レプソル・ホンダのマルク・マルケスは、MotoGPマシンの空力開発が過熱していることに対し、四輪の最高峰であるF1を例にしつつ警鐘を鳴らしている。
MotoGPにおける空力は各メーカーがこれまで何十年も取り組んできた領域だが、そのステージが明らかにひとつ変わってきたのは最近になってからだ。特に2015年にドゥカティがウイングレットを導入したことが、開発を加速させるきっかけとなった。
それ以来、MotoGPマシンの空力開発は非常にホットな領域となっており、一定の制限がかけられつつも、その重要性はますます高まっているような状況にある。
6度のMotoGP王者であるマルケスはF1と比較しながら、空力開発が過熱する現状を批判している。2027年には空力開発に関して、レギュレーションで変更が加えられる可能性が高いが、マルケスは今の空力がレースに与えている影響を考えると「遅すぎる」と話す。
Marc Marquez, Repsol Honda Team
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
「その時はみんな『どうかな』と言っていた。空力的なことに反対するひともいれば、賛成するひともいる」
「そして何か言おうものなら、『ああ、それは君がそうした空力に適応できていないからだ』と言われるんだ」
「適応はできる。でも結局のところ、MotoGPはバイクに大きく依存しているんだ。空力が良くなかったら……トラクションがなかったら……というふうにね。多くのことが技術的な面により依存しているんだ」
「でも、そのF1は(MotoGPと)反対の方向に進んでいる。マシンのダウンフォースを減らし、空力による影響を少なくしているように見える。そして僕らはその逆を進んでいて、どんどん大きくなっているんだ」
「2027年には、これが変わってくるようだけど、遅すぎる。3年間はこのままだというなら、開発によってダウンフォースをますます増加させていくことだろう」
F1ではより接近したホイール・トゥ・ホイールのバトルを増加するべく、2022年シーズンに技術規定を一新。グラウンドエフェクトカーを復活させ、マシン上面のウイング類による効果を減らすことで、追従時のオーバーテイクに影響を及ぼす前車からの後方乱気流を軽減し、2022年からはより下面からのダウンフォース発生に重きを置くマシンとなった。また開発面では予算上限の設定により、制約を与える方向に進んでいる。
マルケスが批判的なMotoGPマシンの空力開発の過熱は、タイヤにも影響が及んでいる。今季後半戦からは最低内圧がより厳格に管理されているが、マシンが生み出す乱流の中では、内圧が上昇しすぎてしまう問題が生まれている。
これによりオーバーテイクの難しさやクラッシュに影響するだけではなく、ライダー達の走り方にも変化が生まれている。できるだけ他車の後方に留まることをさけるべく、アグレッシブに攻める走りに繋がっているのだ。
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