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プジョー406、注目の新モデルは斬新スタイリングのクロスオーバー【試乗記】

プジョー406、注目の新モデルは斬新スタイリングのクロスオーバー【試乗記】

プジョー408GT/価格:8SAT 499万円 408のキャッチコピーは「解き放たれた新種」。クーペイメージの5ドアHBボディとロードクリアランスをたっぷり確保したSUVルックが独自の個性を主張。誰もがスタイ リッシュと感じる造形のインパクトは絶大。ボディサイズは全長×全幅×全高4700×1850×1500mmのミディアムクラス。日本の道路環境でも持て余さない。足回りは適度に硬めなセッティング。ハンド リングはスポーティ感覚 Photo by Hiroya Yamagami

408はセダン/ワゴン/SUVの特性を融合させた新たなクロスオーバー。どの角度から見ても鮮烈なスタイリングの持ち主だ。パワートレーンは1.2Lターボと1.6L+モーターのPHEVの2種から選べる。

いかにしてプジョーは

408のスタイリングにたどり着いたのか?

 プジョーのニューモデル“408”が大きな注目を集めている。

 なにしろ、今年6月に国内で発表されるやいなや、メディア関係者用広報車の予約が1カ月先まで即座に埋まったほか、発表の2週間後に都内のプジョー・ディーラーを訪れたところ、ショールームに1台だけ置かれていた408の展示車には早くも“売約済み”のカードが掲げられていた。

 なぜ、408はこれほど人気なのか?実際に試乗した人がまだ決して多くないこの段階で注目を集めている理由は、408のコンセプトそしてスタイリングが好評だからと推測される。

クーペライクなハッチバックに

SUV的なスタイリングを取り入れた

 確かに408のスタイリングは斬新で、これまでのどんな乗用車とも似ていない。とりわけ印象的なのが、やや高めに設定された最低地上高だ。カタログには170mmと記されているので、一般的なセダンやハッチバックより40~50mmは高い。これがSUV的なたたずまいを生み出す一因になっている。

 一方で全高は1500mm。“高め”ではあるけれど、SUVほどではない。そして、ボディ後端をクーペライクなファストバックとする手法で軽快感を生み出している。408のプロポーションは、このあたりが最大の特徴といえるだろう。では、いかにしてプジョーは408のこのスタイリングにたどり着いたのか?

 セダンやハッチバックが売れなくなったといわれて久しい。人気凋落の最大の理由はスタイリングが古くさく見える点にある。そこでプジョーもセダンの508にクーペ的な要素を盛り込むなどの実験を行ってきた。408ではこれをさらに一歩推し進め、クーペライクなハッチバックにSUV的なスタイリングを取り入れた。これがフレッシュな印象を生んだといえるだろう。408のような“SUV的ハッチバック”はクロスオーバーと呼ばれ、すでに多くのモデルが誕生している。その中で408はライバルに比べて全高が低く、ボディがワイドで大地を力強く踏みしめているように見える点に特色がある。

プジョー406、注目の新モデルは斬新スタイリングのクロスオーバー【試乗記】

リアはブラック仕上げの大型アンダーガーニッシュが力強いイメージをアピール。各部はシャープな造形でまとめた

プジョー406、注目の新モデルは斬新スタイリングのクロスオーバー【試乗記】

プジョー408GTリアビュー

プジョー406、注目の新モデルは斬新スタイリングのクロスオーバー【試乗記】

インテリアもスタイリッシュ。モダンで広がりを感じる。各種コントロールは整理整頓され中央にはナビ機能内蔵の10インチタッチスクリーンを装備。運転席回りはメーターを高い位置に配したコクピット

