ニュース

パーソナルファイナンス

ビジネス

経済

自動車

【エンジン車よ永遠なれ!】R35GT-R用VR38DETTは、すべてを「速さ」のために選択。それは日本の至宝を支える匠のハイパフォーマンス作品である

(写真=CAR and DRIVER)

この記事は2023年5月29日に「CAR and DRIVER」で公開された「【エンジン車よ永遠なれ!】R35GT-R用VR38DETTは、すべてを「速さ」のために選択。それは日本の至宝を支える匠のハイパフォーマンス作品である」を一部編集し、転載したものです。

■NISSAN GT-R(R35)/VR38DETT

種類:V型 6気筒DOHC24Vツインターボ

総排気量:3799cc

ボア×ストローク:95.5×88.4mm

圧縮比:9.0:1

最高出力:441kW(600ps) /6500rpm

最大トルク:652Nm(66.5kgm)/3600〜5600rpm

※GT-Rニスモ(2022)の数値

とにかくただただ速い! VR38DETTは、全域がトルク&パワーバンドのようなエンジンだ。なぜ3.8リッターで、なぜV6なのか。答えはすべて「速さ」のためである。排気量はレースで勝つためレギュレーションに合わせた結果ではない。VQファミリーとボアピッチを共通にしたうえで、最も合理的に高い性能を引き出せるのが3799ccだった。V6にしたのはフロントミッドシップを実現するため。GT-R=直6というノスタルジーに浸ることなく、速さが最優先とされた。

エンジン開発の当初にはコスワースが関わったとされる。機構的な特徴は、剛性を高めるため他のVQファミリーと異なりクローズドデッキとしたこと、傾いた状態で高い横Gがかかっても潤滑性が保持されるようドライサンプ化してクロスフローとした点が挙げられる。

R35を初めてドライブした15年前、率直に驚いた。こんなに速いエンジンを載せたクルマが日本でも出てくるとは、まさに衝撃だった。

モデルイヤー制を導入し進化してきたGT-Rは、エンジンについても折を見て出力向上が図られた。発売当初の2007年時点で480psを発揮していたが、2008年に485ps、2011年に530ps、2012年に550ps、2016年には570psにまで引き上げられた。NISMOにいたっては600psだ。

VR38DETTは、ただでさえとてつもなく速かった。それが改良と進化を重ねて、さらにパワー感が増した。より伸びやかな吹き上がりを楽しめるようになったのである。

この圧倒的な性能の追求には、特別な技術が必要だった。それは、経験を重ねたマイスターによるハンドビルドである。ごく少数の「匠」と呼ばれる精鋭の職人が、専用ラインで綿密に手作業でエンジンを組み立てている。おかげで個体によるバラツキが最小限にくいとめられているのもVR38DETTならでは。最新テクノロジーを駆使したエンジンが、実は超アナログで生産されているのである。

エンジン特性としてはまさにフラットトルク。そこに演出的な要素はない。欧州勢では一般的なモード選択によりサウンドが変わるギミックもない。GT-Rはそれでいい。

「官能性は求めておらず、追求したのはひたすら性能」と、当初の開発責任者の水野和敏氏はよくいっていた。だが実際にドライブすると速さが心に響く。圧倒的な性能はそれ自体が絶大なドラビングプレジャーをもたらしてくれることがわかった。

こだわっていないというエグゾーストサウンドも、3.8リッターのV6ともなればそれなりに迫力ある音になっている。野太い咆哮は聴き応えがある。2023年の東京オートサロンで披露された2024年モデルでは、音量規制をクリアするため手を尽くしたことが伝えられた。サウンドはドライビングプレジャーの大きな要素である。それが損なわれることのないよう期待したい。

Writer:岡本幸一郎、Photo:NISSAN+小久保昭彦

(提供:CAR and DRIVER)

TOP STORIES

発見・体験、日本旅行に関する記事
Top List in the World