ロシア戦車の大損害
オープン・ソース・インテリジェンスグループ「Oryx」が収集・分析した情報によると、プーチン大統領がウクライナ侵攻を開始して以来、ロシア軍は実戦に使える戦車部隊の少なくとも半分を失っていることになりそうだという。
映像証拠に基づくデータ
Oryxはロシア装甲部隊の損失をウクライナ侵攻開始直後から追っており、その見定めがたい損失を、写真や動画資料によって確認できるものに限って報告している。
「ロシアは打ち負かされる必要がある」
Oryx最新のレポートによると、ロシアはウクライナで1762両の戦車に損害を被っており、うち1038両は破壊されたことが確認されている。
損傷85両、放棄91両
鹵獲(ろかく)548両
Oryxのカウントによれば、ウクライナ軍はこれまで548両のロシア軍戦車を鹵獲している。この数字は、西側諸国からウクライナへの戦車供与数を上回る。
壊滅の数週間前:ロシア軍の攻勢
「戦争開始時、ロシアはおよそ3000両の戦車を使うことができました。したがって、ロシアは使用可能な戦車の半分を失った可能性が高いのです」と、Oryxのウェブサイトに寄稿する軍事専門家ヤクブ・ヤノフスキ(Jakub Janovsky)はCNNの記者ブラッド・レンドン(Brad Lendon)に語っている。
実際の数ははるかに多いか
ヤクブ・ヤノフスキが述べるように、映像によって確認できない損害情報をOryxは計上していないので、実際の数はOryxのデータをはるかに上回っていると考えられる。
実際は2000両の損害?
確認された数だけでも大打撃
2000両まではいかずとも、Oryxによって確認された損害だけでもプーチン大統領には相当な打撃だといえるだろう。大まかに見積もっても、ウクライナ戦線においてロシア軍は戦車のおよそ半分を失ったことになるのだから。
米政府高官もOryxと同調
Oryxによるロシア軍戦車損害数は現実にかなり近いと思われる。というのもOryxの発表した数字は、米国の国防総省次官補(国際安全保障問題)のセレステ・ウォランダー(Celeste Wallander)氏が出したコメントとつじつまが合っているからである。
米国防総省次官補のコメント
『ザ・モスクワ・タイムズ』紙によると、今年2月10日、セレステ・ウォランダー氏は米シンクタンク「新アメリカ安全保障センター」のバーチャル・イベントで発言し、ロシアは「おそらく保有している主力戦車の半分を戦闘やウクライナによる鹵獲によって失っている」とした。
炭鉱町のはずれで大敗北
すぐには使えない予備戦車
「理論上は、ロシアはまだまだ戦車を保有しています。しかしその多くは保管状態がまずく、すぐさま実戦で使えるわけではないのです」とヤクブ・ヤノフスキはCNNに語っている。
戦争前にロシアが保有していた戦車
ヤクブ・ヤノフスキはCNNの記事でさらに語っている:「プーチン大統領がウクライナ侵攻を命令する前、ロシアは予備兵力としておおよそ4000両の戦車を持っていたと思われます。したがってロシア軍は、戦争開始前に保有していた全戦車部隊のおよそ3割を失ったと言えるでしょう」
ロシア軍装甲車両の損害
Oryxの報告によると、戦車を含め、ロシア軍の装甲車両9342両が損害を受け、うち5924両が撃破、2783両が鹵獲された。ウクライナ側にとってこれは大きな戦果であるが、しかしこれをウクライナの全面的な勝利が近づいている兆しと考えるべきではない。
ロシアはこの苦境に適応しつつある
『Marine Corps Times』紙は、米国防総省のセレステ・ウォランダー氏の前述のイベントにおける発言を紹介している:「損害を出し続けながらもロシアはしだいにその状態に慣れつつあり、軍隊編成の上でも、作戦行動の上でも、そしていくぶんは全体戦術においても進化を続けています。そのことを我々は忘れるべきではないでしょう」