中国EVメーカー、タイへの投資熱高まる
長城汽車のタイ・ラヨーン県の工場に展示された小型EV「欧拉好猫」。(2024年1月12日撮影、ラヨーン=新華社記者/王騰)
中国自動車メーカーと共に電池などの関連産業も進出し、タイのEV産業チェーンの形成をけん引している。23年12月には車載電池大手の国軒高科がタイ側と合弁でラヨーン県のサイアム・イースタン工業団地に設立した工場で、初の電池製品がラインオフした。
上海汽車集団が最も早くタイに進出した中国自動車企業。12年にタイのチャロン・ポカパン(CP)グループと合弁し、「名爵(MG)」ブランド自動車の現地生産・販売を開始した。20年には長城汽車がラヨーン県に位置する米ゼネラル・モーターズ(GM)の工場を買収。226億バーツ(1バーツ=約4円)を投じて改修を行い、21年6月に生産を開始した。
業界関係者は中国自動車メーカーの相次ぐタイ進出について、現地のEV支援政策、産業を構成する要素の歴史的蓄積、地政学的見地の三つが重要な要因になっていると指摘する。
第44回「バンコク国際モーターショー」の会場に展示された中国の電気自動車(EV)ブランド「哪吒汽車(Neta)」のスポーツタイプのスマートクーペ「哪吒S」。(2023年3月22日、バンコク=新華社記者/王騰)
タイは比較的充実した自動車産業チェーンも持つ。1960年代に日本のトヨタ自動車が同国に完成車工場を設立し、本田技研工業(ホンダ)やいすゞ自動車、日産自動車などの日本勢が相次いで進出した。同国では毎年200万台を超える自動車が生産され、完成車メーカーに直接部品を提供する「ティア1」サプライヤーも700社近くに上る。
地理的優位性も際立っている。タイ市場は東南アジア地域だけでなく、オーストラリアやニュージーランド、英国、南アフリカなどの市場にも影響力を持つ。タイを拠点とすることで、東南アジア諸国連合(ASEAN)ひいては世界市場にサービスを提供できる。
23年12月にタイ・バンコクで開催された「タイ国際モーターエキスポ2023」では販売台数上位10社のうち、中国自動車メーカーが5社を占めた。主催側のデータによると、BYDは5455台の受注を獲得し、ホンダ、トヨタに次ぐ3位となった。BYDは23年に同国での販売台数が3万650台に上り、EVブランドでトップに立った。