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現行パッケージ最後のテストはやることが少ない? そんな中“山積み”だったNAKAJIMA RACINGの課題とは|SF合同/ルーキーテスト

 先日、鈴鹿サーキットで開催されたスーパーフォーミュラの合同/ルーキーテスト。毎年恒例の冬のテストでは、各チームがシーズンのおさらいや来季に向けた取り組みを進めていくが、今回のテストは少し事情が違っていた。

 というのも、スーパーフォーミュラでは来季から新スペックのタイヤや空力パッケージが導入されるため、現行パッケージのSF19で走るのは実質これが最後の機会。そのため、今回のテストでは来季に向けたマシン熟成においてあまり有用なことができないのでは……そんな声も各所から聞こえてきていた。そのため、ふたりのドライバーの乗車マシンや担当エンジニアを入れ替えたり、新人エンジニアを起用したりと、思い切ったトライをするチームが多く見られた。

 そういった意味でもある種ゆったりとした時間が流れていた感のある今回のテストだが、その中で「時間がない」と語っていたエンジニアがいる。それがTCS NAKAJIMA RACINGの加藤祐樹エンジニアだ。

 2019年にはアレックス・パロウを擁してタイトル争いにも絡んだNAKAJIMA RACING。2020年は大湯都史樹が1勝、2022年は山本尚貴が1勝を記録するも、毎戦安定して上位争いに絡むことはできていないという状況だ。

 そんな中今回のテストでNAKAJIMA RACINGは、山本と佐藤蓮を起用。テスト2日目には2台の車両を入れ替えるなど様々なトライをしつつ、最終的には佐藤が総合トップタイム、山本も3番手につけるなど好タイムをマークした。

 今季山本担当だった加藤エンジニアは今回佐藤を担当した。NAKAJIMA RACINGのマシンに初めて乗った佐藤は「今まで乗っていた車両とは違う部分もあり、高速コーナーで速い印象」と語っていたが、そのことを加藤エンジニアに伝えると、彼はこう話した。

「そう聞くと改めて、そういうところに“合ってしまっている”のかなと思います」

現行パッケージ最後のテストはやることが少ない? そんな中“山積み”だったnakajima racingの課題とは|sf合同/ルーキーテスト 

Photo by: Masahide Kamio

「合ってしまっている」という言葉の真意を加藤エンジニアに聞くと、彼曰くNAKAJIMA RACINGのマシンは低速コーナーを苦手にしており、その結果特に決勝でドライバーに苦しい戦いを強いてしまったという。

 低速コーナーのパフォーマンス改善で重要なのは、空力によるダウンフォースではなく、サスペンションなど足回りから得られるメカニカルグリップ。来季は空力パッケージが刷新予定とはいえ、そことは別の部分でNAKAJIMA RACINGはやるべきことが山積みだという。

「鈴鹿は低速コーナーが少ないですが、その数少ない低速コーナーでの弱さがシーズン中に問題になってくると思うので、そこ(の解決策)を探っています」

「来季も基本的に足回りのパッケージは変わりません。僕たちが苦手としているのはメカニカルグリップです。その部分を良くしないと、来年はダウンフォースが減るので余計に大変なことになってしまいます」

「そういう意味ではやることは山積みです。僕たちは『何をやろう』という次元ではなく『時間がない』という感じです」

 テスト初日を終えた段階で「事前にかなり仕込んできましたが、計算通りになりました」と手応えを口にしていた加藤エンジニア。経験の浅い佐藤にはドライビングとフィードバックに専念させ、セットアップに関する判断は自らが全て行なうなどお互いの役割を切り分け、自身の武器とする「定量的な評価」に集中した。

 12月12日のホンダ体制発表で、このテストでドライブした山本と佐藤のコンビで2023年シーズンを戦うことが発表されたNAKAJIMA RACING。課題が完全に解決したかは蓋を開けてみないと分からない部分もあるだろうが、少なくともかなり収穫のあるテストとなったようだ。

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