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レクサス『LBX』、静かで上質な空間と走行性能にこだわった小さな高級SUV

レクサス『lbx』、静かで上質な空間と走行性能にこだわった小さな高級suv

正面デザインにはレクサスの特徴である「スピンドル(紡錘<ぼうすい>形)」の一種「ユニファイドスピンドルグリル」を採用している

 トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」の新しいスポーツ用多目的車(SUV)『LBX』に試乗した。豊田章男会長の「スニーカーみたいなクルマができないか」という発言が開発のきっかけになったといわれているクルマだ。実際に試乗してみると、レクサスの特徴の静粛性などに加え、走行性能にもこだわった小さな高級車であった。

 『LBX』の車名は、「レクサス(L)ブレイクスルー(B)クロス(X)オーバー」の略だ。直訳すると、飛躍的前進を遂げたクロスオーバー=街中の走行などオンロードのタイプのSUV=といったところか。

 また、BはBセグメントを意識しているという指摘もある。セグメントとは主にヨーロッパ市場で使われるクラスカテゴリーのことだ。最もサイズが小さいのがAセグメントで、Fセグメントまで6段階にわかれている。このうちBセグメントは全長3.6~4.4メートル程度のクラスを指し、代表的な車種はフォルクスワーゲン『ポロ』、プジョー『208』などで、LBXもこのカテゴリーだ。

■乗用車に近い感覚、こだわりの着座位置

 外観を見てみよう。SUVにしては車高が高くなく、乗用車に近い外観だ。運転席に座ってみても、乗用車にのっているような感覚になる。プラットフォーム(車台)は、トヨタの小型車「アクア」や「ヤリス」にも採用されている「GA-B」で、レクサスブランドでは初の採用になる。ただ、レクサス専用の開発も施している。運転者の着座位置を下げることで低重心とし、全高を下げつつも、サイド部分を生かして十分な室内空間を確保している。

 着座位置が下がると、運転者の体格によっては視野がボンネットに重なり、見えにくい部分がうまれやすいのだが、ボンネット上面が見える位置は保持していた。

■安定感ある車型に大きめのタイヤ、走行性能へのこだわり

 横幅が広めで安定感がある車型に、18インチと小型車としては大きめのタイヤが目立つ。タイヤの直径が大きくなると、カーブやブレーキ時の安定性が増すなどのメリットがある一方、路面の凹凸がダイレクトに伝わりやすいため、路面状況によっては乗り心地が劣るケースも。走行性能を優先したクルマということがわかる。

 エンジンは直列3気筒で、高い電池出力のバイポーラ型ニッケル水素電池を搭載したハイブリッド車(HV)になっている。バイポーラ型は電池の構造を見直すことで、従来よりもコンパクトながら高出力を実現した電池だ。

 この高出力電池に合わせて、加速時のモーターによるアシストを強化。アクセル操作に対する応答遅れも大幅に減らしてよりスムーズな走りを実現した。実際にアクセルを踏むと、踏み込み具合に応じて、スムーズに加速していくのがわかるほどだ。

■小型でもレクサスらしい静粛性

 レクサスというと、特徴のひとつに静粛性があるが、小型車といっても抜かりはない。部品や素材の見直しなどで、エンジン周辺の吸遮音性能などを向上させている。Bセグメントのクルマとしては室内は実に静かだ。アクセルをかなり踏み込んで、ようやくエンジン音を認識できるようになる。静粛性を求める同乗者は少なくないだけに、本革も使用したシートと合わせて上質な空間となるはずだ。

 LBXの資料を見ると、実に細かな部分まで改良を施している。例えば、着座位置を下げたことに合わせて、ペダル操作時の力の入れやすさも向上させた。手首や肘(ひじ)の角度、肩からの距離などを検証した上で、自然に力の入れやすいハンドルの位置や角度も決めているという。ただ、残念ながら、一度の試乗では分かりにくかった。乗り続けることで違いが分かるようになるのだろう。

 一言で高級車にといっても、人によって求めるものは千差万別かもしれない。最高級の装備、最先端技術の搭載、上質な空間、優雅な走り……と要素は様々ある。豊田会長の「週末にジーンズとTシャツのまま乗れる、カジュアルだけど上質で運転が楽しい、そんなクルマがあってもいいんじゃないか」という発言から開発が始まったという『LBX』。レクサス開発陣が出した小さな高級車の一つの回答であるのは間違いない。(デジタル編集部 松崎恵三)

【仕様・主要諸元】(試乗したモデル「リラックス」四輪駆動タイプの場合)

 ▼全長・全幅・全高(ミリ) 4190・1825・1545

 ▼総排気量(L) 1.490

 ▼燃費 WLTCモード(キロ/リットル) 26.2

 ▼価格 486万円(オプションは除く)

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