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日産セレナ、発電専用1.4Lユニット初搭載!新しい走りを追求【試乗記】

日産セレナ、発電専用1.4lユニット初搭載!新しい走りを追求【試乗記】

日産セレナe-POWERルキシオン/価格:479万8200円 Photo by Hiroya Yamagami

6代目は先進フロントマスクを採用。伝統の広い室内と優れた使い勝手の追求に磨きをかけた実力車だ。主役となる新世代e-POWERは、発電用1.4Lエンジンと高出力モーター(163ps/315Nm)で新しい走りを追求。実力をご紹介しよう。

 セレナe-POWERは、従来型C27型に2018年に追加されるや、一気に高い人気を獲得した。新型e-POWERも同様のようだ。ガソリン車から数カ月遅れの発売になったが、2023年5月末時点で受注の過半数を占めるという。40万円超の価格差があっても販売好調なのは、それだけ魅力があるからだ。

 まずは先代を簡単に振り返っておこう。C27セレナに搭載されたe-POWERは、旧型ノートに搭載された自然吸気の1.2L直3エンジンを積む第1世代のe-POWERがベース。モーターの出力向上をはじめ、オイルクーラーの追加やリチウムイオンバッテリーの増量を実施して重量増に対応していた。

 新型セレナはノート用(第2世代)からの流用ではない。1.4Lに排気量を拡大した日産初の発電専用エンジンを組み合わせた最新バージョンである。モータースペックは163ps/315Nm。1.4L直3エンジンは98ps/123Nmを発揮する。WLTCモード燃費は18.4~20.6km/L。駆動方式はFFだ。

日産セレナ、発電専用1.4lユニット初搭載!新しい走りを追求【試乗記】

ルキシオンはプロパイロット2.0をはじめ先進装備を満載した最上級グレード。上級車からの乗り換えを想定。スタイリングはすっきりとした印象

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インパネは日産車共通のクリーンな造形。液晶メーターとセンターディスプレイが連続したデジタルコクピット。ルキシオンは12.3インチ日産コネクトナビゲーション+ヘッドアップディスプレイ標準。ドアからインパネにかけてのトリムも専用仕様。ワイドな視界と上質さが魅力

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キャビンは3195×1545×1400mmのルーミー空間。ルキシオンはレザー感覚の合成皮革シートを採用

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2列目は左右にアームレストを備えたキャプテン形状(乗車定員7名)。ロングスライド&リクライニング機構により自由なリラックス空間を演出できる

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左右跳ね上げ格納式の3列目は前後スライド機構付き。足元は広く大人もリラックスできる。乗り心地は快適。新型は最新のクルマ酔い低減技術を導入。突き上げによる頭部の急激な動きや不規則な揺れを抑制。ロングツーリングでも疲れない

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ルキシオンは全13種のカラーを設定。写真はターコイズブルー

 メイン試乗車は最上級グレードのルキシオン。上級モデルからの乗り換えを想定した仕様で、プロパイロット2.0を標準装備し、インテリアは専用の上級仕様。ただし、売れ筋のハイウェイスターV(368万6100円)との外見の違いは、テールゲートにバッジが付くことと、ヘッドライトわきのフィニッシャーが黒ではなくグレーになる程度だ。

 室内は広く、快適である。質感の高いインパネは、ディスプレイにe-POWERに必要な情報が得られるようになっている以外は、新採用のボタン式シフトセレクターを含め、ガソリン車と同じ。なお、e-POWERの運転席と助手席の間にはコンソール(ルキシオンは大型)が設けられている。ルキシオンの2列目シートはキャプテン形状の7名乗り仕様。新型のe-POWERは、ルキシオン以外なら8名乗りが選べる。100VのAC電源(1500W)が用意されるのも朗報だ。

まるでBEVのような洗練と力強さを実感

静粛でスタビリティの高いクルージングが魅力

 新世代のe-POWERがいかに進化しているかは、走り出してすぐにわかる。従来は最初からエンジンがかかっていたが、新型はなかなか始動しない。まるでEVのように力強く、スムーズに走る。ミニバンのセレナは重量が重いので、本来はエンジンがかかる比率が高くなるはず。それがあまりかからないのだ。

 これには、車両状態や走行環境に加え、ナビと連携しながらエンジン作動タイミングを制御する世界初のエネルギーマネジメント技術が効いている。新型e-POWERは、エンジンの作動頻度が低減されている点にまず好感を抱いた。

 ドライブフィールは、これまでにも増して静かで滑らか。しかも力強くなっている。リニアなアクセルレスポンスにより車速を意のままにコントロールできて、乗りやすさに磨きがかかっている。

 しかもエンジンが始動してもあまり気にならない。エンジンのケース剛性を高め、新たにバランサーを採用した効果で作動音自体が低く抑えられている。エンジンの停止と再始動もよりスムーズになって、いつ切り替わったのかわからないほどだった。

 静粛性はハイレベルだ。メーカーが「フロントのウインドシールドとサイドウィンドウを遮音ガラスにするなど、車体の遮音性能を高めた」というとおり、車外と隔てられたような感覚になっている。後席の乗員とも会話しやすい静かな車内空間は、プレミアムミニバンと表現してもいい。高い静粛性は、高速道路を走行中に周囲を車両が通過したときにも実感した。

 パワーも十分。高速道路で再加速を試みたときに従来型のような非力な印象はない。スペックのとおり動力性能が向上している。そして伸び感が気持ちいい。従来型はスロットルが半開き程度でも全開になるように設定され、感覚としては早々に頭打ちになる印象があった。それが新型では見直され、リニアな特性になっている。

 ルキシオンはプロパイロット2.0を標準装備。その制御も実によくできていた。当初のプロパイロットは煩わしくステアリングに介入した。新型は信頼感たっぷりに高速道路をクルージングし、車線変更をアシストする。条件が整うとハンズオフドライブもできる。

 基本的なスタビリティも優れていた。今回はやや横風の強い中でのドライブとなったが、直進安定性に優れる特性が確認できた。イメージしたラインを正確にトレースしていけるので、修正舵が少なくて済む。これはありがたい。

 乗り心地は快適。徹底的に科学したというクルマ酔い軽減技術の一環として、突き上げによる頭部の急激な動きや不規則な揺れが抑制されている。これなら長距離ドライブでも疲れは少ないだろう。

 セレナは、新世代のe-POWERとプロパイロット2.0に象徴される先進技術。さらに基本性能の進化で、同乗者とともにロングドライブを楽しめるミニバンに仕上がっている。お勧めである。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/山上博也)

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