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KTM、アコスタ昇格のために非情な決断迫られる? 放出候補のエスパルガロ、フェルナンデス共に「契約がある」状態

 KTMは、現時点でMoto2クラスのランキング首位に立っているペドロ・アコスタを来季MotoGPに昇格させると見られているが、KTM陣営のライダー事情は複雑な状態であり、アコスタを昇格させるためには厳しい判断を強いられることになりそうだ。

 KTMはファクトリーチームと、GASGASブランドを纏ったサテライトチームであるテック3の計4台体制でMotoGPを戦っているが、これらのシートに座っているライダーはすべて来季の契約がある状態で、アコスタを昇格させるためには、いずれかのライダーとの契約を途中で反故にしなければならない。

 期待の若手であるアコスタは以前、2024年のMotoGP昇格が実現しなければ、KTM陣営を離れる可能性もあると示唆している。そのため、KTMが彼を確実にモノにしたいと考えるなら、非情な決断を迫られる可能性があるのだ。

関連ニュース:超期待の若手アコスタ、KTM離脱の未来もありうる!? 2024年MotoGP昇格がなければ契約破棄の可能性

 ブラッド・ビンダーとジャック・ミラーは、ファクトリーチームと来年末までの契約を結んでいる。今季このふたりは上位を争うシーンも多く、KTMが契約期間が満了する前に彼らを放出するのは少し考えづらいだろう。

 テック3のエスパルガロも、レプソル・ホンダからの移籍と同時に2年契約を結んでいる。そのため、アコスタのシートを用意すべく、昨年のMoto2王者であるアウグスト・フェルナンデスとの契約を今期限りで終了させるものと見られていた。

 しかし今月上旬のイギリスGPでフェルナンデスはmotorsport.comの独占インタビューに応じ、契約を延長することで合意したため、来季もグリッドに残ると明かした。

ktm、アコスタ昇格のために非情な決断迫られる? 放出候補のエスパルガロ、フェルナンデス共に「契約がある」状態

Augusto Fernandez, Tech3 GASGAS Factory Racing

Photo by: Gold and Goose / Motorsport Images

「それについて考えると心配になるけど、もう終わったことだし、ここに残れてとてもハッピーだよ」

 アコスタの昇格について訊かれ、フェルナンデスはそう語った。

「チームに残り、同じ人たちとレースを続けられるのは嬉しいよ。それはかなり助けになるからね」

 KTMのステファン・ピアラーCEOも先月、『Speedweek』のインタビューでフェルナンデスのテック3残留を明言しているが、現時点ではフェルナンデスの契約更新については何も発表されていない。

 アコスタの将来についての発表が期待されているオーストリアGPの木曜日、フェルナンデスは再び2024年の状況について質問されると、motorsport.comに次のように答えた。

「なぜ(僕の将来が発表されないの)かは分からない。彼らに聞いてみてよ」

「僕には契約がある。どうなるか見てみよう。この世界がどういうものかは知っているけれど、来年も今の場所に留まると言われたし、契約にサインもしたんだ」

「それ以上は言えない。理論的には、このチームに残ることになっているけど、何が起こるか見てみよう」

 フェルナンデスがテック3に残留するのなら、立場が危うくなるのはエスパルガロだろう。前述のようにエスパルガロは来季の契約があるものの、ピエラーCEOの発言によって将来に疑問符がついているのだ。

 エスパルガロは開幕戦ポルトガルGPのフリー走行で転倒し、シーズン前半戦を棒に振ってしまった。彼は夏休み明けのイギリスGPで復帰したばかりだが、ピアラーCEOはイギリスGPの際に『Speedweek』の取材に対し、エスパルガロが「期待通りのパフォーマンスを見せれば」2シーズン目があるとコメントしたのだ。

 ピアラーのコメントについて、エスパルガロはmotorsport.comに次のように語った。

「僕たちは皆ここ(MotoGP)にいるのだから、パフォーマンスを発揮しなければならない」

「僕はもうほぼ10年MotoGPにいるけど、MotoGPに留まりたいのなら、結果を残さなければならないとハッキリ分かっている」

「それが唯一の方法なんだ。特に僕は大怪我から復帰し、レースにもあまり出ていない状況では確かに疑念はある。でも僕も含めて、そういう疑問符は誰にとってもあるものなんだ」

「だから僕が一番、普通の状態を取り戻したいと考えているんだ。2023年と2024年の契約は結んでいるけれど、パフォーマンスを発揮したいと僕が一番思っているし、もしそれができないなら、僕は離れていくだろう」

「僕はファクトリーを愛しているし、KTMのファミリーの一員だ。もしアップグレードになるなら、僕は迷わず移籍する。僕はこのファクトリーが輝くのを見たいからね」

 ただ、オーストリアGPを前にmotorsport.comの独占インタビューに応えたエスパルガロは、改めてテック3残留を強調した。

「僕がMotoGPに参戦してから噂はずっとあったけれど、それは僕には関係ないし、何もないところから出てきたものだ。僕は2年契約を結んでいるからね」

「KTMではブラッド、ジャック、僕が2年、アウグストが1年の契約だ。僕は2024年までこのチームにいるし、それが僕を成長させてくれる」

「今のMotoGPのレベルはとても高い。時間が必要だし、怪我をした後はなおさらだ」

「噂は噂でしかないし、僕にとって重要なことじゃない。僕は来年までの契約を結んでいるんだ」

 KTMは2024年に向けて、LCRとグレシーニに働きかけ、サテライトチームを増やす可能性を探っている。そしてホンダで苦戦中のマルク・マルケスとアコスタを獲得し、新たなサテライトチームで起用するのではないかと噂されていたのだ。

 ただLCRはホンダとの2024年までの契約を守ると主張し、グレシーニは最近ドゥカティとの契約を更新している。

 なおスズキの撤退に伴ってグリッド枠はふたつ空いているが、これはMotoGPを主宰するドルナ・スポーツが新たなファクトリーチーム参入のために確保している状態であり、KTM陣営が活用することはできない。

Additional reporting by Megan White

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