(写真=CAR and DRIVER) この記事は2023年1月19日に「CAR and DRIVER」で公開された「日産がFAIRLADY Z CUSTOMIZED EDITIONを発表。市販時はパーツ販売で展開」を一部編集し、転載したものです。 日産が東京オートサロン2023で市販バージョンの「FAIRLADY Z CUSTOMIZED EDITION」を初公開。フロントバンパーで上下2分割化されたグリルや大型カーボンスポイラー、トラディショナルな19インチアルミホイールなど数々の専用パーツを装備 日産自動車は2023年1月13日、東京オートサロン2023で市販予定の「FAIRLADY Z CUSTOMIZED EDITION」を発表した。 前回の東京オートサロンにおける東京国際カスタムカーコンテスト2022でグランプリを受賞した「FAIRLADY Z CUSTOMIZED ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2023年1月16日に「CAR and DRIVER」で公開された「【新車解説】エコカーからの脱却。新型トヨタ・プリウスが提示する最新21世紀カーの新価値」を一部編集し、転載したものです。 ■トヨタ・プリウス 価格:275~392万円(PHEVは2023年春発売予定) 新車ニュース ■トヨタのHVは約1億6200万トンのCO2排出削減に貢献 2022年11月16日、 「Hybrid Reborn」をコンセプトに開発された5代目プリウスが発表された。 1997年12月、「21世紀に間に合いました」という名コピーとともに初代が姿を現してから四半世紀。当初は耳慣れなかった「ハイブリッド」は、すっかり一般化した。いまやガソリンやディーゼルエンジンなどと同様の自動車用パワーユニットのひとつとして完全に市民権を獲得している。この現状は、25年前にはまったく想像できなかった。デビュー当初は「1台のクルマにエンジンとモーターという2つの動力源を積むなんてバカげている」といった批判の声すら聞かれたのだ。それが当たってはいなかったことは現在の普及具合を見れば明らかだろう。 確かにハイブリッドは、2種類のユニットを搭載することでコストや重量面でハンディキャップを背負うのは間違いない。一方で、そんな異なる方式がお互いのウイークポイントを補うことで、単独ユニットを搭載したモデルでは成し得なかった効率の高さを発揮するのが魅力。そこが、「一過性のショートリリーフにすぎない」という予想を覆して長期政権を担い、さらには「エコカーの主役」といえるほどのポジションを獲得した要因である。 ちなみにプリウス発売後、トヨタはグローバルで2030万台(うちプリウス約505万台)のハイブリッド車を販売。累計、約1億6200万トンものCO2排出削減に貢献したという。 ■未完成なイメージだった初代。最新5thモデルはスポーティ/高機能に大変身! 自分自身、「何だか面白そう!」という純粋な興味で、デビューと同時に初代プリウスを購入した。 開発の最中にはDレンジに入れたのにバックするような有様で、開発者から「これはモノにならないかもしれないナと思ったこともありました」という逸話(?)を耳にしていたとおり、初代の初期型はちょっと物足りない動力性能など、まだ「プロトタイプ」を思わせる部分があったことを思い出す。 しかしプリウスは、スマートフォンやスマートウォッチといったガジェット類がそうであったように、まさに日進月歩の勢いで性能・機能の向上を果たした。登場後わずかに2年半を待たずして行われたマイナーチェンジでは、加速も燃費もまるで別のクルマのように素晴らしく進歩していた。予想と覚悟はしていたとはいえ大きなショックを受けたというのも、いまでは懐かしい思い出だ。 2代目以降は名実ともにグローバルカーに発展。国際的に高い評価を獲得する。フロントからルーフを通ってボディ後端へと続くエアロダイナミクスを強く意識したワンモーションラインは、2代目で確立されたスタイリング上のアイデンティティ。そして、その流れはさらに徹底され5代目モデルに継承された。新型が、グンと流麗でスポーティになりながらもひと目で「プリウスだ!」と認識できるルックスの持ち主であることは、まさにこの特徴があるからだといってもいいだろう。 サイズは全長×全幅×全高4600×1780×1430mm、ホイールベースは2750mm。全長は旧型比で50mm長く、幅は20mmワイド、高さは40mmも低い。ホイールベースは50mm長くなり、その分、リアオーバーハングが短縮されている。 ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2023年1月10日に「CAR and DRIVER」で公開された「トヨタがタイ進出60周年。タイのコングロマリットと水素の可能性を追求&アピール」を一部編集し、転載したものです。 ■トヨタとタイのCPグループがカーボン・ニュートラル追求で合意した トヨタがタイで開催された25時間耐久レースに出場(2022年12月17〜18日)し、水素の重要性をアピールした。モリゾウ選手(豊田章男社長)がステアリングを握った水素エンジン・カローラは152周。関口雄飛選手らが出場したトヨタ・ガズー・レーシング・チーム・タイは443周を重ねた。 今回、レースに出場する前に、豊田社長はタイのコングロマリット、チャルーンポーカパン・グループ(CPグループ)と「カーボンニュートラルに向けて協力を検討していく」ことで合意している(12月14日)。 合意内容は以下のとおり。 1)家畜の糞尿から生まれるバイオガスを活用した水素製造(経済特区での実施を中心に検討) 2)上記の水素を活用した配送トラックのFCEV化(走行距離は積載重量などに応じ、BEVやFCEVなどさまざまなソリューションを提供) 3)コネクティッド技術を活用した最適配送ルート提案などによる物流効率化 物流に関連した課題解決、カーボンニュートラル実現に関しては、すでに国内にコマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ社(トヨタ、いすゞ、スズキ、ダイハツが資本出資)が設立されており、ここもアジアでの取り組みを検討していく。 なお、12月14日にはトヨタ・モーター・タイランドが設立60周年記念式典を開催。タイ王国のスパッタナポン・パンミーチャオ副首相兼エネルギー大臣ら政府関係者やサプライヤー、ディーラー、豊田章男トヨタ社長、山下典昭タイトヨタ社長ら約1500名が出席した。 現在、トヨタはタイに1964年に生産を開始したサムロン工場など全3工場を展開。2021年の年間生産実績は約52万台だった。 Writer:カー・アンド・ドライバー編集部 (提供:CAR and DRIVER)
