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メルセデスAMG・SL43、新型は高効率2L直4ターボ搭載!走りは軽快&スポーティ【試乗記】

メルセデスamg・sl43、新型は高効率2l直4ターボ搭載!走りは軽快&スポーティ【試乗記】

メルセデスAMG・SL43 Photo by Akihiko Kokubo

 メルセデス・ベンツのSLクラスは、世界を代表するラグジュアリースポーツである。1954年に登場した初代の300SLガルウィングという名車を持ち出すまでもなく、歴代SLはつねにクルマ好きの憧れであり続けてきた。

 押しも押されもしないメルセデスのフラッグシップスポーツ。そんなSLの立ち位置が変わり始めたのは2000年代の半ば、先々代モデルのビッグマイナーチェンジ以降だった。ちょうどそのころAMGが悲願のオリジナルモデル、SLSを完成させた。SLSは専用開発のアルミシャシーにガルウィングドアを持つ、いわば300SLの再来。まさにその時、SLクラスは最高峰のスポーツモデルという地位から陥落してしまったのだ。

 SLSの生産終了以降もAMGからGTという上級スポーツカーが登場したため、SLはラインアップの2番手にとどまった。もちろんAMG・GTとはキャラクターがまるで異なっていたが、SLそのものが目立たなくなってしまったことは事実だった。

メルセデスamg・sl43、新型は高効率2l直4ターボ搭載!走りは軽快&スポーティ【試乗記】

メルセデスAMG・SL43/価格:9SAT 1648万円。7代目はメルセデスAMG独自開発モデル。2+2レイアウトのソフトトップオープンに大変身。日本仕様は2L直4ターボを搭載した43モデルのみ。欧州ではV8を積む63/55を設定

メルセデスamg・sl43、新型は高効率2l直4ターボ搭載!走りは軽快&スポーティ【試乗記】

新型は軽量&高剛性なスペースフレーム構造のアルミ複合シャシーを採用。日本仕様は電子制御LSD/ダイナミックエンジンマウント/RACEドライビングモードをセットしたダイナミック+パッケージ標準。走りはスポーティ

メルセデスamg・sl43、新型は高効率2l直4ターボ搭載!走りは軽快&スポーティ【試乗記】

コクピットは機能的な造形。ドライバー正面に12.3インチ/中央に11.9インチディスプレイをレイアウト。センターディスプレイはオープン時の見やすさを考慮して12~32度の範囲で角度調節できる

メルセデスamg・sl43、新型は高効率2l直4ターボ搭載!走りは軽快&スポーティ【試乗記】

シートはナッパレザー仕様。前席はスポーツ 形状。後席は荷物スペースに最適。前席にはヘッドレストから温風が吹き出すエアスカーフをビルトイン。乗車定員は4名

メルセデスamg・sl43、新型は高効率2l直4ターボ搭載!走りは軽快&スポーティ【試乗記】

メルセデスAMG・SL43リアシート

メルセデスamg・sl43、新型は高効率2l直4ターボ搭載!走りは軽快&スポーティ【試乗記】

1991cc直4DOHC16Vターボ(381ps/480Nm)+モーター(10kW/58Nm)の48VマイルドHV。電動ターボ採用

メルセデスamg・sl43、新型は高効率2l直4ターボ搭載!走りは軽快&スポーティ【試乗記】

十分なトランクスペースはソフトトップの利点。容量はオープン時213L/クローズド時240L

 第7世代となった新型SLはもはやメルセデス・ベンツのSLですらない。他の乗用車ラインアップとの共通点も少ない。メルセデスAMGによる独自開発モデルとなったからだ。そしてなんと2+2の4シーターモデルとなり、ソフトトップオープンへと先祖帰りも果たした。要するにSLは全面刷新を遂げたのである。新型は、AMGブランドの一員となっただけでなく、乗用車ラインナップの2番手として、従来以上に広範囲のユーザーを狙ってモデルチェンジしたように感じられる。

 ちなみにSLは歴代すべてが純2シーターと思われがちだが、2代目の“パゴダ”には3シーター仕様があったし、3代目のR107にはクローズドルーフの4シーターモデル、SLCが設定されていた。さらには4代目のR129にも欧州仕様に+2モデルが用意されたことがある。

新型は高効率2L直4ターボを搭載

走りは軽快&スポーティ。なかなかいい!

 新型は“衝撃の7代目”というべきだろう。新たな一歩を踏み出したことは理解しているものの、“SLは最高のメルセデス”という思いが強い筆者は、ちょっと複雑な思いで7代目のステアリングを握った。走行ルートは東京都内から自宅の京都までの往復。都合1000km以上、その走りを味わった。

 日本のSL43は、中間グレード。“43”ということは、つまり2Lの直4ターボ(M139型)を積んでいる。もちろん普及版というわけではなく、“1マン1モーター”にこだわったAMG謹製である。スペックはエンジン単体で381ps/480Nm、これにモーター(10kW/58Nm)を組み合わせて、マイルドHVシステムを構成。史上最強かつ最高の4気筒、との呼び声が高い。とはいえSLに4気筒エンジンは似合わないと思う方も多いだろう。欧州では2種類のV8グレード、63と55が用意されている。

 スタイリングは、正統派のパーソナルスポーツ。従来のリトラクタブルハードトップをやめ、カラーコーディネーションが楽しめるソフトトップの復活はうれしい。2+2レイアウトは、日常面で大きなメリットがあることは911が証明している。

 とはいえ実物を見ても、まだ少しワダカマリがあった。どこか威厳に欠けているように思える。ひと世代前のSLのようなギラギラした印象に乏しい。そこでふと思い直す。派手な出立ちは他に任せて、SLはもう少し上品に、オトナのためのオープンカーを目指したのではないか、と。そう思って見直せば、シンプルで滑らかなフォルムがカッコよく見えてきた!

 乗ってみれば、これがけっこうスポーティな走りを見せるので驚いた。4気筒エンジンを積んだことで、“鼻先の軽さ”というメリットが生まれた。ノーズの軽快で鮮やかな動きは、まさに操るという感覚。重厚なクルーザー感には欠けるものの、それはV8を積む55や63の領域ということなのだろう。その昔、6気筒ユニットを積むベーシックなSLクラスに乗ると思いのほかファン・トゥ・ドライブであったことを思い出した。

 43エンジンのパワーは十二分だ。スペックだけ見るとはSL用として多少物足りなく感じるかもしれないが、F1テクノロジーの活用という電動ターボがいい仕事をしている。エンジンの反応は機敏。どんな場面でもほしい力を手に入れることができた。燃費もなかなか優秀だった。なるほど6気筒SLのダウンサイザーだと思えば納得もいく。

 気になった点は、9速スピードシフトMCTのマナーだ。新型SLは全車が多板クラッチのトルコンレスATを積んでいる。このミッションの低速域のマナーはいただけない。ギアチェンジがスムーズにいかず、ギクシャク感がどうしても出てしまうのだ。スリップロスの少ないクラッチシステムで、回転数の高い領域ではその小気味よさがうれしいけれど、車庫入れなどでいつもスムーズさに欠けるのは興醒めというもの。日本の市街地では、おや?っという場面に多く出遭った。

 一方、グランドツーリングカーとしての性能は素晴らしい。最新の運転支援が正確に作動し、気分がいい。だからこそ細かな点が気になってしまう。メルセデスのフラッグシップというべき伝統のネーミングだけに、今後の進化を見守りたい。そしてできれば日本でもV8モデルに乗ってみたいものである。

(CAR and DRIVER編集部 報告/河村康彦 写真/小久保昭彦)

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