Photo by Akihiko Kokubo
ティグアンの4WDモデルはパワフルな2Lターボ(190ps/320Nm)搭載。オールシーズン/全天候対応の逞しいオールラウンド性能と、上級SUVらしい入念な作り込みが魅力。ドイツ車らしくロングツーリングに出かけたくなる実力派である。
新登場の4WDは、
TSI・4モーションを名乗るガソリンモデル
新登場の4WDは、TSI・4モーションを名乗るガソリンモデル。通常のFF仕様の1.5Lターボ(150ps/250Nm)に対し、2Lターボ(190ps/320Nm)を組み合わせる。車重がFF比で140~200kg増加したことに対する対応で、エンジンは最大トルクを1500~4100rpmの広い範囲で発揮するチューニング。トランスミッションは7速DCT。4WDシステムは、通常走行時はほぼFF、路面状況に応じて瞬時に後輪に駆動力を伝えるハルデックスタイプ。コンソール部には、ダイヤル式の走行モード切り替えを備える。
試乗車はスポーティグレードのRライン。電子制御ダンパーと20インチタイヤがセットになったDCCパッケージ(22万円)が装着されていた。
スポーティグレードのRラインはリアサイドスポイラーやサイドスカートをセットした専用エクステリア仕様
VWティグアンTSI・4モーション・Rライン/価格:7DCT 581万6000円。復活した4モーション=4WDはアクティブ(479万2000円)/アクティブ・アドバンス(518万8000円) /Rラインの3グレード構成。Rラインはナビ標準
室内空間は余裕たっぷり。写真の本革シートはセットop(31万9000円)
走るほどに実感
走りは上質にして骨太。車重が1.7トンを超えるものの加速は力強く、的確なシフト設定と相まって、まさに走りは意のまま。SUVらしい高めの着座ポイントから周囲を見渡し、アップテンポのドライブを満喫した。静粛性は高水準。各種騒音が抑えられ、結果的に心地よいエンジン音が印象に残る設定は、ドライビングのリズムを作りやすい。
今回は、オンロードに限っての試乗だったが、その走りはオフロードを含めた長距離クルーズに連れ出したいと感じさせた。スケールの大きなキャラクターは、ドイツ車ならでは。陸続きの欧州で鍛え上げられた実力を改めて実感した。“コンチネンタル・ツーリング”という言葉がふと頭に浮かんだ。
感心したのは、上質な乗り味である。ファットな20インチタイヤにもかかわらず、快適性はハイレベルだった。これは電子制御ダンパーの効果だけでなく、堅牢なボディ、しっかりとした座り心地のシートなど、すべてをきちっと作り込んでいるからこそである。TロックやTクロスが誕生し、ティグアンは、いまやVW・SUVラインのトップモデル。そのハイグレードなポジショニングを、走るほどに実感した。
ティグアンのボディサイズは日本でも持て余さない全長×全幅×全高4520×1860×1675mm。その中に5シーターの余裕ある室内&ラゲッジ空間を実現し、さらに4WDのオールマイティ性能を盛り込んだTSI・4モーションは、行動派ユーザーに最適な選択肢。使い込むほどに“いいクルマを購入した”と実感するに違いない。
(CAR and DRIVER編集部 横田宏近 写真/小久保昭彦)
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