フィットe:HEV・RS 価格:234万6300円 Photo:HONDA フィットがマイナーチェンジ。注目はホンダスピリットを注入したRSである。e:HEVシステムを高出力化し、足回りを専用セッティング。精悍な内外装も“本気モード”満点だ。 “ボーイズレーサー”復活 人気が再燃しそう フィットにRSが帰ってきた。見た瞬間に“ボーイズレーサー”復活、とうれしくなった。ロードセーリングを意味するRSは初代シビックのスポーツ版から継承する伝統の記号である。 ホンダはシビックに最強のタイプRが誕生したばかり。だが、タイプRはサイズもクラスも価格も“お手ごろ”とは言い難い。旧型のフィットRSはモータースポーツ全般を含め、スポーツコンパクトハッチとしてちょうどいい設定だった。新型も同様。人気が再燃しそうである。 フィットそのもののマイナーチェンジを機に追加されたRSは、期待どおりスポーティな印象。RS専用グリルとヘッドライトリングをブラックアウトした鋭い目つき。そして専用バンパーによる引き締まったマスクが目を引く。 “RS”はロードセーリングの意味。初代シビックが起源の伝統ネーミング。走りと快適性をバランスさせたチューニングが特徴。JOY耐レース参戦車で得たノウハウも投入されている 内装は精悍で上質。本革巻きステアリ ングは3本スポーク形状。パドル形状の減速セレクター(4段階)を標準装備する シートはプライムスムースとスエード調素材のコンビ エアロ処理も洗練された。RS専用のサイドシルガーニッシュと、リアバンパー一体の大型スカート、大型ルーフスポイラーが空気の流れをコントロール。効果的な冷却を計算しながら、空気抵抗の低減を目指した。 足元もスペシャルだ。放熱効果の高い16インチアルミにグリップ力に優れたヨコハマブルーアースGTを装着。サスペンションは標準比でフロントのバネレートを下げ、リアは逆に上げ、同時にダンパー減衰力を変更。フロントスタビライザーは捻り剛性を4%ほどハードにした。バネ/ダンパーのリファインは、前後のロール姿勢を標準車よりも自然にして操縦性と乗り味に貢献する。 パワーユニットにも工夫がある。RSの走行モードはECON/ノーマルに加えスポーツを用意。アクセル操作に対する応答性をより早めた。 次代に最適なスポーツ性 e:HEVの新たな可能性を体感 ドライブすると、スポーティモデルらしく軽快でダイレクト。e:HEVシステムは、駆動用モーターの最大出力を従来比13psアップの123psにして加速性が向上。エンジンのレブリミットは300rpm高い6300rpmに引き上げている。制御としては、アクセル開度よりも駆動力を早めに立ち上げる設定。エンジンが発電する回転よりも速い加速は、鈍さや空転感を感じさせない。 ゼロスタートや旋回からの加速では、瞬時に立ち上がるモータートルクが強力に前へ前へと引っ張る。これは駆動モーター出力のパワフル化だけでなく、発電機(エンジン)の出力を98psから106psにして発電用モーターを70kWから78kWに出力アップしたこと、アクセルに関する緻密な制御の相乗効果だ。ステアリングの減速パドル制御も改良され、クリックごとにワンペダルに近い減速Gを強める。RSはドライビングのリズムが作りやすい。 ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2023年1月9日に「CAR and DRIVER」で公開された「プジョーが最新の電動プラットフォーム「STLAラージ」を採用したEVコンセプトモデルの「INCEPTION CONCEPT」を米国で初公開」を一部編集し、転載したものです。 プジョーが米国ラスベガスで開催されたCES2023で将来の電気自動車に対するビジョンを具現化したコンセプトEVの「INCEPTION CONCEPT」を披露。新世代の電動プラットフォーム「STLAラージ」に最新のデザイン言語を導入したエクステリア、ハイパースクエアコントロールシステムおよび次世代i-Cockpitを配したインテリア、最高出力500kWを発生するデュアルモーターなどを採用してプジョー車の近未来を示唆 ステランティスは2023年1月5日(現地時間)、米国ネバダ州ラスベガスで1月5日~8日に開催された家電エレクトロニクスショー「CES2023」において、プジョー・ブランドのコンセプトEV「INCEPTION CONCEPT(インセプション コンセプト)」を公開した。 プジョーの将来の電気自動車に対するビジョンを具現化したというINCEPTION CONCEPTは、基本骨格に2023年から市販モデルに採用予定の電動プラットフォーム「STLAラージ」を導入。ここに、プジョーの最新デザイン言語を導入したエクステリアを組み合わせる。フロントマスクは近年のプジョーを象徴するライオンの爪痕の造形を取り入れた新しいライトシグネチャーや、中央にプジョーロゴを配したうえで単一のガラスで覆った3D発光効果を有するグリルを採用。グリル内部には先進安全運転支援システムの要素となる様々なセンサー類を組み込む。一方、ドア部にはテックバーを水平に配置。テックバーにはバッテリーの充電レベルも表示する。また、サイドウィンドウのフラッシュスクリーンには乗員が近づくと車外に多様なメッセージを発する機能を装備。AIがドライバーを認識し、各乗員が望むシート姿勢や室内温度、ドライビングモード、マルチメディアなどを設定することも可能とした。 キャビン上部をガラスのカプセル状に覆ったことも特徴で、フロントガラス、サイドウィンドウ、クォーターウィンドウを合わせたガラス総面積は7.25㎡と広大。また、ガラス自体にはNASAの宇宙飛行士のヘルメットバイザー用に開発され、建築用としても使われるマルチクロム(金属酸化物)処理ガラスを採用。優れた熱特性を有し、室内の快適さを保つことに貢献している。 ボディカラーも要注目で、外部環境に即して色合いが変化する新塗料を採用。また、塗装はシングルコーティングで仕上げ、従来の塗装に比べてエネルギー消費量の大幅な削減を果たしている。 内包するインテリアは、ハイパースクエアコントロールシステムおよび次世代i-Cockpitを採用したことが特徴。テレビゲームのコントローラーから発想したハイパースクエアコントロールシステムは、従来のステアリングホイールを廃する一方でデジタル電気制御とステアバイワイヤ技術を導入し、次世代i-Cockpitとともに俊敏かつ直感的なドライブ体験を提供する。また、ハイパースクエアコントロールシステムの中央部には、制御情報を表示するタブレット型スクリーンを設置。エアコン、オーディオ音量、ADASなどの機能のピクトグラムを2枚のサイドパネルに表示し、ステアリングコントロールから手を離さずに親指を動かすだけで簡単にコントロール機能へとアクセスできる。また、インセプション コンセプトはレベル4の自律走行機能に対応。自律走行時はハイパースクエアがコンソールへと格納されるとともに、大型パノラマスクリーンがフロアから上昇する。なお、プジョーは10年以内にハイパースクエアコントロールシステムの市販車への採用を目指している。 サステナビリティも最大限に重視し、内装材にはデザインセンターのプロトタイピングワークショップやサプライヤーから出た100%ポリエステル生地の切れ端を再利用した“moulded textiles(モールディッド ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2023年1月11日に「CAR and DRIVER」で公開された「マツダならではの新価値の創造。クルマ好きを魅了するCX-60の俊敏パフォーマンス」を一部編集し、転載したものです。 ■マツダCX-60 価格/299万2000〜626万4500円 試乗記 ■CX-60は「人間中心」の開発哲学から誕生した果実 マツダ車のユーザーは平均的な日本人に比べて「年間走行距離が長め」というデータがあると聞いた。そのぶんクルマ感度の高いユーザーが多くなる。それゆえマツダはここ数年、一貫して「人間中心の運転する喜び」をクルマ作りの基本に置いてきた。その集大成ともいうべきシリーズが、CX-60を皮切りに登場するラージ商品群だ。 リーマン・ショックのどん底から復活を遂げたマツダの柱となったのは、一連のスカイアクティブ技術だった。時代の流れというべき電動化の波にあらがうかのように、内燃機関やトランスミッションの効率を極めていくという地道にして大胆な取り組みを実施。一貫したデザイン戦略(クルマからCIまで)と連動して、マツダ・ブランドの復活に加え上級化も促進した。 この復活期において、リアルな販売を支えてきたモデルがSUVのCX-5だった。CX-5は初代も現行型も世界中で高い人気を集め、マツダの新たな基幹モデルに成長した。