キャリア

ニュース

パーソナルファイナンス

ビジネス

経済

自動車

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

Photo by Yasushi Ohnishi

スタイリッシュ&スポーティに大変身。“ハイブリッド・リボーン”をコンセプトに掲げ、目指したのはユーザーから愛される“いいクルマ”。エモーショナルなデザインと虜にさせる走りに注力した、期待が高まる新時代の5thモデル、颯爽とデビュー!!

ひと目惚れする“デザイン”と

虜にさせる“走り”

 1997年にエンジンとモーターを協調して駆動する世界初の量産ハイブリッドカーとして登場したプリウス。「21世紀に間に合いました」のキャッチコピーが記憶に残っている人も多いだろう。あれから25年、ハイブリッドという言葉は一般ユーザーにも深く浸透。車種もコンパクトカー、セダン、SUV、ミニバン、そして商用車までトヨタのほぼすべての車系にラインアップされ、累計販売は2000万台(2022年末)を超える。

 そんな中、最新作となる5代目が登場した。開発コンセプトは「Hybrid Reborn」だが、その本質は“燃費がいいではなく、クルマとしていい”を目指した。歴代モデルを振り返ると、つねに“圧倒的な燃費”が注目されたが、新型は燃費がいいのは当たり前、それとは異なる個性のプラスだ。開発陣が盛り込んだ個性とは、ひと目惚れする“デザイン”と虜にさせる“走り”の2つ。このキーワードは歴代モデルも無視はしていないが、最後は燃費のために犠牲になっていたのも事実だろう。開発陣は自らの呪縛を解いたのだ。

“4ドアクーペ”と呼びたくなる

スタイリッシュなフォルгѓ

 デザインから説明していこう。エクステリアは2代目から続くワンモーションフォルムを継承するが、ワイド&ローのプロポーションやルーフ頂点を後方に下げたことに加えて、低いボンネット、スポーツカーのように寝かされたフロントウィンドウ、線ではなく面で抑揚を与えたグラマラスなサイド、薄型一文字ライトのリアなど、“4ドアクーペ”と呼びたくなるスタイリッシュなフォルムに仕上がっている。

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

新型プリウス・プロトタイプ。2Lエンジン搭載グレード。ワンモーションフォルムを継承しながらスポーティなデザインに仕上げた。写真のボディーカラー、シルバーメタリックはXグレード専用設定

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

4ドアクーペといえる流麗なシルエット採用。プレスラインを排したグラマラスな面構成と大径タ イヤで安定感をアピール。2Lモデルはスポーティなエンジン音を積極的に聞かせる設定

 タイヤは1.8Lが195/60R17+ホイールカバー、2.0Lモデルが195/50R19+アルミホイールと旧型から2インチアップ。これは見た目とステアリング切れ角、そして転がり抵抗を考慮した設定だそうだ。フェンダーとの隙間やホイール・インセットもかなり攻めている。

 インテリアはトヨタ車共通の水平基調のコクピットデザインをベースにプリウス用に最適化した。メーターはプリウス伝統のセンターメーターから通常タイプに変更、bZ4Xで初採用のバイザーレス式を水平展開。シンプルな表示で視認性も高いが、ポジションによってステアリングがメーターの一部を隠してしまうのは要改善……。

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

コックピットは圧迫感がなく広々。7インチのトップマウントメーターはステアリングの上から見るため視線移動が少ない。内装色は3種で写真は赤のアクセントが特徴のマチュアレッド

 インパネシフトは廃止して、シフトレバーはセンターコンソール上に移動された。シフト回りは新型クラウンと共通部品を使っている。センターコンソール周辺は、限りあるスペースの中にさまざまなアイテムを装着するが、新型は機能的なのにスマートなデザイン。このあたりは新型クラウンをはじめとする他のトヨタ車も見習ってほしい。

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

写真のマチュアレッド内装色の場合は前席肩に赤の差し色が入る。Zグレードは前席ベンチレー ションとヒーター付きスポーティ形状で運転席は8ウェイ電動タイプ。シート表皮は合成皮革。ZとGグレードは除電スタビライジングプラスシートが標準

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

後席6対4分割可倒式

 居住性はデザイン重視で前席優先だと思われがちだが、後席はルーフラインライニングの工夫やシート角度の最適化による頭上スペースの確保、+50mmのホイールベースによる足元スペース拡大、フロントシート形状最適化やリアドアのウィンドウ面積をできるだけ大きく取る工夫(そのためにリアドアに電子ラッチ採用)などにより、想像よりも閉塞感の少ない快適な空間に仕上がっている。

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

Zグレードはパワーバックドア標準

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

ラゲッジは写真の2Lの場合、スペアタイヤありで343L(VDA方式、以下同)、スペアタイヤなしで410L。リアシートをたたむとスペアタイヤありで1114L、スペアタイヤなしで1149Lまで拡大。1.8Lはスペアタイヤありで357L、なしで422L、スペアタイヤありで最大 1128L、なしで最大1163Lと少し広い。4WDも同寸

 虜にさせる走りはどうか?今回はHEVのプロトタイプに試乗したが、試乗場所は何と富士スピードウェイのショートコースだ。パワートレーンはHEVは1.8/2.0Lの2タイプ。2.0Lは応答性の高さやEV領域が増えたモーター走行などはもちろんだが、システム出力196㎰は“速い”と感じさせる力強さだ。

シャシー関係は

これまでの知見を活かした“第2世代”

 旧型はアクセル開度が増えるにつれてエンジンだけが唸り、加速は伸びず……だったが、2.0Lはその領域でもパワフルかつ伸びのあるフィーリングだ。低音が強調されたエンジン音は賛否が分かれるが、筆者は濁音の多い音質のダイナミックフォースエンジンの中では、クラウンのデュアルブーストハイブリッドに続いて“サウンド”と呼べるレベルに来ていると感じた。

 1.8Lは旧型よりもアクセルを踏んだときの力強さやEV領域の粘りが向上したうえに、電動車感が増している。アクセル開度が大きいとエンジンが唸るが、制御の進化や静粛性向上などでその度合いは少なめだ。

 シャシー関係は旧型から採用のTNGA、GA-Cプラットフォームを継続するが、これまでの知見を活かした“第2世代”だ。主に剛性の連続性に着目した最適化が行われており、フロント回りはステアリングを切ったときの変形を抑える構造を採用。ステアリング回りは正確性や滑らかな操舵と直結感にこだわった第3世代EPS制御、サスペンションはフロントがストラット、リアはダブルウィッシュボーン式を採用するが、上記の変更に合わせて最適化している。さらに床下に採用された空力操安アイテムや除電スタビライジングシート(2.0L)など細部まで抜かりなしだ。

(CAR and DRIVER編集部 報告/山本シンヤ 写真/大西 靖)

トヨタ・プリウス、5thモデルは「燃費の呪縛」解いて“デザイン・走り”に個性【試乗記】

CAR and Driverロゴ

TOP STORIES

発見・体験、日本旅行に関する記事
Top List in the World