プジョー406、注目の新モデルは斬新スタイリングのクロスオーバー【試乗記】

プジョー408GT前席

プジョー406、注目の新モデルは斬新スタイリングのクロスオーバー【試乗記】

プジョー408GTリアシート

プジョー406、注目の新モデルは斬新スタイリングのクロスオーバー【試乗記】

ラゲッジは後席使用時536L/最大1611Lの大容量

プジョー406、注目の新モデルは斬新スタイリングのクロスオーバー【試乗記】

405GTハイブリッド/価格:8SAT 629万円。ハイブリッド・グレードは1.6L直4エンジン(132ps/ 250Nm)とモーター(81kW/320Nm)を組み合わせたPHEV仕様。満充電時のEV走行可能距離は 66km。1.2LターボのGT比で大幅にパワフルなこともあり走りの余裕は十分。加速フィールはスポーテ ィカーレベル。車重が1740kgと重いことがプラスに作用し乗り心地もしっとりとしている。高価だが408に上質な乗り味を求めるユーザーに最適のグレード。内外装は基本的に1.2LのGTと共通

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プジョー405GTハイブリッドリアビュー

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プジョー405GTハイブリッドインパネ

安定感を感じるドライブフィール

スポーティな走りに対応するフットワークがいい

 運転席に座ると、視点は通常のセダンやハッチバックより多少高めだが、一般的なSUVに比べれば明確に低い。さらに、左右方向に大きく広がったダッシュボードが印象的だ。SUVとはひと味異なる安定感を生み出しており、着座した印象はSUVよりハッチバックやセダンに近いといえる。

 試乗車は1.2L直3エンジンを積んだGTだ。走りの安定感も好印象である。どっしりと腰を下ろしているかのような落ち着きのよさはSUVとは別物。ハッチバックやセダンを彷彿とさせる。この時点で、従来のSUVやクロスオーバーとは別物の、「新種のクルマ」であると個人的に認定したくなった。

 乗り心地は、ちょっと硬めに感じるかもしれない。理由は、ダンパーの縮み側の減衰力が高めに設定されているためと推測される。一方、伸び側はほどよくしなやかで、たとえばバンプを乗り越えてボディが浮き上がりぎみになっても、タイヤはしっかりと路面を捉えて離さない。プジョーらしいロードホールディング性は健在といえる。

 ワインディングロードを走ったときのフィーリングも良好だった。ロールやピッチは自然に起きるタイプだが、そうしたボディの動きはゆっくりとしていて節度がある。不安に感じることは少ない。さらにいえば、ブレーキングによる荷重移動を活用すれば、低いスタンスを保ちながら安定した姿勢でコーナーをクリアすることも可能だ。

1.6L直4とモーターを

組み合わせたPHEVモデルも

 試乗車が装着していたミシュランeプライマシーのグリップ力は十分に高いので、腕の立つドライバーであればかなりのペースを保ったままワインディングロードを駆け抜けられるはずだ。高速走行時の姿勢も落ち着いていて安心感が強い。ロードノイズや風切り音が効果的に抑えられていて車内が静かに保たれる点にも好感を抱いた。

 GTに搭載される1.2Lの3気筒ターボは、いい仕事をする。巡航時であれば目立ったノイズや振動を生み出すことはなく、不満を覚える場面はなかった。ただし、1430kgのボディに対して130ps/230Nmのスペックである。余裕がふんだんにあるわけではない。交差点の発進で出遅れるとか、高速道路の本線合流に手間取る心配はないが、アクセルを深く踏み込むと、3気筒らしいバイブレーションがわずかながらも感じられることは指摘しておくべきだろう。

 運転支援装置は充実していて、内外装の質感は高い。プジョー独自のiコクピット(小径ステアリングの上からメーターパネルを確認するレイアウト)に慣れるには少し時間がかかるかもしれないが、表示自体は見やすいし、未来感が漂っていてスタイリッシュ。それでいながら価格は499万円と500万円を切っているのだから、かなりのバリューフォーマネーといえる。

 なお、エンジンのパフォーマンスや振動が気になるユーザーには、価格は600万円以上になるものの1.6L直4とモーターを組み合わせたPHEVモデルを検討することをお勧めしておきたい。

(CAR and DRIVER編集部 報告/大谷達也 写真/山上博也)

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