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フォルクスワーゲン、納得の中国EV戦略

フォルクスワーゲン、納得の中国ev戦略

フォルクスワーゲン、納得の中国EV戦略

 中国の電気自動車(EV)競争で、外国の自動車メーカーは国内のライバル勢に大きく後れをとっている。独フォルクスワーゲン(VW)による最新の提携は、世界最大の自動車市場で今後起こることを予兆するものだ。

 VWは26日、中国のEV新興、小鵬汽車(シャオペン)に7億ドル(約990億円)を出資し、5%の株式を取得すると発表した。両社はVWブランドのEV2車種を共同開発し、2026年に発売する予定だ。VWグループ傘下の高級車ブランド、アウディも中国国有自動車メーカー、上海汽車集団(SAIC)と共に同国でEVを開発する。エンジン車では、SAICは以前からVWの合弁パートナーだった。

 今回の取引は、EVの台頭によって中国の自動車業界で立場の逆転現象が起きていることを改めて示すものとして重要だ。VWのような外資系自動車メーカーはつい最近まで、市場に参入するために中国のパートナーと合弁会社を設立せざるを得なかった。外国メーカーは技術的な専門知識とエンジニアリングのノウハウを提供した。

 だが中国のEVメーカーが飛躍的に成長するにつれ、VWのような既存メーカーはむしろ異なる理由で中国の同業他社の助けを借りなければならなくなった。中国は2018年、外国のEVメーカーに対する合弁要件を撤廃したが、これは主にテスラの工場を誘致するためだった。

 補助金に加え、テスラがもたらした投資と競争によって、中国のEV市場は今や世界最大規模に成長した。また、中国企業は電池のサプライチェーン(供給網)を支配している。中国で売れているEVモデルは、テスラ以外は全て国産ブランドだ。VWは比亜迪(BYD)に中国での販売台数トップの座を奪われた。BYDは純粋なEVとプラグインハイブリッド車(PHV)のみを製造する。

 EVへのシフトで、外国メーカーも中国メーカーも対等な立場になった。競争する上で、エンジン製造の技術的優位はもはや強みではない。自動車がますます車輪付きのコンピューターになるにつれ、自動車を購入しようと考えている人は運転支援や車内エンターテインメントといった機能に注目するようになっている。特にシャオペンは、運転支援や自動運転車にリソースを注いでいる。

 VWはシャオペン以外にも、人工知能(AI)チップ新興企業の地平線機器人(ホライズン・ロボティクス)や電池メーカーの国軒高科など、EV競争で役立ちそうな中国企業に投資している。

 シャオペンにとって、VWからの出資は中国のし烈なEV競争を勝ち抜く上で弾みとなるだろう。同社は赤字で、ここ数四半期は売り上げが急減しているが、6月の中型スポーツ多目的車(SUV)「G6」発売が年後半に活力を与えるかもしれない。資金繰りが厳しい中で、VWのようなリッチな後ろ盾を持つことは間違いなくプラスとなる。香港証券取引所に上場しているシャオペン株は27日、約34%高で取引を終えた。

 VWは長い間、中国でトップの座に君臨してきたが、EV中心の新しい世界では地元の助けが必要だろう。一方、シャオペンは新モデルを市場に投入し、競争で勝ち残るための時間を必要としている。

 今回の取引は両社にとって理にかなっている。

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