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BMWが次世代EVとうたう「iX」に試乗…「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞

bmwが次世代evとうたう「ix」に試乗…「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」も受賞

湾曲したカーブド・ディスプレーを採用した運転席。全体的にすっきりしたデザインになっている

 ドイツBMWの電気自動車(EV)「iX」に試乗した。2022~2023日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて、秀でた内外装デザインを持つクルマ「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたクルマである。この試乗記で紹介した中で、現時点では最も高価なクルマになる。大容量のリチウムイオン電池を搭載して長距離走行を可能とし、車体も軽量化を図るべく高価な炭素繊維を使用するなどBMWが「次世代EV」とうたうだけの内容をもったモデルであった。

■EVのデザイン・カー・オブ・ザ・イヤー受賞は初

 EVが「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」に輝いたのは初めてのことで、BMWにとっては前年の4シリーズに続いて2年連続となる。エンジン車にEVを積むだけの時代は終わり、今後はEV専用デザインのモデルの登場が本格化する。EVなど次世代車の受賞が増えていくのは間違いないだろう。

 受賞に敬意を表して、まずはデザインから見てみる。正面のヘッドライトはBMWのクルマの中で最もスリムになった。逆に、同社の特徴的なデザインであるキドニー・グリルは大型になり、一段と目立つようになった。

 キドニーとは英語で腎臓の意味で、最初のデザインがやや丸みを帯びたソラマメに似た腎臓のような形状だったことに由来する。クルマのデザインでは目立つ場所のため、各社とも特徴的なデザインを施すことが多い。BMWのキドニー・デザインの場合、時代や車種に応じて横長と縦長が存在する。ガソリンエンジン車の場合、ここから外気を取り込み、エンジンやラジエーターを冷却している。EVの場合は、冷却する機器がなく必要性もない分、自由にデザインできる。整備する機器がないため、ボンネットは開かず、エンブレム部分からウォッシャー液のみ入れるようになっている。

■先進的な内装デザイン、ディスプレーの視認性も向上

 内装も大きく変化している。運転席のメーターパネルとコントロールディスプレーは一体化し、運転者からの視認性を向上させるため、湾曲したカーブド・ディスプレーを採用している。運転席周りのボタン類も一切なくし、送風口もスリム化して、全体的にすっきりとしたデザインとなっている。

 また、ハンドルは六角形の形状で、BMWとしては初の採用になる。握った当初は違和感があるものの、高速走行時の安定感が増すほか、長時間握った場合の疲労度が軽減される感じがした。

 1回の充電で走行できる距離は最大650キロで、80%の充電でも約500キロ走行可能だ。充電技術も向上させており、急速充電の場合、約10分で走行距離を100キロ増やすことができ、40分程度で約80%充電できるという。

■地上高や乗り心地などを自動的に調整

 このクルマには四輪アダプティブ・エア・サスペンションが標準装備されていて、走行状態に合わせて快適な車両地上高や乗り心地などを調整してくれる。例えば、高速走行では車高を低くして空気抵抗を減らすとともに、サスペンションを硬め設定にして走行安定性を増すようにするなどだ。

 また、前後輪の統合制御システムも装備している。そのおかげで、今回は曲がりくねった山道なども走行したが、カーブが連続するような道でも極端にスピードを落とさずとも走行できた。さらに、車体は大きいのだが、あまり広くない道でのUターンや狭いスペースへの駐車もさほど苦労しなかった。同システムを装備した四輪駆動モデルならではの利点といえる。

 価格がこれほど高いと実際に購入できる人は限られる。ただ、高価なクルマに試乗してみる価値はあると思う。高価なクルマは、先進技術や先端素材が使われていて、その分高いのだが、自分が乗るクルマにはどの要素が不可欠で、どの部分は多少譲って妥協できるか、試乗してじっくり考えてみるのは無駄ではない。高価なクルマに乗ることは、自分のクルマ選びを確認する良い機会になると思う。(デジタル編集部 松崎恵三)

【仕様・主要諸元】(試乗した「iX xDrive50の場合」)

 ▼全長・全幅・全高(ミリ) 4955・1965・1695

 ▼最高出力(kW)     190・230(前輪・後輪)

 ▼バッテリー容量(kWh)  111.5

 ▼価格 1285万円(オプションは除く)

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