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トヨタ・クラウンスポーツZ、異彩放つ攻めのデザイン…20代若手のスケッチを忠実に再現【試乗記】

トヨタ・クラウンスポーツz、異彩放つ攻めのデザイン…20代若手のスケッチを忠実に再現【試乗記】

クラウンスポーツZ/価格:THS 590万円。スポーツはHEVとPHEVを設定。HEVから販売スタート

新たなクラウン体験・第2章がスタート。スポーツは感性に響く「美しいデザイン」と「楽しい走り」をコンセプトに開発され、2.5LハイブリッドとPHEVを設定。先行発売されたハイブリッドに試乗した。

新生クラウンの中でも

ひときわ異彩を放つ

 16代目クラウンの第2章が本格スタートした。フレッシュな造形で驚きを与えたクロスオーバーの発売から1年以上が経過。新登場のスポーツは4タイプある新生クラウンの中でも、ひときわ異彩を放つ。まるでコンセプトカーがそのまま世に出てきたイメージである。

 20代の若手デザイナーが描いたイメージスケッチが素晴らしかったので、それを忠実に再現しようと開発陣は奮起。絶対にカタチにするという強いモチベーションのもと、生産サイドにも協力してもらい、特別な工法と最新のシミュレーション技術を駆使して、市販にこぎつけたという。

トヨタ・クラウンスポーツz、異彩放つ攻めのデザイン…20代若手のスケッチを忠実に再現【試乗記】

スポーツの個性はオーバーハングの短いリア回り。チーフデザイナーは「周囲の風景がボディに映り込む変化を楽しむクルマ」と表現

トヨタ・クラウンスポーツz、異彩放つ攻めのデザイン…20代若手のスケッチを忠実に再現【試乗記】

すっきりとした水平基調デザインはクロスオーバーと共通。室内色はサンドブラウン(写真)とブラックを設定。ブラウンは運転席と助手席でカラーが異なる個性的なコーディネートを採用

トヨタ・クラウンスポーツz、異彩放つ攻めのデザイン…20代若手のスケッチを忠実に再現【試乗記】

シートは本革標準。前席は電動機構とヒーター&ベンチレーション機能付き。スポーティなフォルムながら後席を含め居住性は良好。後席の足元/頭上空間にも余裕がある。室内長1850mm

トヨタ・クラウンスポーツz、異彩放つ攻めのデザイン…20代若手のスケッチを忠実に再現【試乗記】

クラウンスポーツZリアシート

トヨタ・クラウンスポーツz、異彩放つ攻めのデザイン…20代若手のスケッチを忠実に再現【試乗記】

ラゲッジ容量は後席使用時397L。後席は6対4分割。後席を倒すと9.5インチゴルフバッグが4セット積める

 伸びやかなクロスオーバー(全長×全幅×全高4930×1840×1540mm/ホイールベース2850mm)に対し、スポーツ(同4720×1880×1565mm/2770mm)は走りを意識した造形である。クロスオーバー比で全長とホイールベースを詰めるとともにオーバーハングを短くし、大径ホイールを組み合わせたことで、タイヤが四隅で踏ん張った凝縮感を演出した。

 全高はクロスオーバーより少し高くなっているが、SUVとしては抑えられているほうである。ライバルと目されるポルシェ・マカンやメルセデスGLCクーペよりも明確に低い。グラマラスなボディパネルは街の建物や木々がクルマにどのように映り込むかを意識し、その変化の美しさを意識しながらデザインしたもの。最大の難所だったというリアフェンダーは、ボリューム感満点。見れば見るほど1枚の鉄板でよくこんな形状のパネルを量産できるものだと感心した。

 インテリアは、かつてないアシンメトリーなカラーを採用。助手席側と運転席側で配色を変えることで、適度な包まれ感と、運転するワクワクを感じてもらえるようにしたという。

 ユーティリティ面ではハッチバックである点が特徴。スタイリングを重視し荷室容量を多少は割り切ったというものの、不便に感じることのない広さが確保されている。

 クーペ的なキャビン構成ながら乗降性に優れ、運転しやすいパッケージングにまとめたのも特筆ポイント。外見から想像するよりも居住性はいい。適度に高めのアイポイントがもたらす運転席からの視界は心地よく、あまり期待していなかった後席も、ヒップポイントの高さや着座姿勢の工夫により落ち着ける。ヘッドクリアランスはセダンよりもむしろ広い。ニースペースやヒール段差も十分に確保されており、後席に大切なゲストを招く際にも躊躇しなくていい。

2.5Lハイブリッドは燃費で輸入車を圧倒

徹底した足回りのこだわりが素晴らしい

 パワートレーンは、熟成のハイブリッドがメイン。スポーツには近い将来PHEVを追加することが明らかにされているが、まず発売された2.5Lのハイブリッドは経済性に優れる。1.8トンを超える車両重量のSUVながら、21.3km/LのWLTCモード燃費を達成した点は素晴らしい。

 ハイブリッドはトヨタにとってはごく当たり前のシステムながら、欧州勢と比較するとアドバンテージが際立つ。輸入車で、これほど燃費がいいクルマはない。高回転域まで回したときのエンジン音に色気がなく、物足りなさを感じる場面はあるが、応答遅れは小さくパフォーマンス的にも満足できる。

 開発陣は、足回りについて「ただ硬いだけがスポーツではない」という思いを貫いたと語る。パッケージング/部品/チューニングという、大別して3つの要素のすべてで、新たなスポーツ像を追求したという。実際にドライブしても、硬さを感じない仕上がりになっていた。

“革新と挑戦”16代目クラウンの

イメージリーダー的な立場

 それぞれの要素を見ていこう。まずパッケージング面では、ショートホイールベース化するとともにオーバーハングを短くする手法で、物理原則に則って俊敏な回頭性を得ることを追求。部品については、クロスオーバーと同様に、後輪を操舵するDRSと左右の後輪にベクタリング機構を備えた4WDシステムを搭載した。そのうえで入念なチューニングを施してクロスオーバーとの個性の違いを明確にし、一般道から高速まで、どの速度域でも俊敏な動きを実現できるよう味付けしたという。

 乗り心地面はサスペンションの摩擦低減にこだわり、路面からの入力をいなすように作り込んだ。スポーツの足は引き締まっていながらもよく動く。スポーティさとしなやかさを巧みにバランスさせた印象である。

 先読みして運転操作をサポートするというPDA(プロアクティブドライビングアシスト)は、先発の車種では少々おせっかいな感じがあったが、それがだいぶ薄れていた点も好印象。しかもスポーツモードでは、より俊敏な回頭性を楽しむことができる。万人にとって有益なデバイスに違いない。

 スポーツは“革新と挑戦”をキーワードとする16代目クラウンの中でも、イメージリーダー的な立場を占める。世界を見わたしても、これほど存在感があり、走りも楽しめて、しかも燃費や実用性にも優れる1台は貴重である。スポーツは、多くの魅力を放つパーソナルカーの代表といっていい。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/原田 淳)

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