新登場のCX-60は、多くのマツダ・ファンを生んだSUVからのステップアップとして、また輸入車に流れた上級志向ユーザーの取り込みも狙って開発された意欲作である。 人間中心、つまりドライビングを柱にした開発哲学から導き出された戦略は、「プラットフォームからパワートレーンまですべてを一新する」ことだった。しかもいまどき新たに直列6気筒エンジンを開発し、それに新しいトルコンレス・オートマチックトランスミッションを組み合わせるなど、多数のブランドを抱えるメガグループでもやりそうにない、いってみれば時代に逆行した要素を多数盛り込んだ。もちろんPHVや48VマイルドHVといったハイブリッドシステムも採用しつつ、だ。 そして大胆にもマツダは今後、新たなFRプラットフォームをベースに、いわゆる「ラージ商品群」を充実させていくという。生産台数も限られる昨今、1台当たりの利益追求も生き残るための戦略といえるだろう。つまり、その視点があったからこそ果敢なデザイン戦略を採ってきたのだ。新たな価値観の創出に向けて、地ならしを進めてきたと見るべきだ。 ■求めたのはドライビングプレジャー! CX-60は運転が楽しいクルマの筆頭 CX-60のグレード展開は多彩。ガソリンエンジンのFRから直6ディーゼル+マイルドハイブリッドの4WD、さらにはガソリン+プラグインハイブリッドまで揃う。価格も300万円から600万円超まで選択肢は多岐に及んでいる。 現時点で試乗できたのは3.3リッター直6ディーゼル(254ps/550Nm)とモーター(16.3ps/153Nm)を組み合わせた車両価格が500万円台のXDハイブリッド系のみ。街中から高速道路、ワインディングロードとさまざまなシチュエーションで試して得た印象から、マツダ車の新たな価値をリポートしてみよう。 前述したように、ドライビング領域を重視するということは人間中心に立ち戻ることだと開発陣は主張する。小型スポーツカーのロードスターではなく、ミドルレンジのSUVであってもそれを貫くことがマツダの生き残る道、彼らはそう考えた。実際にCX-60のステアリングを握ると、“積極的にドライブして吉”というクルマであることを実感する。 印象的だったのは高速領域とワインディングロードだ。前者は新東名高速のような120km/hまで制限速度を高めた区間で、とくに威力を発揮する。視線の移動が少なく、実に安定した走りをみせた。リア席も含めて快適性もハイレベル。これなら欧州でも十分に戦える。後者はさらに痛快だった。豊かなトルクを存分に使い、野太いサウンドを楽しみながらアクセルコントロールだけで面白いように峠道を駆け抜けていく。流行のアクティブシステムがもたらすオンザレール感というより、人の意思とクルマの動きが連携する感覚とでもいおうか。自動運転が取り沙汰される昨今、これまた真逆の価値観だといっていい。 そのうえで、特筆すべきは燃費性能のよさだ。高速道路ではクルージング走行で20km/リッターを超えるし、ワインディングで踏み込んでもひどい数値にはならない。WLTCモード燃費は21.0km/リッター。これもまた、ドライビングカーとしての美点だ。 ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2023年1月7日に「CAR and DRIVER」で公開された「ソニー・ホンダ モビリティが新ブランド「AFEELA(アフィーラ)」を米国で発表。新型EVのプロトタイプも公開」を一部編集し、転載したものです。 ●米国ラスベガスで開催されたCES2023への出展に合わせてソニー・ホンダ モビリティが新ブランドの「AFEELA(アフィーラ)」を発表。最大800TOPSの演算能力を有するECUを採用した新型EVのプロトタイプも初披露 ソニー・ホンダ モビリティ(SHM)は2023年1月4日(現地時間)、米国ネバダ州ラスベガスで1月5日~8日に開催された家電エレクトロニクスショー「CES2023」に出展するのに合わせて、新ブランドの「AFEELA(アフィーラ)」の立ち上げを発表。同時に、新型EVのプロトタイプを初公開した。 SHMは高付加価値型の電気自動車の開発および販売と、モビリティ向けサービスの提供を目的に2022年6月に設立したソニーとホンダの合弁会社。今回の発表の場では、水野泰秀代表取締役会長兼CEOが「多様な知で革新を追求し、人を動かす。」という企業パーパスについて説明するとともに、最先端の技術と感性を掛け合わせ、“Mobility Tech Company”としてモビリティの革新を追求していくことを表明する。そして、新ブランドのAFEELAに関しては「SHMの考えるモビリティ体験の中心にある“FEEL”を表した新進のブランド」と解説。ブランド名は、人がモビリティについて知性を持つ存在として“感じる”こと、またモビリティがセンシングとネットワークに代表されるIT技術を用いて人と社会を“感じる”ことという、双方向的な関係性を表しているという。 公開された新型EVのプロトタイプに話を移そう。目指したのは、「新たなモビリティの価値基準の創出」。クルマを構成する主な要素が動力性能やパフォーマンスから、ソフトウェア、ネットワーク、ユーザーエクスペリエンスに変わっていく転換点において、既存の常識に捉われずにクルマの個性や在り方を見つめ直して開発したという。 エクステリアについては、ホンダが開発を主導するプラットフォームを基調に、従来の車両デザインに求められた造形を再構築するとともに、積み上げられてきた価値観をいっそう磨き上げることで、本質的な価値を浮き彫りにした、ピュアで力強い4ドアファストバックフォルムに仕上げる。全体のアレンジとしては、SHM設立前にソニーが披露したVISION-Sシリーズ(開発・製造はカナダのマグナ・インターナショナルの子会社であるオーストリアのマグナ・シュタイアが担当)や、ホンダの最新EVなどをさらに進化させた、スペースシップのようなスマートかつ先進的なアピアランスが特徴だ。また、フロントセクションには光を用いて外部とのコミュニケーションを図る「Media Bar」を採用。今後さまざまなパートナーやクリエイターとともに、その可能性を幅広く模索していくという。 ボディサイズは全長4895×全幅1900×全高1460mmと、現行アコードとほぼ同レベルのミドルサルーンクラスに設定。一方、ホイールベースはアコードよりも170mm長い3000mmとしていることから、アッパーサルーンクラス並の広いキャビン空間を構築していることが想像できる。また、懸架機構は前ダブルウィッシュボーン式/後マルチリンク式の4輪独立懸架を採用し、タイヤには前245/40R21/275/35R21という前後異サイズを装着した。 内包するインテリアは、無垢でやさしいラウンディッシュなデザインを基調に、単に心地よいだけでなく乗員の注意をそらすような装飾性を極力廃し、合わせてカラーリングもシンプルさを徹底して、人が求める機能と体験を高レベルで具現化する。インパネには両端まで横一線に広がるパノラミックスクリーンを配し、物理的なスイッチは省略。センターコンソールにはダイヤル式のコントローラーを装備した。一方、5名乗りで構成するキャビン空間は、乗員を包み込むような造形でアレンジ。ロングホイールベースを活かした広い居住スペースや頭上に広がるガラスルーフと相まって、乗員が快適にくつろげる、ゆとりの空間を演出する。環境負荷の低いテキスタイルや空気を浄化する機能性素材を多用したことも、インテリアのトピックだ。 パワートレイについては、前後にモーターを搭載するAWDで構成。市販時には2WDも設定されるかもしれない。また、最新の先進運転支援システム(ADAS)やインフォテインメントシステムを採用したことも訴求点で、車両の内外に計45個のカメラやセンサーなどを設置するとともに、最大800TOPS(Trillion ...
