ポルシェの世界耐久選手権(WEC)カスタマーチームであるプロトン・コンペティションは、第6戦富士6時間耐久レースで9位フィニッシュとなったものの、“異常な”問題がなければ4〜5位のフェラーリ勢を上回れたかもしれないとドライバーのニール・ジャニは考えている。
プロトンは第5戦モンツァ6時間耐久レースから、カスタマー用ポルシェ963をWECハイパーカークラスに投入。富士が2戦目となったが、ジャニとハリー・ティンクネル、ジャンマリア・ブルーニがシェアする99号車ポルシェは、2時間経過時点で50号車フェラーリ499Pを交わしてトップ5に入るなど、競争力があることを示した。
しかしティンクネルがレーススタートからのダブルスティントを終えて、ブルーニにドライバー交代を行なう際、99号車ポルシェのシートベルトにトラブルが発生。プロトンはガレージ内で5分以上のストップを強いられた。
結果的にプロトンは、優勝した7号車トヨタGR010ハイブリッドから8周遅れの9位に終わった。
レース後、ジャニはフェラーリ勢を打ち負かして4位を掴むチャンスを失ったと嘆いた。
「僕がマシンに乗り込んだ時、(6号車)ポルシェと2台のトヨタのすぐ後ろだった。スティント全体を通して僕は彼らの後ろを走ることができた」
「ベルトがバックルから外れてしまったんだ。ベルトを締めるために引っ張る部分がバックルを突き破って外れてしまった。それでもうベルトを締めることができなかったから、ベルト全体を交換しなきゃならなかった。まさに異常事態だった。あんなの見たことないよ」
「4位でフィニッシュできたはずだったから、残念だよ。僕らはフェラーリよりも速かったんだ。ペースで彼らを上回っていた。今週末のマシンが新車だったことを考えると、事前テストをしていない時はこういうことが起こり得るということだね」
「ドライバーラインナップも良いし、ペースもある。あとは少しマイレージを稼いで、論理的に未解決な細かいところを整理するだけだ」
ティンクネルは次のようにレースを振り返った。
「上手くいっていただけに残念だね。ピットストップの前はカラド(ジェームス・カラド/51号車フェラーリ499P)のすぐ後ろにいた。僕のスティント後半は本当に良かったし、フェラーリ勢と一緒に走れた」
「テストをしてないことを考えれば、マシンのペースは素晴らしいモノだった。FP3での5番手は本物だと思う」
「プロトンは既存のプロトタイプチームじゃないし、自分たちがプログラムのどこにいるかを考えると、僕らは自分たちの体重以上のパンチを繰り出していると思う」
ここには、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタが5番手を走行中、ターン10で他車と接触を起こしてドライブスルーペナルティを科されたことが大きく関係している。皮肉にも、ダ・コスタが接触した相手はLMP2クラスに参戦しているJOTAの28号車だった。
このペナルティにより、ダ・コスタ、ウィル・スティーブンズ、イェ・イーフェイがシェアする38号車ポルシェは51号車フェラーリ勢から22秒遅れの6位でチェッカーを受けた。
JOTAのサム・ヒグネット代表は、motorsport.comにこう語った。
「ドライブスルーがなければ、先頭のフェラーリ(50号車)と4位争いをしていただろう。FCYが出た時、彼らが走ったのは1周にも満たない距離だったのに対し、我々はFCYのタイミングでストレートを丸々走っていたから、最終結果にも影響があった」
「そこで15秒を失ったから、実際には(51号車から)10秒遅れだ。4位になり得たが、6号車ポルシェからはちょっと遅れていた。だから、ここに関しては作業が必要だ」
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