T-90M戦車を利用するワグネル・グループ
ロシア人ジャーナリストによって最近リークされた情報によれば、バフムートで戦闘を繰り広げるロシアの民間軍事会社「ワグネル・グループ」はロシア軍の最新型戦車T-90Mを与えられているようだ。
最新兵器で戦う傭兵たち
ロシア人ジャーナリスト、アレクサンドル・シモノフがTelegramのアカウントに投稿した写真には、ロシア軍が誇る最新鋭の戦車を操縦するワグネル・グループの傭兵たちが写っていた。
写真:Telegram @brussinf
当惑するアナリストたち
これらの写真によって、ウクライナの戦場では最新鋭の装備がロシア軍ではなく非正規軍に配備されていることが判明、西側諸国のアナリストたちを困惑させることとなった。
貴重なT-90M
なぜ正規軍ではないのか?
アックス記者はさらに、「では、その貴重な戦車が、ロシア政界に対する影響力をめぐってロシア軍と競合関係にあるワグネルに譲渡・売却されているのはなぜだろうか?」と疑問を呈している。
タカ派が率いるワグネル・グループ
「ワグネル・グループ」とは、元レストラン経営者で「プーチン大統領のシェフ」の異名をとる盟友、エフゲニー・プリゴジン率いる民間軍事会社で、ロシアの法律に縛られることなく軍事活動を行うことができる。
「プーチン大統領の傭兵」
プーチン大統領は、正規軍を派遣することで生じる法的問題を避けるため、ワグネル・グループの傭兵たちにきわどい任務を委ねているのだ。
「もっともらしい否認」
アックス記者いわく、「ワグネルのおかげで、クレムリンは国内外向けの『もっともらしい否認』を繰り返すことができる」とのこと。ウクライナの戦場にプーチン政権が大規模な傭兵軍団を派遣したのはそのためだ。
2014年からウクライナで活動
2014年にウクライナ東部で親露派による分離工作が開始されると、ワグネルもこれに関与。しかし、2022年2月にウクライナ侵攻が始まると、それまで以上に活発な軍事行動で存在感を増すことに。
突撃部隊として
『ガーディアン紙』のピーター・ボーモント記者およびピョートル・ザウアー記者によれば、 「ワグネルの戦闘員は突撃部隊として敵陣への正面攻撃に利用されるケースが多い。一方、動員兵たちは防御に回されている」という。
バフムートでの戦闘は5月から
プリゴジン率いるワグネルは5月以降、ドネツク州のバフムートで激しい戦闘を行っているものの、攻めあぐねている。
ロシアはインフラの破壊に注力
アックス記者いわく「バフムートはワグネルにとって象徴的な戦場」なのだ:「ドンバス州有数の大都市でロシア軍の占領下にあるセヴェロドネツクから16キロメートルほど南西に位置する、人気のない廃墟と化したこの街を占領することで、ワグネルは正規軍に代わる戦力として存在感をアピールしようとしているのだ」
「プーチン自慢のミサイルなんてどこにもない」
しかし、デイヴィッド・アックス記者の分析が正しいとすると、ロシア国防相はどうして最新鋭の戦車をワグネルに提供したのだろうか?その理由はいまだはっきりしないが、ロシア軍内部の複数の派閥とプリゴジンの間で高まる確執が背後にあるのは間違いないだろう。
息子を失った家族
プーチン政権を支えるロシア政界の大物たちだが、水面下ではつば迫り合いが行われているらしいのだ。
ロシアの勢力圏
米シンクタンク「中東研究所(Middle East Institute)」の報告によれば、「プリゴジンにとって最大のターゲットはセルゲイ・ショイグ国防相だ。彼に対する遺恨は2014年に遡る」という。
信心深い国防相
12月26日にワグネルが公開した動画では、戦場における砲弾不足の元凶としてヴァレリー・ゲラシモフ参謀総長がやり玉に挙げられており、ロシア軍とワグネルの間に横たわる溝が浮き彫りになった。
プーチン大統領の期待?
しかし、ワグネルが最新鋭の装備を手にしているのは、ウクライナにおける任務を遂行できるのは彼らしかいないという、プーチン大統領の期待からなのかもしれない。