三菱「デリカミニ」。手前はキャンプグッズメーカーのコールマンとのコラボ車。東京オートサロン2023にて Photo by Kenji Momota 日本市場の約4割を占める軽自動車。生活車としてだけではなく、オフロードを楽しむモデルが最近、続々と登場している。東京オートサロン2023での現地取材を基に、最新の軽市場の状況を紹介したい。(ジャーナリスト 桃田健史) EVシフトとアウトドア系がキーワード 日常生活での利便性、電池性能アップで人気に 最近、軽自動車市場での新しい動きとして「EV(電気自動車)シフト」と「アウトドア系モデル」に世間の注目が集まっている。 まず、EVシフトについては、2022年5月に登場した日産自動車「サクラ」と三菱自動車「eKクロスEV」が軽自動車として初めて日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝くなど、両モデルの販売が好調だ。 その理由としては、軽ユーザーにとっての日常生活での利用条件、現時点でのリチウムイオン電池の性能、そしてコストのバランスを考慮した商品性がユーザーに高く評価されたことが挙げられるだろう。さらに、国や地方自治体等による次世代車向けの購入補助金が合計で100万円ほどに及ぶ場合もあるなど、ユーザーにとって実質的な大幅割引になっている影響も当然大きいといえる。 軽EVについては、軽市場のベストセラー「N-BOX」を擁するホンダが24年に軽商用EVを100万円台で導入することを明らかにしており、その後の乗用軽EVを適宜導入すると説明している。 一方、ダイハツは22年11月にリチウムイオン電池業界で世界最大の供給量を誇る中国CATLと戦略的協力に関する覚書を交わした。ダイハツ関係者によると、軽EVの今後の可能性については、東京モータショー改め23年10月開催予定の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023で見ていただけたら…」と、軽EVに関する出展をにおわせた。 また、スズキは23年1月11日に開幕したインドのニューデリーでのAUTO EXPO 2023でスズキとして初となる世界戦略EV「eVX」を発表した。25年にインドでの量産化を目指す量産車のコンセプトモデルという位置付けだ。 ...
フェラーリ・プロサングエ 価格:未定 Photo:Ferrari フェラーリから“噂のSUV”、プロサングエが登場した。しかし、そこはスポーツカーの超名門の作品である。彼らが「初の4ドアモデル」と表現するようにSUVの範疇には収まらないサラブレッドに仕上がっている。フロントミッドに搭載するのは6.5Lの自然吸気V12(725hp)。49対51という理想的な前後重量配分を実現し、リアには新開発アクティブサスペンションを導入する。トップスピードは310km/hに達し、0→100km/h加速は3.3秒でクリア。駆動方式は4WD。美しく速い4シーターの“跳ね馬”誕生に胸が高鳴る。 「まったく新しいカテゴリーに属する 実にオーセンティックなマラネッロ製スポーツカー」 “フェラーリもSUVを出す”というウワサは現実となった。その名はプロサングエ。イタリア語で“純血種”を意味する、英語で言うところのサラブレッドだ。 SUVスタイルを持つモデルではある。けれどもプレスカンファレンスでマラネッロの首脳陣はプロサングエを「初の4ドアモデル」とはいったものの一度もSUVとは呼ばなかった。プロサングエは、ブランニューモデルでありながら、マラネッロの75年にわたる歴史にあってあくまでも純血種であり、伝統に背くモデルではないというのが彼らの主張である。確かにプレゼンテーションを聞いた後では「まったく新しいカテゴリーに属する、実にオーセンティックなマラネッロ製スポーツカー」、といいたい自分がいた。 スタイリングは予想どおり。初期のリーク写真によく似ている。中でも印象的だったのはリアフェンダーの膨らみとリアオーバーハングの短さ、そしてアッパーボディとロワボディが2階建て構造になっていること。ちなみにロワボディのパートはマットかグロスのブラックが標準で、カーボンファイバーはオプションとなる。ボディ同色はいまのところ設定されていない。デザイナーが認めていないのだろう。 гѓ—гѓг‚µгѓіг‚°г‚Ёпј€PUROSANGUE)というネーミングはイタリア語で“純血種”を意味する。フェラーリ初の4ドアモデルながらжЈзµ±г‚№гѓќгѓјгѓ„г‚«гѓјгЃ§гЃ‚г‚‹гЃ“гЃЁгЃ®е®ЈиЁЂгЃЁг‚‚еЏ—гЃ‘еЏ–г‚Њг‚‹гЂ‚гѓ‰г‚ўгЃЇгѓ¦гѓ‹гѓјг‚ЇгЃЄи¦ійџій–‹гЃЌж§‹йЂ 予想を超えてきたのはリアドアの開き方だった。ロールスロイスのように観音開きになっている。マラネッロはこれを“ウェルカムドア”と呼ぶ。実際に開け閉めして乗り込んでみたが、確かに乗りやすい(ドアの開く角度も大きい)。後席に荷物を投げ入れることも容易だ。このドアは、便利なだけではなかった。後ろヒンジのリアドアを採用したことでホイールベースを必要以上に長くせずにすみ軽量化に貢献した。大きなピラーを残したことは、高剛性化にもプラスをもたらしている。事実、全長やホイールベースは2ドア4シーターのGTC4ルッソとほとんど変わらず、全高が20cm高くなっただけである。 目を見張ったのはインテリアだった。ローマの流れを汲んだデュアルコクピットコンセプトをいっそう大胆に取り入れている。シートは4席ともスポーティなバケットタイプで、座ってみればタイトさと広い空間の組み合わせが意外にも新鮮だ。細かな点ではステアリング周りのスイッチ類も“ローマの不評”を改善して凸凹が付けられ、操作性は向上していると見受けた。 インパネには左右を分割したデュアルコクピットコンセプトを導入。トランスミッションは8速DCT シートは前後とも独立したバケット形状。 室内空間は広く後席でも心地いいスポーツフィールが楽しめる パワーユニットは伝統のV12自然吸気 少量生産のスペシャルな“4ドアの跳ね馬”の誕生 マラネッロが背の高い4ドアの新型モデルを“純血スポーツカー”と名付けた理由は、メカニズムを知ればさらに理解できるだろう。 何はさておき跳ね馬はエンジンだ。予想どおり、V12を積んできた。しかも6.5Lの自然吸気ユニットである。