WEC富士6時間レースに急遽参戦し、LM-GTE Amクラスの3位を木村武史、スコット・ハファカーと共に獲得したケッセルレーシング57号車の宮田莉朋は、その実力を存分に世界に見せつけた。
レギュラードライバーのダニエル・セラが来日できなくなり、土壇場で木村からのオファーを受けた宮田。しかも週末を通して富士スピードウェイは天候が不安定で、まともなドライセッションは決勝レースが初めてだった。
しかしフィニッシュ担当ドライバーとしてバトンを受け取った宮田は、素晴らしいペースで走行。実際、前を走るAFコルセ54号車とほぼ同じか、速いくらいのラップタイムを刻んだのだ。
この時、54号車をドライブしていたのはフェラーリのファクトリードライバーとして耐久レースで実績を重ねてきたプラチナドライバー、ダビデ・リゴンだった。
「僕に代わるときにタイヤ交換というか、ピット作業でちょっと失敗があってタイムをロスしちゃったんですけど、その後は良いペースで追い上げることができて、実質2番手まで上がれました」
「最後のスティント、実はクルマにちょっとトラブルを抱えてしまって、プッシュしてもラップタイムが出なかったのでチェッカーを受けることに専念しました」
#57 Kessel Racing Ferrari 488 GTE EVO: Takeshi Kimura, Scott Huffaker, Ritomo Miyata
Photo by: Masahide Kamio
痛いペナルティとなったが、初めて尽くしの状況を踏まえれば致し方ないと言っていいのではなかろうか。
宮田は”初めて”は自分だけではなかったと話し、チームと力を合わせることができたことが結果につながったと語った。
「初めてのフェラーリで初めてのミシュランタイヤ、初めてのチームでしたが、トラブルがなければトップのドライバーと変わらないペースで走れていました」
「僕に限らず、木村さんはフェラーリで富士を走るのは初めてだし、ケッセルも初めての富士だし、スコット選手も富士は初めてでした。みんながそれぞれ初めての状況でした。クルマやタイヤのことをみんなが僕に教えてくれたし、僕は富士のことをしっかり教えるという環境だったので、みんなが一人一人力を合わせたことがしっかり結果として実ったのかなと思います」
「自分は世界に行きたいという思いでずっと日本で頑張ってきましたし、今年ようやくTOYOTA GAZOO Racing WECチャレンジドライバーのプログラムに入ることができました。元々は(トヨタチームの)帯同だけの予定だったんですが、こういった機会に素晴らしいレースウィークを送れました」
「宮田莉朋っていう存在を世界中に知ってもらいたいということだけが僕の願いです。世界に行くときに色んなチャンスが生まれたらいいなと切実に願っています」
その目標をどれくらい達成できたと思うかという質問に、彼は「まだ60〜70%くらいですかね」と答えた。
「実際スーパーフォーミュラでランキングトップで、リアム・ローソン選手より前だということだけでも話題がありますし、今回もファクトリードライバーよりセクタータイムが速かったとかラップタイムが遜色なかったという部分では、少なからず爪痕は残せたかなと思います。あとはそれを自分の将来に活かしていけたらなと思っています」
Follow @MotorsportJP