2023年デイトナ24時間レースの決勝が1月28~29日に実施され、耐久レース新時代の幕開けともいえる一戦でアキュラ(Acura)勢が1-2フィニッシュを達成した。
◆ルマンとの“共用規定”によるトップカテゴリーマシンが登場
例年、1月末~2月初頭に決勝が開催される「デイトナ24時間レース」。舞台は米フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで、オーバルコースにインフィールドのロードコース区間やシケインを組み込んだレイアウトで実施される。北米最高レベルの耐久レースシリーズ「IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権」(以下、「IMSA」と記す)の開幕戦であり、単独イベントとして世界的に著名な24時間レースでもある。
デイトナ24時間レースは日本人ドライバーの活躍で注目されることも少なくない。1992年には長谷見昌弘/星野一義/鈴木利男が日本人ドライバー初の総合優勝を成しており、近年では小林可夢偉が2019、2020年と2年連続で総合優勝している(可夢偉は2021年も総合2位と活躍)。
デイトナでは今季からのIMSAトップカテゴリー「GTPクラス」に4ブランド、計9台のLMDhマシンが参戦してきた。その顔ぶれは「キャデラックV-LMDh」が3台に、「ポルシェ963」「BMW M Hybrid V8」「アキュラ ARX-06」が各2台。耐久レース新時代のスタートといってもいい年の最初の戦いをどのマシンが制するのか、世界中からデイトナに熱い視線が注がれた。
◆アキュラ勢1-2独占、キャデラック勢が3-5位に
1月28~29日の決勝で783周を走り、2023年デイトナ24時間レース総合優勝を飾ったのは#60 アキュラ ARX-06(Meyer Shank Racing w/ Curb Agajanian)だった。優勝クルーはT.ブロンクビスト、C.ブラウン、H.カストロネベス、S.パジェノーの4人(カストロネベスとパジェノーはインディ500優勝経験者)。
4秒差の総合2位にも別チームのARX-06(#10)が続き、アキュラ勢の1-2フィニッシュとなっている。アキュラはデイトナ24時間レース3連覇も達成(#60の陣営とブロンクビスト&パジェノーは2連覇、カストロネベスは3連覇)。
また、今回のデイトナ24時間レースには日本の金丸ユウがLMP3クラスに FastMD Racing(#87)から出走した(#87は暫定リザルトでゴール時「ノット・ランニング」とされている。走破周回数は618周)。
◆WECハイパーカー・クラスも盛り上がり必至
いよいよ動き出した“耐久レース新時代”。今季2023年のWECは3月開幕予定で、1月前半に暫定の年間エントリーリストが発表されている。最高峰の「ハイパーカー・クラス」には昨季から大幅増となる13台が列記された(WEC各レースの実際のエントリー状況は変化するものと考えられる)。
WECのハイパーカー・クラスはルマン・ハイパーカー(LMH)規定を中核として2021年に発足したが、台数的な面では今季初めて本格化するといってもよく、ここで真の新時代スタートを迎える、とも評せるだろう。
LMH規定車は、ビッグブランド勢が王者トヨタ(GR010)に昨シーズン途中から参戦を開始したプジョー(9X8)、そして新規参入のフェラーリ(499P)と、いずれも各2台。さらにグリッケンハウス(007)とヴァンウォール(ヴァンダーヴェル680)各1台が名を連ねている(この2台のみノンハイブリッドとされる。他の11台はハイブリッド)。ヴァンウォールのドライバーには1997年F1王者ジャック・ビルヌーブの名も。
ルマン24時間レース(フランス)を中心とする耐久レース最前線ではビッグブランド参入による隆盛の波というものが繰り返されてきたが、2023年はその波が幾度目かの頂点へと向かって上昇角度を急にするシーズンといえそうだ。
今年のルマン24時間(WEC第4戦)は6月10~11日決勝の日程で開催される予定。第91回大会だが、1923年の第1回大会開催から100周年という節目の大会でもあり、ビッグブランド多重対決の構図も相まって大いに活気づくことが予想される。
(*本稿のリザルトおよび内容等は、2023年デイトナ24時間レースのゴール直後段階での情報とレース暫定結果に基づく)