エンツォ由来のF140型で、812コンペティツィオーネ用のHB型からいくつかの要素を引き継ぎつつ、主要部品を一新した“ほぼ新型”である。型式名はF140IAだ。実用域からのトルク性能にこだわって再設計されており、そのぶん最高出力は725hpと“抑えぎみ”。SF90以来の軽量低重心な8速DCTを組み合わせている。 重要な点はV12パワートレーンをフロントミドシップ+トランスアクスルとした点だ。プロサングエは、GTC4ルッソを4ドアにして、車高を上げたようなモデルなのである。この点だけでも他のスーパーSUVとは一線を画する存在だといえる。 ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2023年1月2日に「CAR and DRIVER」で公開された「システム出力830ps! フェラーリ296GTBはEVとして利用可能な、技あり跳ね馬である」を一部編集し、転載したものです。 ■フェラーリ296GTB 価格:3678万円 試乗記 ■フェラーリの時代を見る力は確か。新V6+モーターはパワフルで官能的 296GTB、伝統に則って車名の意味を読み解けば、2.9リッターの6気筒エンジンを積むGTベルリネッタ(クーペ)である。電気モーターと大容量バッテリーを積み、システム最高出力は830㎰。マイナス2気筒ながら、性能的にはF8トリビュートを上回っている。6発だからといって廉価版ではないし、単なるダウンサイジングでもない。フェラーリ流の「時代に合わせた」価値観の表現だ。 基本的にモノグレードだが、サーキットを前提とした「アセット・フィオラーノ」というパッケージオプションが用意されている。軽量化にこだわったほか、専用ダンピングシステムや250LM風のカラーリングもチョイスできるなど人気のオプションである。そして遅れてスパイダーのGTSもラインアップに加わった。 開発陣が「ピッコロV12」というニックネームをつけた新エンジンの咆哮は、高回転になればなるほどむせび泣くような音質。従来のV8ツインターボよりかなり官能的なサウンドを奏でる。音圧や爆音という点ではV8NAに及ばないが、ドライブ中のサウンドは洗練されたミュージックのよう。いつまでも聴いていたいと思わせる。室内の響きが素晴らしいのだ。 電気モーターによる瞬時のアシストは速度やギアによって綿密に制御されていた。ターボチャージャーの存在を打ち消すようにトルクをスムーズに上乗せする。それゆえ大排気量の自然吸気エンジンのような気分が味わえた。たとえば2速が適当と思われるコーナーを間違って3速で抜けたとしても、それなりに速いスピードで脱出可能だ。 ■一体感抜群のフットワーク。最高のドライビング体験 重いバッテリーは腰のすぐ後ろ、床下に設置されている。車体の重心付近にあるため、動きをスポイルするような重さを感じさせない。むしろ腰回りに安心感が出て、車体とドライバーとの一体感が増す方向に作用する。ギュッと引き締まったクルマに乗っている感じが強い。最近のミッドシップフェラーリの中では最もフィット感のあるモデルだといっていい。 制動を含めたシャシー制御も素晴らしい。マネッティーノ(ドライブモード)をレース、eマネッティーノ(ハイブリッドパワートレーンモード)をクォリファイにすると、面白いように曲がっていける。830psのリア駆動ミッドシップカーという事実にビビることなどまるでない。そのうえクルマ側の制御に頼っているという感覚もない。アンダーステアなどまるで出ないから、急に腕を上げた気分になる。ちなみにサーキットで試しにCT・offモードを試すと、いきなりのオーバーステア大会。腕利きが本気で楽しめるモデルであることは確かだ。 296GTBは、かれこれ2000km近く試乗したが、一瞬たりとも飽きることはなかった。足はよく動き、フラットながら心地よい。何より自宅から高速のインターまでは完全にEVとして使える。街中を無音で走り抜ける跳ね馬もまた愉快痛快である。 ■フェラーリ296GTB 主要諸元 グレード=296GTB ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2023年1月1日に「CAR and DRIVER」で公開された「ダイナミックな走りと開放感。マセラティMC20チェロの真価をかつてのタルガフローリオの舞台で体感」を一部編集し、転載したものです。 ■マセラティMC20チェロ 価格/3385万円 試乗記 ■すべての道が揃ったイタリア・シシリー島でMC20チェロの実力を全開チェック なぜマセラティは、MC20チェロの国際試乗会をシシリー島で開くことにしたのか? マセラティ広報のダヴィデ・クルーザーさんに尋ねると、こんな答えが返ってきた。 「まず、マセラティはシシリー島で開催されたタルガフローリオというレースで1937年から歴史的な4連覇を成し遂げたことが挙げられます」 クルーザーさんはさらに2つの理由を挙げた。 「2番目の理由は、シシリー島にはうっとりするようなワインディングロードからひどい悪路までが揃っていることにあります。そうしたさまざまな道路で、MC20チェロのハンドリングと乗り心地をご堪能いただきたいと考えました」 そして最後に彼が語ってくれたのが、まさにこのモデルにぴったりの理由だった。 「この季節、イタリア北部ではそろそろ冬の足音が聞こえてきます。今年はまださほど寒さが厳しくありませんが、いずれにしても、イタリアの最南端に近いシシリー島であれば青空が存分に楽しめるはず。そう期待して、ここで国際試乗会を開くことにしました」 なるほど、そういうことか。ちなみに、「チェロ(Cielo)」は、イタリア語で「空」を意味する。「ときにはルーフを開け放って頭上の青空を存分に味わってほしい」 そんな期待が込められたネーミングであることは間違いない。 だとすれば、クルーザーさんがいうとおり、シシリー島以上にMC20チェロ国際試乗会にふさわしい場所はほかにないことになる。予想どおりの好天に恵まれたこの日、私は期待に胸を膨らませながら、そのコクピットに乗り込んだ。 試乗の前にMC20について簡単に説明しておこう。MC20は将来の電動化も見据えて設計された新世代MRスポーツだ。現在のパワーユニットは新開発の3リッターV6ターボ(630ps/730Nm)。8速DCTとのコンビでトップスピードは320km/hに達する。 ■情熱と洗練の融合。ハンドリングと、オープンエアの爽快感は絶品! ...
