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ウクライナ軍、チャレンジャー2戦車を初めて失う

ウクライナ軍、チャレンジャー2戦車を初めて失う 英国から供与されたウクライナ軍のチャレンジャー2戦車に、初の損失が生じたようだ。第82空中強襲旅団に所属するとみられる1両が、ウクライナ南部ザポリージャ州ロボティネ郊外の道路脇で炎上している様子を撮影した動画が4日、インターネット上に出回った。

英国はことし1月、重量69トンで4人乗りのチャレンジャー2を14両ウクライナに供与すると発表。ウクライナ国防省は数日前、第82旅団に所属する兵士のインタビュー動画でこの戦車を取り上げたばかりだった。

この兵士は、チャレンジャー2の長距離火力と優れた防御力を、旧ソ連製の戦車と比較して称賛していた。第82旅団のチャレンジャー2が120mmライフル砲の威力を見せつける映像はまだ公開されていないが、炎上する動画は皮肉にも、この戦車の生存可能性の高さを浮き彫りにしている。というのも、炎上するチャレンジャー2にはまだ砲塔がしっかり付いているからだ。

旧ソ連製の3人乗り戦車であるT-72、T-80、T-90の大きな弱点の1つは、弾薬を手動装填する4人目の搭乗員の代わりに自動装填装置を備え、砲塔の真下に弾薬を格納していることだ。このため、被弾すると車体が花火のように大爆発する傾向があり、砲塔が搭乗員もろとも吹き飛ぶケースもよくみられる。

ウクライナ国防省のインタビュー動画でも、かつてT-80に搭乗していた第82旅団の戦車兵が、被弾したら搭乗員は空中に放り出され、「(生存の)チャンスはほとんどない」と語っている。

チャレンジャー2は対照的に、西側の多くの戦車と同じく砲塔近くの特別な区画に弾薬庫があり、被弾しても外側に向けて爆発して搭乗員を巻き込まないようになっている。「すべてが搭乗員のために設計されている」と第82旅団の戦車兵は説明していた。

ロボティネ郊外の路肩で炎上していたチャレンジャー2をどのような不運が襲ったのかは不明だが、第82旅団と第46空中機動旅団が、解放されたロボティネから南東のベルボベに向かって着実に前進していることはわかっている。両旅団の最終目標はロシア占領下にあるメリトポリで、幹線道路T0408号~0401号沿いに約80km南下したところにある。

第82旅団の戦車兵によると、ウクライナ軍はチャレンジャー2の昼夜を通じた優れた光学性能、精密な射撃管制、タングステン徹甲弾を発射する有効射程3km超の強力な主砲をフル活用し、長距離射撃支援に使っている。「長距離での運用を想定した機体だ」と兵士は述べていた。

しかし、支援する大隊が前進すれば、チャレンジャー2も遅れを取らないよう前進するしかない。

ロシア軍が、遮蔽物のない路上でチャレンジャー2を捕捉したのは明らかだ。ドイツ製のレオパルト2戦車が撃破された状況ともし似ているとすれば、地雷に触れたか砲撃を受けて動けなくなったところへ、爆発物を搭載したドローンがとどめを刺したのかもしれない。

もっとも、失われた戦車のために涙を流す必要はない。ウクライナ兵オレクサンドル・ソロニコも、こう記している。「装甲車両の損失を完全に防ぐことは不可能であり、空中で敵が優位な場合はなおさらだ。だが、装甲は危険を伴う特定の目的を果たすものだ。こうした行動は、装甲によって命が救われたという事実によって正当化される」

「金属片ならたとえ高価でも交換できるが、人の命は修理できない」

ウクライナの反転攻勢が始まって3カ月が経過したが、西側から供与された戦車105両のうち失われたのはわずか6両にとどまる。レオパルト2が71両中5両、チャレンジャー2が14両中1両である。レオパルト1A5は、20両中まだ1両も撃破されていない。

そして、反攻が激化する中、さらに多くの戦車がウクライナへ向けて輸送されている。追加供与されるのは14両のレオパルト2、31両の米国製M1エイブラムス、おそらく145両のレオパルト1A5だ。

たしかにウクライナ軍は戦車を損失しており、その中には最新鋭の戦車も含まれている。だが、戦車が不足しているわけではない。

(forbes.com 原文)

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