今年で100周年を迎えたル・マン24時間レース。ハイパーカークラスへ参戦するポルシェは、ワークスチームとして3台、カスタマーチームも入れれば4台のLMDhマシン『963』を投入したが、日曜日の昼前の時点で全車が事実上優勝争いから脱落した。そうした状況を受けてポルシェ陣営は、ル・マンでの「夢は破れた」と語った。
レースは21時間半を経過した時点で、ポルシェ勢最上位は首位51号車フェラーリから6周遅れの5番手を走る5号車963。夜間セッションでセンサートラブルと冷却水漏れが発生し、修復により23分をタイムロスしたことで、大きく遅れることになってしまった。
また朝方まで4番手をキャデラックと争っていた6号車963は、バックマーカーを抜く際にコースオフ。レースに復帰することはできたものの、ガレージで40分以上の修復作業を強いられることとなった。
またカスタマー仕様の963を使用するJOTAの38号車は、土曜日の夕方に一時レースをリードしたものの、2度のアクシデントに見舞われピットに入ったままとなっている。
ポルシェの通算20回目のル・マン総合優勝という望みは、まだ2時間半残っているものの完全に絶たれたように見える。
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「夜と朝は、我々にとっては快適なセッションになった」
「ただ、75号車は早々にリタイアを喫し、5号車には冷却装置にトラブルが発生……6号車はアクシデントで大きくタイムをロスした。それで我々は優勝候補から外れてしまった」
「我々のペース自体はとても良かったから残念だ。勝利への期待は高かったが、残念ながらその夢は破れた」
#75 Porsche Penske Motorsport Porsche 963 of Felipe Nasr, Mathieu Jaminet, Nick Tandy
Photo by: Marc Fleury
75号車がストップした際にステアリングを握っていたマシュー・ジャミネは、100周年という記念すべきレースでチェッカーを受けられないのは辛いと語る。
「残念なことに、僕らは早々にリタイアせざるを得なかった。夜に雨の中を走っていたら、燃料の圧力が急に下がってしまったんだ」とジャミネはマシントラブルについて説明する。
「マシンを再び走らせるために色々試したけど、何も上手くいかなかった。正確な原因はまだ分かっていない。電気系統をリセットして、電動モーターを使うことでマシンをリスタートできる場合もあるんだけどね」
「残念だけど、ピットレーンまでの距離があまりにも遠くて、それも上手くいかなかった。フィニッシュまで辿り着けなかったのは痛いよ。それでも、このレースに出場できたことは素晴らしい経験だった」
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