湾曲したカーブド・ディスプレーを採用した運転席。全体的にすっきりしたデザインになっている ドイツBMWの電気自動車(EV)「iX」に試乗した。2022~2023日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて、秀でた内外装デザインを持つクルマ「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたクルマである。この試乗記で紹介した中で、現時点では最も高価なクルマになる。大容量のリチウムイオン電池を搭載して長距離走行を可能とし、車体も軽量化を図るべく高価な炭素繊維を使用するなどBMWが「次世代EV」とうたうだけの内容をもったモデルであった。 ■EVのデザイン・カー・オブ・ザ・イヤー受賞は初 EVが「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたのは初めてのことで、BMWにとっては前年の4シリーズに続いて2年連続となる。エンジン車にEVを積むだけの時代は終わり、今後はEV専用デザインのモデルの登場が本格化する。EVなど次世代車の受賞が増えていくのは間違いないだろう。 受賞に敬意を表して、まずはデザインから見てみる。正面のヘッドライトはBMWのクルマの中で最もスリムになった。逆に、同社の特徴的なデザインであるキドニー・グリルは大型になり、一段と目立つようになった。 キドニーとは英語で腎臓の意味で、最初のデザインがやや丸みを帯びたソラマメに似た腎臓のような形状だったことに由来する。クルマのデザインでは目立つ場所のため、各社とも特徴的なデザインを施すことが多い。BMWのキドニー・デザインの場合、時代や車種に応じて横長と縦長が存在する。ガソリンエンジン車の場合、ここから外気を取り込み、エンジンやラジエーターを冷却している。EVの場合は、冷却する機器がなく必要性もない分、自由にデザインできる。整備する機器がないため、ボンネットは開かず、エンブレム部分からウォッシャー液のみ入れるようになっている。 ■先進的な内装デザイン、ディスプレーの視認性も向上 内装も大きく変化している。運転席のメーターパネルとコントロールディスプレーは一体化し、運転者からの視認性を向上させるため、湾曲したカーブド・ディスプレーを採用している。運転席周りのボタン類も一切なくし、送風口もスリム化して、全体的にすっきりとしたデザインとなっている。 また、ハンドルは六角形の形状で、BMWとしては初の採用になる。握った当初は違和感があるものの、高速走行時の安定感が増すほか、長時間握った場合の疲労度が軽減される感じがした。 1回の充電で走行できる距離は最大650キロで、80%の充電でも約500キロ走行可能だ。充電技術も向上させており、急速充電の場合、約10分で走行距離を100キロ増やすことができ、40分程度で約80%充電できるという。 ■地上高や乗り心地などを自動的に調整 このクルマには四輪アダプティブ・エア・サスペンションが標準装備されていて、走行状態に合わせて快適な車両地上高や乗り心地などを調整してくれる。例えば、高速走行では車高を低くして空気抵抗を減らすとともに、サスペンションを硬め設定にして走行安定性を増すようにするなどだ。 また、前後輪の統合制御システムも装備している。そのおかげで、今回は曲がりくねった山道なども走行したが、カーブが連続するような道でも極端にスピードを落とさずとも走行できた。さらに、車体は大きいのだが、あまり広くない道でのUターンや狭いスペースへの駐車もさほど苦労しなかった。同システムを装備した四輪駆動モデルならではの利点といえる。 価格がこれほど高いと実際に購入できる人は限られる。ただ、高価なクルマに試乗してみる価値はあると思う。高価なクルマは、先進技術や先端素材が使われていて、その分高いのだが、自分が乗るクルマにはどの要素が不可欠で、どの部分は多少譲って妥協できるか、試乗してじっくり考えてみるのは無駄ではない。高価なクルマに乗ることは、自分のクルマ選びを確認する良い機会になると思う。(デジタル編集部 松崎恵三) 【仕様・主要諸元】(試乗した「iX xDrive50の場合」) ▼全長・全幅・全高(ミリ) 4955・1965・1695 ▼最高出力(kW) 190・230(前輪・後輪) ▼バッテリー容量(kWh) 111.5 ▼価格 1285万円(オプションは除く)
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2022年12月30日に「CAR and DRIVER」で公開された「11月のSUV販売はスズキ・ハスラーが首位(22年11月の軽自動車を含むSUV車販売登録ランキングTOP20)」を一部編集し、転載したものです。 2カ月連続して好調な乗用車販売の牽引役となっていたSUV市場(軽自動車含む)であったが、11月ではほぼ前年並みと小休止。先月トップだったトヨタ・ライズは3位に後退し、先月3位だったスズキ・ハスラー(前年同月比143%)が首位に。 2位には先月5位だったホンダ・ヴェゼル(同105%)がランクアップ。トップ10圏内のSUV車がほとんど前年同月の実績割れの販売台数となった。各社、生産の稼働状況にも左右される販売・登録状況ではあるが、8位にランドクルーザー(構成の殆どがプラド)が3,000台登録となっているのが興味深い。 11月の軽自動車を含むSUV車販売・登録台数トップ20は以下の通り。 Writer:カー・アンド・ドライバー編集部(永井) (提供:CAR and DRIVER)
フェラーリ・プロサングエ フェラーリは、今年11月、同社初の新型SUV「プロサングエ」を日本初公開した。モータージャーナリストの清水草一さんは「他の超高級自動車メーカーがこれまで出してきたSUVとはビジネスモデルがまったく違う。『純血』の名に恥じない車だ」という――。 なぜ超高級スポーツカーメーカーがSUVを作るのか 2021年、日本国内のSUV販売比率は初めて30%を超え、ミニバンに迫った(軽を除く乗用車)。SUVとは「スポーツ・ユーティリティ・ビークル」のこと。日本人にはピンと来ない名称だが、トヨタ・ハリアーに代表されるボディタイプと言えばわかってもらえるだろうか。 最低地上高(路面とボディ床面との間隔)が大きく、路面の凸凹に強いのが特長だが、近年の主流はクロスオーバーSUVという、舗装路を走ることを主眼にした都会派モデルだ。 日本には、ミニバンというドメスティックな大勢力が存在するので、SUVの販売比率はまだ30%程度だが、欧米ではすでに50%を超え、最もポピュラーな乗用車の形になっている。すでにSUVの中で分化が進み、コンパクトサイズから、超高級スポーツモデルまで、さまざまなタイプが生まれている。 ポルシェの販売の6割がSUV 超高級スポーツSUVの嚆矢(こうし)は、2002年に誕生したポルシェ・カイエンだ。