ヤマハは来季、フランコ・モルビデリに代わってアレックス・リンスをMotoGPライダーとして起用することを発表。リンスは2022年限りでスズキがMotoGPを撤退したことで、今年LCRホンダに加入したばかりだったが、わずか1年でヤマハ陣営へ移ることとなった。
この移籍劇についてリンスが口を開き、サテライトチームのLCRホンダでは受けられなかった、ワークスチームでの万全なサポートがその背景にあると明かした。
「あれだけ酷い日々が続いていたから、ヤマハとの契約発表は信じられないくらいだ。とても嬉しいよ」
リンスはDAZNにそう語った。
「スズキが去った後、僕らは路頭に迷っていた。あらゆるドアをノックしたけど、彼らには(ファビオ)クアルタラロとモルビデリがいて、その時は無理だと言ってきた」
「楽しみだよ。ファクトリーチームでのプログラムは僕が求めていたモノだし、とてもワクワクしている。でもこのシーズンも、始まった時と同じ情熱でもって終えたい」
Alex Rins, Team LCR Honda
Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images
リンスは今季アメリカズGPで移籍後初優勝。ホンダ陣営としてはこれが今季これまでで唯一の勝利となっている
ただリンスは度々、ホンダから十分にサポートが得られていないと口にしてきた。ホンダがフランスGPからワークスチームのレプソル・ホンダに投入したカレックス製のシャシーも、リンスはテストできなかった。
「一番厳しかったことは、レースを追うたびに見えてきた。結局、ホンダ、HRCはファクトリーチームに新しいパーツをテストさせることを優先したんだ……僕だって競争力のあるライダーなのにね。僕はもう少しサポートして貰いたかったよ」
リンスはそう続ける。
「ホンダのバイクは悪くない。他のブランド、特にヨーロッパのブランドは2歩先を行っていて、ホンダは一歩前進したと思う。オースティンで僕らは勝つために、めちゃくちゃ飛ばした。まだ改善する必要があるのは確かだけど、そう遠くはない」
「クラッシュしてしまったのは僕のせいで、ホンダの電子制御やトラクションコントロールのせいじゃないよ」
「ルーチョとは他のチーム監督とは比べ物にならないくらい素晴らしい関係を築けているし、ガレージ内の雰囲気も申し分なかったから、申し訳なく思う。移籍するかしないか考えてみたけど、断れなかった。ルーチョには申し訳ないと伝えた。辛かったけど、彼は完璧に理解していると言ってくれた」
また、リンスはイタリアGPでのクラッシュによって足を骨折。シーズン後半戦が始まるシルバーストンでのイギリスGPも欠場が決まっている。
「できることなら今すぐにでも戻りたい。シルバーストンという重要なイベントを逃してしまった。シルバーストンは僕のお気に入りで、一番楽しめるサーキットのひとつなんだ」とリンスは怪我の状況について説明する。
「いつ復帰できるか分からないし、(予想するのは)難しい。今日から体重を自分で支え始めたけど、日が経つに連れて状況がどう進展していくかを見たい」
「複雑な怪我で、骨が爆発したかのような怪我だったから、僕は何時間も手術室にいた。回復には時間がかかるよ」
「彼ら(医師)の許可が下りれば、僕は戻るつもりだ」
リンスの代役として、スーパーバイク世界選手権(WSBK)に参戦中のイケル・レクオナがLCRホンダからイギリスGPに参戦。レクオナはリンスの後釜としても有力視されており、今回の代役参戦もその評価の一貫となっているという。
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