Photo by Akihiko Kokubo
速さ/ハンドリング/取り回し性に優れたオールマイティな存在。ポロGTIは、ファーストカーの機能と、ワインディングで“いい汗”がかけるスポーティな万能モデル。分別を備えた大人が似合う。
ポロにGTIが復活
2Lの直噴ターボ搭載
ポロのラインアップにGTIが復活した。
兄貴分が積むちょっと大きめのエンジンを移植する、というのを常套手段にしていた当時のGTIの流儀に従い、初代GTIが搭載したエンジンは、最高出力が125psにすぎない自然吸気の1.6Lエンジン。それと比べるとまさに“隔世の感”なのが、22年余りの時を経てラインアップに加えられた、最新のポロGTIである。
ボディサイズは、全長×全幅×全高4085×1750×1430mm。現在の感覚でいえばコンパクトな部類に入るが、堂々の3ナンバー規格になる。エンジンは2Lの直噴ターボを積む。
最新GTIは最高出力を従来比7psアップ。2L直噴ターボは207ps/320Nmを誇る。パフォーマンスは鮮烈。0→100km/h加速は6.5秒でクリア
前席は専用スポーツ形状。GTI伝統の赤いタータンチェック仕上げ
ちなみにポロGTIは、その2代目(2005年)から心臓部にターボチャージャーをプラスしたユニットを搭載。“ゴルフGTIの弟分”というキャラクターを明確にしていた。
最高出力は
初代の2倍以上という強大さ
加速力は圧巻だ。4気筒ユニットらしく乾いたサウンドとともにスピードを一気に高める。圧倒的な加速力が得られるのはターボブーストがフルに立ち上がったゾーンに限られるものの、その領域に至らなくても動力性能は十分。
大きく重くなったとはいえ、それでも車両重量は1.3トンそこそこ。同じ2Lの心臓を積むゴルフGTI比で130kg以上も軽量であることがプラスをもたらしている。ちなみに、車載メーターでチェックすると、アクセルワーク次第で、思った以上に燃費が大きく変化していた。この点は、高いブースト圧によって高出力を叩き出している心臓の持ち主ならではという印象だ。
ピリッと辛い走りの
実力を秘めたポロGTI
専用にチューニングされた足回りは適度な硬さを示す。一時期はゴルフGTIを凌ぐハードなセッティングだったが、テスト車が大径18インチタイヤとセットで用意されるアクティブダンパーを装着していた関係もあってか、サスストローク感こそ限定的であるもののそこまでの硬さは感じなかった。同じハッチバックでも、もはやこのカテゴリーで最大級ともいえるゴルフの“大きなボディは必要ない”というユーザーにとって、ポロGTIは最適な選択肢である。
スポーティでおしゃれな“GTIならでは”といえる内外装のセンスをまとっている点はもちろん、高い動力性能とステアリング操作に対しての高い応答性を示すハンドリングは一級品。室内やラゲッジスペースもよく考えられており、大人4名でロングクルーズに出かけても不満はない。ピリッと辛い走りの実力を秘めたポロGTIには、独自のファンが集まりそうだ。
(CAR and DRIVER編集部 報告/河村康彦 写真/小久保昭彦)
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