当時、私を含むカーマニアは、「ポルシェがこんなクルマを出すなんて」と、ネガティブに反応したが、カイエンは世界的に大ヒットし、ポルシェ社の経営を立て直したばかりか、世界有数の超優良企業に成長させた。 2018年には、ランボルギーニがウルスを発表。これまた大ヒットし、ランボルギーニの販売台数を倍増させた。 超高級スポーツカーメーカーにとって、SUVは打ち出の小槌。ポルシェもランボルギーニも、現在ではSUVの販売比率が6割に達している。負けじとアストンマーティンやベントレー、ロールス・ロイスまでもがSUVを開発し、柳の下のどじょうを狙った。 スポーツカーは車高が低くて車内は狭く、ふだん使いには不便だ。対するSUVは乗り降りが楽だし車内も広い。しかもポルシェやランボルギーニなら、メルセデスやBMWといった普通の高級車に比べ、明らかにプレゼンス性が高い。超高級スポーツSUVは、富裕層のふだんの足に最適だった。 「フェラーリよ、お前もか」 これに対してわれわれカーマニアは、あくまで冷淡な反応を続けている。カイエンやウルスは、決して本物のポルシェやランボルギーニではない。 その証拠に、エンジンはどちらもVW製をベースにしている(ポルシェとランボルギーニは、ともにVW傘下)。ポルシェ伝統の水平対向6気筒エンジンも、ランボルギーニの象徴であるV12エンジンも、SUVには積まれていない。カイエンやウルスは、金儲けのための量産型イミテーションだ……と。 買えもしないくせに上から目線のカーマニア(私を含む)は、フェラーリが出すと噂されていたSUVに対しても、「フェラーリよ、お前もか」と冷めた目で見ていた。どうせフェラーリも同じビジネスモデルを思い描いているんだろう。SUVを出せば、それだけで販売台数は倍増し、利益はそれ以上に増える。でもそれは本物のフェラーリではない! と。 搭載されたエンジンはまさかの“恐竜” ところが、昨年9月に本国イタリアで発表されたフェラーリ・プロサングエ(イタリア語で「純血」の意)は、われわれの予想とは大きく違っていた。 ルックスはおおむね想像の範囲内で、背の低いスポーティーなSUVタイプである。フェラーリはこれをSUVとは呼ばず、4ドアスポーツカーと自称している。確かにリヤドアは小さめの後ろヒンジ。つまり、マツダRX-8のような観音開きを採用している。カイエンやウルスに比べると、スポーツカー寄りなスタイリングだ。 それより驚いたのは、エンジンがV12自然吸気だったことだ。排気量は6.5リッター、最高出力725馬力。間もなく生産が終了するフラッグシップモデルの812スーパーファストと、基本的には同じエンジンを積んでいた。812の最高出力は800馬力なので、チューニングの差はあるが、V12には変わりない。 V12自然吸気エンジンは、フェラーリの魂。エンツォ・フェラーリによる創業以来、フェラーリの本流はV12エンジンだ。V12はガソリンエンジンとして究極の高性能と官能性を持つが、燃費は最悪である。 ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2022年12月29日に「CAR and DRIVER」で公開された「11月軽自動車新車販売台数トップ15。N-BOXは首位を維持!(SUV除く軽自動車販売・2022年11月)」を一部編集し、転載したものです。 先月に引き続き、商用車を含めた軽自動車の11月販売台数は前年を上回り、前年同月比116.8%と活発な市場を形成した。SUVを除いた軽乗用車のトップ15は先月とほぼ変わらないランキングとなっている。 先月1,400台差まで肉薄した2位のダイハツ・タントだったが、首位のホンダ・N-BOXの首位は揺るがず、2,500台差へ拡大。しかし、タントは前年同月比139%と健闘している。(N-BOXは113%)3位のダイハツ・ムーヴは先月の3位から変わらないものの、前年同月比で178%の販売台数となっており、販売好調なスズキ・スペーシアを抑え、乗用車総販売台数でのダイハツ首位に一役買っている。 軽自動車(SUVを除く)トップ15は以下の通り。 Writer:カー・アンド・ドライバー編集部(永井) (提供:CAR and DRIVER)
500h・Fスポーツ・パフォーマンス Photo:LEXUS RXはレクサスの屋台骨を支えるプレミアムSUV。6月に発表された新型は、4タイプのパワーユニットが設定された。トップモデルはパワフルHVの500hである。 5代目の開発コンセプトは “RXを壊せ” RX(当初の日本名はハリアー)は、1998年に「高級セダンの快適性を兼ね備えたSUV」として登場した。デビューから24年、いまでは約95の国と地域で累計350万台を発売するレクサスの絶対的なエースに成長した。最新モデルが6月に世界初公開された5代目だ。まもなく日本でも正式発売される新型にアメリカ・サンタバーバラで試乗した。 5代目の開発コンセプトは“RXを壊せ”である。これは「エースだからこそ挑戦が必要」を意味している。エクステリアはRXらしいまとまり。NX/RZとの共通性を持ちながら、一段とボディに溶け込んだスピンドルグリル、スタンスのよさ、ボリューム感たっぷりの面構成により、“伸びやかさ”と“柔らかさ”を備える。従来以上にプレステージ性の高いスタイルにまとめられている。 新型はPHEVモデルの450h+を設定。450h+は日常域をEVとして走る先進モデル 室内はメーターフードからドアトリムまでシームレスに連続した造形。人間中心思想を徹底した“Tazunaコンセプト”を取り入れて、操作性を徹底的に追求している。 センターディスプレイは大型14インチ。写真は500h・Fスポーツパフォーマンス Fスポーツ系モデルは肩回りのサポート性を高めたスポーツシートを採用。後席はフォーマルユースにも十分対応するスペース性がある。500h・Fスポーツパフォ ーマンスの乗り味は適度に硬めのチューニング ラゲッジルームはバックドアトリムの薄型化で積載容量が拡大した。9.5インチゴルフバッグが4セット積める。後席は3分割タイプの可倒式で実用性にも配慮している インテリアはNX/RZに続いて新世代レクサスのコクピットデザイン“TAZUNAコンセプト”を展開。メーターフードからドアトリムまで連続的につながる造形が印象的だ。奥行きや水平方向の伸びやかさが特徴で、スポーティさよりもエレガントさを重視した印象。NXで課題だったソフトパッドと樹脂部品の質感の差や隙間なども整えられている。ただしシフト回りの洗練度に欠ける操作系はNXと変わらない。ここは見直してほしい部分だ。居住性はパッケージの刷新により大きくレベルアップ。とくにリアシートは60mm延長されたホイールベースの効果で広くなった。足元スペースはフォーマルユースにも十分なゆとりがある。 パワートレーンは全4種。2.4Lターボ/2.5Lハイブリッド/2.5Lプラグインハイブリッド/2.4Lターボ+DIRECT4と豊富なラインアップを誇る。