー

・窓ガラス用撥水剤

・エンジンオイル

・バッテリー

・ヘッドライトバルブ・ランプ

・マフラー

・サスペンションなどのスポーツパーツ

・洗車用品

・芳香剤

・車載充電器およびアクセサリー

などだ。現在は、カーメンテナンスに必要なアイテムから、ドレスアップパーツに至るまで通販で購入可能となっている。カー用品は通販専門の店舗もあれば、オートバックスやイエローハットのように実店舗を構える店舗の商品も通販で買うことができる。

 そもそも、カー用品業界は他の業界に比べてECに適していない。実際、2022年度のカー用品業界のEC化率は

「3.98%」

と全産業の9.13%に比べて著しく低い。その理由は、カー用品は購入後取り付けが必要な物が多く、

「そのアイテムが自分の車と適合するかどうかの判断が難しい」

ことが挙げられる。また、カー用品の中には

「自分で取りつけるのが困難」

なものがある点も、要因のひとつとして考えられる。

 これらの理由からカー用品はネット購入に向かない商品が多いのだ。しかし、カー用品だけをピンポイントで見てみると、2014年は1.98%で飛躍的にEC化率が上がっていることがわかる。

 マイボイスコム株式会社が2020年5月に実施した「カー用品に関するアンケート調査」でも、直近3年間にカー用品を買った人は5割にものぼっていた。これまで実店舗での購入が主だったカー用品。一体なぜネットでの購入が増加しているのだろうか。

ネット購入が増加しているワケ

タイヤ・ホイールはもはや「ネットショップ」で買う時代? 取り付けも心配しなくていいワケ

ネット購入のイメージ画像(画像:写真AC)

 ネット購入の持つメリットが大きな理由のひとつだ。

 ネット購入なら、様々な商品を比較することできる。マーケティングリサーチ企業・GfKジャパン(東京都中野区)が2017年3月におこなった「カー用品のインターネット購入実態調査」によれば、1年以内にネットでカー用品を購入したことのあるドライバーは

「29%」

だった。そのうちの87%が「価格」を比較していた。節約志向の強いネット購入利用者にとって、容易に複数店舗の価格を比較できるという点は大きなメリットなのだ。また、商品のレビューも容易に閲覧することができる。時間を節約しつつ、より多くの情報を収集して、自分の希望にあった商品を見つけ出すことができるのだ。

 もうひとつの理由は、業界でBOPISが導入されているという点だ。BOPISとは

・Buy

・Online

・Pick-up

・In

・Store

の略語である。ネット店舗で注文したものを実店舗で受け取る仕組みのことを意味する。例えば、タイヤなどのアイテムはネット購入したとしても、ホイールを組んで車に取り付ける必要がある。

 ネット購入で安く手に入ったとしても、素人の自宅にタイヤが届いたら持て余してしまう。機器を持ち込んで設置してくれる店を見つけたとしても、手間や追加料金を考えると、結局は実店舗で購入した方が安くつく場合もある。

 この悩みを解決するのがBOPISである。ネット購入した商品は提携している実店舗に届き、購入者は実店舗で購入した商品を取り付けてもらえるという仕組みだ。

 いわば、

「ネット店舗と実店舗の融合」

により、カー用品には敷居の高かったネット購入を、より身近なものとすることに成功したのである。

BOPISがもたらすメリット

タイヤ・ホイールはもはや「ネットショップ」で買う時代? 取り付けも心配しなくていいワケ

タイヤ交換作業(画像:写真AC)

 BOPISの導入には事業者側にもメリットがある。

 ネット店舗で買いたいという消費者のニーズに対応できるうえに、

「取り付けの不安を解消する」

ことで顧客満足度を上げることが可能だ。さらに、商品の取り付け時には消費者を実店舗へ誘導できる。取り付け作業中に店内をぶらぶらしてもらって、

「ついで」

に他の商品を購入してもらうチャンスを得られるのだ。さらに、物流コストも効率化できる。注文の品が実店舗にあればそれでいいし、店舗に送る必要があるとしても、

「既存の物流ルートに便乗させる」

ことが可能となる。

 このように事業者側にもメリットが多く、ネット購入の普及に合わせてデジタルマーケティングを積極的に活用できることから、カー用品業界におけるネット販売は今後もさらに拡大するだろう。

クルマを軸にした新たなEC体験

タイヤ・ホイールはもはや「ネットショップ」で買う時代? 取り付けも心配しなくていいワケ

カーライフを主軸にオートバックスオリジナルブランドをメインに集約したライフスタイル型ECモール「ブルンブルーン」(画像:オートバックスセブン)

 オートバックスセブン(東京都江東区)は、カーライフを中心としたオリジナルブランドを集約したライフスタイル型ECモール「ブルンブルーン」を2022年7月にオープンした。

 ニュースリリースによると、

「バンライフ、ガレージライフ、ファッション、キャンプ、モータースポーツ、eモータースポーツにいたるまで、クルマを中心にあらゆる“モノ”や“コト”を発見できる新しいタイプ」

のECモールと表現している。

 サイトを実際に見てみると、アパレル系のネット店舗のようなスタイリッシュなサイトだ。扱うアイテムはカー用品に限らず、ファッションアイテム、グッズ、アクセサリー、コスメなど多岐にわたる。オートバックスはBOPISの一歩先を行こうとしている。

 ネット店舗と実店舗の融合はなかなか興味深い。どちらにもそれぞれのよさがある。両者が補完し合い、新たな客層にアピールできれば、カー用品の売上は今後伸びていくだろう。

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