MotoGPで6度のチャンピオン獲得経験を誇るマルク・マルケス。2023年シーズンは、これまでのところ彼にとっては非常に厳しいモノとなっているが、彼は後半戦を前にmotorsport.comの独占インタビューに応じ、前半戦や体の状態について明かした。
マルケスにとって2023年シーズンは2020年の大怪我以来、体調をしっかりと整えて挑むことのできた久しぶりのシーズンだった。しかし彼の欠場が続いている間に、ホンダとライバルの戦闘力の差が開き、マルケスのライディングをもってしても苦しい状況となった。
転倒も数多く経験し負傷してしまう苦境の中、ホンダ離脱の可能性すら囁かれていたマルケス。しかしmotorsport.comの独占インタビューに対し、彼は日本メーカーが最悪の時期にあるにもかかわらず、ホンダで「プロジェクトを成長させ続けたい」という姿勢を貫いた。
──肋骨の負傷によってオランダGPの決勝を欠場することになりましたが、体調は100%回復しましたか?
「だけど一番気になっていたのは炎症が酷い右足首だった。靭帯を傷つけてしまって、今もかなり炎症が酷いんだ。そのせいであまり上手く歩くことができないのかもしれない。この足首の問題はここ数日で良くはなったけど、右足全体に不快感があるんだ。予想よりも時間がかかってしまっている。回復できていれば良かったんだけどね」
「先週末はバイクで色々できるようになっていたし、順調に進んでいる。不快感があって早めに終えたこともあるけど、肉体的にはかなり良いと思う」
──アッセン(オランダ)を離れる前、あなたは休息し、頭をスッキリさせるための夏になると言っていました。夏休み中に考え、そして決定を下すことはできましたか?
「ああ、考えて評価することができた。なにより、家で落ち着いていると、シーズン前半に何が起きたかを考えることができるし、何を間違えたのかや上手くできたことを考えられる」
「だから後半戦の目標はあまり激変させるようなものではないかもしれない。結果を求めるのではなく、このプロジェクトと成長し続け、何よりも自分自身の自信とレースペースを取り戻すことだ。2022年のマレーシア以来、僕は長いレースを完走していない。(今季の)ル・マンではあと少しのところだったけど、ああしたリズムを刻むのは不可能だ。僕も人間で、バイクで速く走る方法を知っていたとしても、レースペースはまた別だ」
Marc Marquez, Repsol Honda Team
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
──ですがあなたのように勝つことに慣れているライダーが結果を求めないとすれば、どこからモチベーションを引き出すのでしょうか?
「少しずつMotoGPバイクの調子が良くなっていって、僕も上手くやれるようになっていけば、また勝利を目指して戦うモチベーションが戻ってくるはずだ。だけど現実から目を背けることはできないし、今はトップ5に入るための戦いの準備もできていない」
「ル・マンや、アレックス・リンスが魅せた(優勝した)オースティンのように、特定のサーキットでなら可能性はあるかもしれないけどね。だけどそれは特定の状況に過ぎない。僕はポルティマオとル・マンで良かったけど、それ以外ではそうでもなかった。リンスもオースティンでは速かったけど、他では違ったよね。だから現実的になる必要がある」
──夏休み期間中、日本のホンダとは話すことはできましたか? シルバーストンではバイクにどんなモノを期待していますか?
「そうだね、そこは僕がやりたかったことのひとつだ。アルベルト・プーチ(チームマネージャー)とテストチームとは常に繋がっている。(テストライダーの)ステファン・ブラドルがミサノとヘレスでテストしているから、シルバーストンで何が新しく、何が新しくないかをしっかりと把握できるだろう」
「テストチームが作業してくれていることは知っている。でも実際に機能するかをプラクティスで確認する必要がある。もちろんテストチームが作業と進化を続けていることは明白だ。何が起きるかは今後数レースで分かってくるだろう。そして最も大事なのはミサノテストだ。僕らにとっては(2023年シーズン)最後のテストであり、2024年型のテストが始まる場所になるからね」
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