新開発の2.4Lターボ+DIRECT4以外はNX用と共通ユニットだ。 RXへの搭載にあたり、どれも静粛性が大きくレベルアップしており、動力性能も十分である。NXより車両重量が重いため相対的には穏やかな特性になっているが、どのパワートレーンも不満に感じない。むしろRXらしいジェントルな味付けが好印象だった。 フットワークはどうか?基本性能は旧型に対して飛躍的なレベルアップを果たしている。NXと比べて一段と洗練・精緻な印象を受けた。このあたりは、新プラットフォーム(GA-Kフェイズ2)や新開発リアマルチリンクサス、そしてNXから導入された「デジタル開発+走り込み」の効果だろう。ちなみにボディは、リア回りの骨格刷新、サスペンション取り付け部の着力点剛性の確保、接合剛性アップ(レーザースクリューウェルディング+構造用接着剤+短ピッチ打点技術)が行われた。 新型は“大人の余裕”を実現そのうえでFスポーツ パフォーマンスは強い魅力を放つ RXをさまざまなシーンでチェックしたが、街中ではサイズを感じさせない扱いやすさ、高速では抜群の安定感と乗り心地のよさ、ワインディングでは軽快な身のこなし、さらに一体感あるハンドリングを実感した。いい出来栄えである。 ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2022年12月28日に「CAR and DRIVER」で公開された「「MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle」が 第57回機械振興賞「経済産業大臣賞」を受賞」を一部編集し、転載したものです。 マツダの手動運転装置付き「MAZDA MX-30 Self-empowerment Driving Vehicle(セルフ エンパワーメント ドライビング ビークル)」(以下、MX-30 SeDV)が、第57回機械振興賞の「経済産業大臣賞」を受賞した。 ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2022年12月28日に「CAR and DRIVER」で公開された「編み込みナッパレザー表皮のスペシャルなシートを配したマセラティ・ギブリ/レヴァンテの特別限定モデルが日本デビュー」を一部編集し、転載したものです。 ●マセラティが上質な編み込みナッパレザー表皮のシートを採用したギブリGTおよびレヴァンテGTの特別仕様車「ペッレ イントレッチァータ」を日本で発売。ボディカラーとインテリアレザーカラーのコンビネーションはそれぞれ3タイプを設定 マセラティ ジャパンは2022年12月20日、グランドツアラーのギブリとラグジュアリーSUVのレヴァンテに特別限定車の「ペッレ イントレッチァータ(Pelle Intrecciata)」を設定し、同日より発売した。 今回の特別仕様車は、イタリア語で“編まれた革”を意味するPelle Intrecciataのネーミングが示している通り、手作業で選別された幅2~2.2mmのナッパレザーを極細の紐状にカットし、伝統的な手法に倣って特殊な織機で織り上げられた革性の布を、シート座面前方と背中の部分に贅沢に使用したことが特徴だ。ベースモデルには、1995cc直列4気筒マルチエアガソリンターボエンジン(330ps)にBSG(ベルトスタータージェネレーター)と駆動用バッテリー、eブースター(電動コンプレッサー)で構成した48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載するギブリおよびレヴァンテのGTグレードをチョイス。ボディカラーとインテリアレザーカラーの組み合わせは、それぞれ3タイプを設定している。 車種展開および車両価格は以下の通り。 ■ギブリGTペッレ イントレッチァータ ボディカラー・ネロリベッレ(ブラック)/インテリアレザーカラー・ダークブラウン:1424万円 ボディカラー・ビアンコ(ホワイト)/インテリアレザーカラー・タン:1410万円 ボディカラー・グリージョマラテア(グレー)/インテリアレザーカラー・ブラック:1424万円 ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2022年12月28日に「CAR and DRIVER」で公開された「フォルクスワーゲンID.4の標準モデルが日本での先行受注を開始」を一部編集し、転載したものです。 ●フォルクスワーゲンが電気自動車SUV「ID.4」標準モデルの日本における先行受注をスタート。車両価格はエントリーグレードのLiteが514万2000円、上級グレードのProが648万8000円に設定。発売は2023年第2四半期以降を予定 フォルクスワーゲン ジャパンは2022年12月22日、電気自動車SUV「ID.4」の標準モデルの日本における先行受注を開始した。発売は2023年第2四半期以降を予定する。 車種展開は以下の通り。 Lite(ライト):514万2000円 Pro(プロ):648万8000円 日本市場におけるID.4は、2022年11月に導入記念特別仕様車のLite Launch EditionおよびPro Launch Editionを発売したが、多くの販売拠点においてLaunch Editionが完売あるいは品薄となってきている状況から、標準モデルの販売活動を前倒して開始することとした。 パワートレインに関しては、リアアクスルにモーターを搭載して後輪を駆動する。Proは最高出力150kW (204ps)/4621~8000rpm、最大トルク310Nm/0~4261rpmを発生するモーターと、総電力量77.0kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載。一方、Liteは最高出力125kW(170ps)/3851~1万5311rpm、最大トルク310Nm/0~3851rpmを発生するモーターに、総電力量52.0kWhのリチウムイオンバッテリーを採用する。基本ユニットはLaunch ...
(写真=CAR and DRIVER) この記事は2022年12月26日に「CAR and DRIVER」で公開された「メルセデスAMG E63 S 4MATIC+の最後を飾る特別限定モデルが日本上陸」を一部編集し、転載したものです。 ●メルセデス・ベンツが最先端レーシングテクノロジーで創り上げた現行Eクラス最強のメルセデスAMG E63 S 4MATIC+の最後を飾る特別仕様車「メルセデスAMG E63 S 4MATIC+ファイナルエディション」を日本で発売。販売台数は世界限定999台のうちの50台 メルセデス・ベンツ日本は2022年12月22日、中核モデルのEクラスの特別仕様車「メルセデスAMG E63 S 4MATIC+ファイナルエディション(Mercedes-AMG ...