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メルセデス・GLC 350、“電欠”なしでどこまでも走り抜く爽快ドライバーズSUV【試乗記】

メルセデス・glc 350、“電欠”なしでどこまでも走り抜く爽快ドライバーズsuv【試乗記】

メルセデス・ベンツGLC350e 4MATICスポーツEdition Star/価格 9SATC 998万円。PHEVの350eは1グレード構成。ディーゼルの220d比で159万円高額だが350eはAMGライン標準装備 Photo by Koshiro Yokota

GLCは、サイズと高級感のバランスで

高い人気を博している

 メルセデスはSUVラインアップが充実している。中でも、2015年に初代が登場したGLCは、サイズと高級感のバランスで高い人気を博している。

 現行型は約1年前に2L直4クリーンディーゼルを搭載するGLC 220 d 4MATICを皮切りに日本に導入された。第2弾として追加されたモデルが期待のPHEV、GLC350 e 4MATIC Sports Edition Starだ。価格はディーゼルの159万円高の998万円となる。

 350eは最高出力204ps、最大トルク320Nmを発生する2L直4ガソリンターボに、136ps/440Nmの電気モーター、そして31.2kWhのリチウムイオンバッテリーを加えた構成となる。システム最高出力は313ps、最大トルクは550Nmを誇る。参考まで、220dは同197ps/440Nmのエンジンに23ps/200NmのISGの組み合わせだ。

メルセデス・glc 350、“電欠”なしでどこまでも走り抜く爽快ドライバーズsuv【試乗記】

メルセデス・ベンツGLC350e 4MATICスポーツEdition Starリアビュー

メルセデス・glc 350、“電欠”なしでどこまでも走り抜く爽快ドライバーズsuv【試乗記】

インパネは最新メルセデス共通のデジタル仕様。音声で主要コントロール可能な最新MBUXを採用。加飾パネルはリアルウッド。レザーパッケージ装着車はアルミのアクセントが入る

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メルセデス・ベンツGLC350e 4MATICスポーツEdition Starルーフ

メルセデス・glc 350、“電欠”なしでどこまでも走り抜く爽快ドライバーズsuv【試乗記】

室内は余裕たっぷり。写真の本革シート はop(AMGレザーエクスクルーシブパッケージ/60万9000円)。シートカラーはシエナブラウン(写真)/パワーレッド/ブラックの3色から選べる

メルセデス・glc 350、“電欠”なしでどこまでも走り抜く爽快ドライバーズsuv【試乗記】

メルセデス・ベンツGLC350e 4MATICスポーツEdition Starリアシート

メルセデス・glc 350、“電欠”なしでどこまでも走り抜く爽快ドライバーズsuv【試乗記】

ラゲッジ空間は220d比でやや床が高い。容量は後席使用時470L/最大1530Lを確保。荷室部に後席シートバックと車高調節スイッチを配置する

 電動車としてスペックは高水準。電気モーターのみで最大118km走行でき、トップスピードも140km/hに達する。118kmも走れれば日常はBEVとして使える。近年はPHEVのEV航続距離の拡大が著しいが、メルセデスは一歩先んじている。350eでその印象がさらに強まった。PHEVとしては珍しく、普通充電だけでなく、急速充電にも対応しているのも便利な特徴である。

 スタイリングはPHEVだからといってディーゼルと差はない。あえてそうしたのだろう。スポーティでエレガントな内外装はそのままだ、ボディサイズは4725×1920×1635mm。大柄ではあるが、日本でも持て余すほどではない。

 室内は居心地がいい。リアルウッドトリムを採用したインパネは、縦のラインを強調した斬新な印象。大型ディスプレイで構成され、先進イメージも強い。それでいてストレージ類を効率的に確保しているのはさすがである。ラゲッジのフロアは220dに対して少し高くなっており、ラゲッジ容量は220d比150L減の470~1530L。それでも広さは十分。不自由を感じることはなさそうだ。

まさに“電欠”のないスムーズBEV

長距離クルーズを気軽に快適に楽しめる

 走りはBEVとほぼ同じイメージだった。エレクトリックモードで走ると、バッテリー残量がある限り、延々とモーターで走る。アクセルを素早く踏み込んでも、エンジンが始動することはない。しかもモーターだけで440Nmとトルクフルなので、加速力にストレスを感じることもない。

 ちなみに350eは、これ以上アクセルを踏むとエンジンが掛かることをドライバーに知らせるインテリジェントアクセルペダルを装備している。これはモーター走行の限界点でアクセルペダルの抵抗を増やすシステム。モーター走行でもパフォーマンスに優れているので、そこまで踏み込むことは少なく、恩恵は、あまり感じなかった。

 とはいえ、車速域が高くなると、さすがにパワーは頭打ちになる。ハイブリッドモードに切り替えると、同じ感覚でアクセルを踏んでもエンジンがかかり瞬発力が圧倒的に高まる。車両重量は2340kgと重量級ながら、加速フィールはなかなか力強い。

 高速道路を制限速度程度で巡行すると、条件が揃うとエンジンが停止、コースティングする。そこから少しだけ加速しようとゆるやかにアクセルを踏み増しても、なかなかエンジンはかからない。モーターがいい働きをしている。エンジンが再始動してからも、絶妙にモーターがトルクを上乗せしてくれる。少しでも効率よく走れるよう、また不用意にエンジンがかかってドライバーががっかりすることのないよう、緻密に制御していることがうかがえた。

 350eにはバッテリー残量を維持するモードはあるが、積極的にチャージするモードはない。ただし、スポーツモードで走っていると、ゆっくりではあるもののだんだん充電量が上がっていく。

 静粛性は超ハイレベル。電気的なノイズも風切り音やタイヤが発する音もまったく気にならない。このあたりはさすがというほかない。正直、同クラスのBEVを上回るほどだ。

 足回りの完成度も申し分ない。ディーゼルに乗ったときにも感じたが、新型GLCは本当に意のままに快適に走れる。まさにドライバーズSUVである。可変ダンピングシステムを備えたAIRMATICサスペンションが、路面状況や運転状況に応じて、最適な状態を生み出すことが伝わってくる。

GLCは、走行性能にも利便性にも

優れる万能性が魅力

 走りのよさには最大4.5度切れる後輪操舵システムも効いている。これにより最小回転半径が5.1mと小さくなり取り回しがよくなっているのはもちろん、ステアリング操作に対して、応答遅れなく俊敏に回頭し、揺り戻しも出にくくなっている。

 車検証によると、前軸重が1070kg、後軸重は1270kgとリアの方が200kg重い。注意深く観察するとコーナリングやレーンチェンジでリアに微妙なイナーシャを感じる。だが、それも後輪操舵システムが上手く打ち消す。

 少々気になったのはブレーキフィールだ。踏み方によって反応が一定しておらず扱いにくい。インテリジェント回生のおかげで気になるシーンはさほど多くないとはいえ、改善を期待する。

 GLCは、走行性能にも利便性にも優れる万能性が魅力だ。350eは、そのうえで電動車としての高い実力を備えている。メルセデスは、すでに完全なBEV(EQモデル)を多数ラインアップし、選択肢は豊富。だが電欠の心配なしに、長距離クルーズを楽しみたいというユーザーはまだまだ多い。350eはいま、最善のチョイスかもしれない。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗)

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