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宮田莉朋が伝授した富士セクター3の秘訣。57号車フェラーリの木村武史、決勝に向け自信たっぷり

宮田莉朋が伝授した富士セクター3の秘訣。57号車フェラーリの木村武史、決勝に向け自信たっぷり

#57 Kessel Racing, Ferrari 488 GTE EVO: Ritomo Miyata, Takeshi Kimura, Scott Huffaker

 WEC富士6時間レースの予選で、LM-GTE Amクラス6番手で終えたケッセルレーシング57号車フェラーリの木村武史は、急遽参戦が決まった宮田莉朋から会得中の走り方を武器に、決勝レースでは良い走りができるはずだと語った。

 ブロンズドライバーがアタックを担当する予選で、ポールから0.673秒遅れの6番手となった木村はライバルの速さを認めつつも、決勝向きのマシンに仕上がっていると自信をのぞかせた。

「自分としては良いアタックができたなと思います。それだけに周りのライバルが速かったなというのはありますが、特に私たちのクルマは一発(アタックの速さ)を意識していません」

 そう木村はmotorsport.comに語った。

「フェラーリ勢の中で予選のアベレージが相当速く、ずっと同じタイムで走れたので、決勝に向けての手応えはかなりあります」

「富士の路面はタイヤへの攻撃性が高いですが、タイヤに優しいフェラーリに分があるんじゃないかと思います。予選は上位に来るべきドライバーが来た感じがありますが、決勝はタイヤの保ち、デグラデーションも含めてかなり自信があるので、速い選手にも離されずについていけるんじゃないかなというくらいの気持ちがあります」

 今回、57号車はレギュラードライバーのダニエル・セラが来日できなくなり、急きょ宮田を起用することが決まった。

 マシンやタイヤ、WEC自体も初めてという宮田だが、木村は彼の走り方に大きな影響を受けたと明かし、セクター3でのドライビングが大きく変わったのだという。

「これまで私が第3セクターを走ってきたイメージと、宮田選手の走り方が全然違うんです。彼はドライで5分10分乗ったくらいで第3セクターを一番速く走ったんです。その走り方を教えてもらって会得中ですが、これはかなり武器になりますよ」

「FP1で、私はセクター1と2が速くてセクター3が他のブロンズと比べて遅かったんですよ。それが予選ではセクター3が一番速いくらいなので、一番のネガティブ要素がポジティブになるかもしれません。嬉しいですね」

 そう笑顔でドライバーとしての成長を喜ぶ木村。しかも、宮田の走り方は”簡単”なのだと付け加えた。

「今までの走り方だと、ニュータイヤとか調子が良い時はギュッとマシンを止めて向きを一気に変えて、バチーンと踏んで姿勢が乱れるのをコントロールしながら登っていくんですが、タイヤが垂れてきたりガソリンが多い時はそこでミスをするんですよ。3回に1回くらい決まるんですけどね」

「でも宮田選手は手前から丁寧にブレーキをかけていき、しっかりと綺麗に荷重をかけて旋回していく走りなんです。一番の驚きは、宮田選手の走り方が一番簡単なんですよ。ステアリングを切る回数も宮田選手の方が少ないし、その分タイヤにも優しい。まだ自分は100%できてないですけどそれでも運転が簡単になりました」

「無理しない走りが一番ナチュラルで速い。決勝の走行中も速くなると思います」

 宮田にその走り方について聞くと、フォーミュラやスーパーGTに限らず自分のキャリアの中で固まってきた富士スピードウェイの走り方なのだと話した。

「ヨーロッパのチームだからこそなのか、ミーティングをすごく大切にしていて、どうやってみんなで速くなるかと努力しているので、僕の伝えたいことやセクター3の走り方を伝えられました。嬉しいですし、それにトライしてくれる木村さんに感謝しかないです」

「セクター3は富士の中でも一番重要なセクターです。あそこはダウンフォースもかかりにくいですし、メカニカルグリップが必要なのでタイヤを常に使いたくなるんですが、そうしてしまうとレース後半が厳しい。どうタイヤを優しく使って、かつ速く走るかを意識していくとそうなってきたというか、自分が頑張ってきたことが結果として出てきたのかなと思います」

 宮田自身は3度のフリー走行を通じてマシンやタイヤの習熟に集中。それほど違和感を感じることなく、ドライビングができているという。

「今回僕は初めてのフェラーリで、コンディションがずっとイレギュラーな中で周回を重ねているので、100%クルマに習熟するという時間があまりありませんでした」

「まだ未知数というか理解しきれていない部分がありますが、でもアベレージタイムはレベルが高いところにいると思います。僕もステップバイステップで走っているので、レースでもそれをうまく引き出せたらなと思います」

「僕がドライブする中でABSがないクルマは、基本カーボンブレーキなのでABSがない分カーボンブレーキで止めているというイメージでした。GTE車両はスチール製なので、ブレーキ踏力も最初はイマイチ掴みきれませんでした」

「ただ段々、フェラーリのダウンフォースの出方とか走らせ方を理解した上でブレーキの使い方がわかってきたので、そこまで悩まずにパッと乗れたかなと思います」

 宮田はスーパーGTでは手強いライバルが使っているミシュランタイヤを使うのが楽しみだったと語り、実際にそのレベルの高さを実感できたという。そんな宮田に、木村もタイヤの使い方をアドバイスした。

「そういえば宮田選手に伝えておきたいのは、ミシュランは結構タイヤが保つんだよね。あのグリップ感が最後の10分くらいまで続く。GTみたいにダメになっちゃってからの”地獄”は来ない。それを1スティント目で感じて、2スティント目で爆発させてくれれば、タイヤを使い切れる。そこがポイントかなと思います」

 決勝では、木村がスタートから2スティント、宮田がフィニッシュまでの2スティントを担当する予定だという57号車。日本のファンの前で、素晴らしい走りを見せてくれそうだ。

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